今季のブンデスリーガで得点王候補として挙がったアタッカーたち [写真]=Getty Images
今月18日、いよいよブンデスリーガの新シーズンが開幕する。今季も優勝争いの大本命は前人未到のリーグ11連覇を果たしたバイエルンと見られており、そこにドルトムントやライプツィヒが挑戦するという構図になりそうだ。
そして今シーズンの最大の注目と言えば、やはりバイエルンに鳴り物入りしたイングランド代表FWハリー・ケインだろう。プレミアリーグで数々のゴールを積み重ねてきたストライカーは、国外初挑戦で結果を残すことができるのだろうか。
果たして誰が『Torjägerkanone(トーイェガカノーヌ)』(得点王に贈られる大砲のトロフィー)を手中に収めるのか?新シーズンのブンデスリーガの得点王争いを展望しよう。
[写真]=Getty Images
■大本命

得点王争いの大本命は、もちろんバイエルンに新加入したケインだろう。先日、1億ユーロ(約159億円)という移籍金でトッテナムから加入したケインは、新天地でもゴールを量産することが予想される。トッテナム時代にはプレミアリーグで317試合に出場して213ゴールを叩き出しており、特筆すべきはその安定力だろう。
ケインはプレミアリーグ時代に9シーズン連続で15得点以上をマークしており、そのうち6シーズンは20得点以上という決定力を誇った。さらに2015-16、2016-17、2020-21シーズンと3度もプレミアリーグ得点王に輝いており、これはアーセナルの英雄で元フランス代表FWのティエリ・アンリ氏(4回)に次いで歴代2位の記録だ。昨シーズンもチームが8位に低迷するなかでキャリア2度目のリーグ戦30ゴールを挙げ、プレミアリーグの新記録となる36ゴールを叩き出したマンチェスター・シティのノルウェー代表FWアーリング・ハーランドに次いで得点ランク2位だった。
注目すべきはチーム全体のゴール数に対する自身の得点の割合だ。ハーランドが38.3%(自身36点/チーム94点)だったのに対し、ケインは42.9%(自身30点/チーム70点)でリーグ1位。実はケインは1人でチーム全体の半分近いゴールを決めていたのだ。
そんな選手が11連覇中のチームに加入したのだから、得点王の最有力に挙げられるのは当然のことだろう。英国ブックメーカー『ウィリアムヒル』のブンデスリーガ得点王オッズを見ると「1.44倍」。唯一、1桁代のオッズが付けられており、やはり得点王は筆頭候補はケインとなっている模様だ。
■対抗馬

ケインの対抗馬に挙げられているのはドルトムントのコートジボワール代表FWセバスティアン・ハラーである。2021-22シーズンにオランダのエールディヴィジで得点王に輝いた点取り屋は、昨季アヤックスから加入して活躍が期待されたが、加入直後に精巣がんが発覚して闘病生活を強いられた。半年後の今年1月にようやくピッチに戻ると、昨季はブンデスリーガ19試合で9ゴール。シーズン終盤にはゴール量産体制に入り、チームを11年ぶりのブンデスリーガ制覇に導くはずだった。
だが、勝てば優勝という最終節のマインツ戦でPKを止められてしまい、チームも引き分けて優勝を逃すことに。その時の悔しさをバネに並々ならぬ思いで今シーズンに挑むだろう。今月12日にはDFBポカールの1回戦で2ゴールを奪うなど幸先良いスタートを切っており、得点王オッズはケインに次いで2番手の「10倍」となっている。
■ダークホースたち

ケインのライバルはチーム内にいるかもしれない。それは得点王オッズが「11倍」と3番手に位置する、バイエルンのドイツ代表FWセルジュ・ニャブリだ。元アーセナルのニャブリが元トッテナムのエースと“ノースロンドンダービー代理戦”を繰り広げるわけではないが、ニャブリの得点力は特筆すべきである。というのも、ニャブリはブレーメン時代の2016-17シーズンから数えて7シーズン連続でブンデスリーガ2桁ゴールをマークしているのだ。これは現役のブンデスリーガ選手ではもちろん最長の記録だ。
昨季は自己最多記録に並ぶ14ゴールでチーム内得点王に輝いた。本職はウイングだが、シーズン終盤には最前線で起用され、ラスト5試合で5ゴールという結果を残した。今シーズンはケインの加入で本職のウイングに戻ることが予想されるが、8シーズン連続で2桁ゴールを達成したら得点王争いに絡んでくるかもしれない。
昨シーズンの得点王も忘れてはいけない。ポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキとハーランドが揃って国外へ移籍した昨季のブンデスリーガは、過去に例を見ないほどロースコアの得点王争いとなった。最終的にはフランス代表FWクリストファー・エンクンク(当時ライプツィヒ)とドイツ代表FWニクラス・フュルクルク(ブレーメン)が16ゴールで得点王に輝くことに。16ゴールという数字は、1963年に発足されたブンデスリーガ59年の歴史において最少ゴールの得点王だった。
エンクンクはチェルシーに移籍したが、もう1人の得点王であるフュルクルクは健在だ。昨シーズンは昇格1年目ながら、ゴールを量産してドイツ代表に選出。「29歳280日」で代表デビューを飾ると、FIFAワールドカップカタール2022でも2得点を挙げた。今季もDFBポカール1回戦で格下に敗れたとはいえ、既にPKでゴールを奪っており、得点王オッズでは4番手の「13倍」が付けられている。
フュルクルクと同じ「13倍」は他に2名いる。まずは元日本代表MF長谷部誠の同僚であるフランクフルトのフランス代表FWランダル・コロ・ムアニだ。抜群の身体能力を持ち味に様々な形でゴールを決めるストライカーは、加入1年目の昨シーズンに得点ランキング3位タイの15ゴールを記録した。コロ・ムアニも先週末のDFBポカール1回戦できっちりとゴールネットを揺らしている。
今夏にRCランスからライプツィヒに加入したベルギー代表FWロイス・オペンダにも「13倍」というオッズがつけられている。昨季リーグ・アンで4位タイの21ゴールを叩き出したストライカーは、退団したエンクンクの後釜として、総額5000万ユーロ(約79億円)前後と見られる移籍金でライプツィヒに鳴り物入り。ブンデスリーガ初挑戦のため未知数の部分はあるが、昨年はFIFAワールドカップカタール2022、そして今夏はU-21欧州選手権にも出場しており、国際舞台の経験は豊富だ。
そのほかにもブンデスリーガにはチェコ代表FWパトリック・シック(15倍/レヴァークーゼン)、カメルーン代表FWエリック・マキシム・チュポ・モティング(19倍/バイエルン)、ドイツ代表FWカリム・アデイェミ(19倍/ドルトムント)、ドイツ代表FWティモ・ヴェルナー(21倍/ライプツィヒ)など様々なアタッカーがいる。
果たして今季ブンデスリーガ得点王には誰が輝くのだろうか。ゴール前の仕事人たちに注目したい。
(記事/Footmedia)
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