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明治大からドイツへ パリ五輪世代の”成長株”佐藤恵允が抱く「ブンデス2桁得点」

2023.08.16

U-22日本代表でもプレーする佐藤恵允 [写真]=Getty Images

 山本理仁、藤田譲瑠チマ、鈴木彩艶、鈴木唯人など、今夏はパリ五輪世代の欧州移籍が相次いでいる。

 明治大学の佐藤恵允もその1人。大学生ながらU-22日本代表の主力級となっている彼のところには、数多くのJクラブからオファーが殺到していた。が、本人が最終的に選んだのは、ブンデスリーガのブレーメン入り。古くは奥寺康彦、近年では大迫勇也がプレーした名門である。

「最終的に海外で活躍する選手になるという目標を持っていて、それに向けて、年齢も踏まえながら、早めに海外へ出て、海外のサッカーに慣れることが大事だと考えました。早く向こうでプレーしたい気持ちがあったので、その選択をしました」と12日のドイツ出発時に取材に応じた佐藤は毅然とこう語っていた。

 大学2年だった2021年11月にU-22日本代表の1人としてAFC U-23アジアカップ予選に挑んで以来、コンスタントに日の丸を背負ってきた。パリ五輪を目指すチームの指揮官に大岩剛監督が就任してからも、2022年6月のAFC U-23アジアカップ、同年9月の欧州遠征に参戦。今年3月のU-22ドイツ代表、同ベルギー代表との2連戦にはいずれも出場し、2戦連発という離れ業もやってのけている。

「これまで代表にはコンスタントに選んでいただいている身です。今まで積み重ねてきたシームレス(な攻守の連動)や、インテンシティというところを示していかないといけません。それに攻撃の選手なので、得点に絡む仕事をしないと生き残っていけない。そこはもっと磨いていきたいです」

 4月のU-22代表合宿時にもこうコメントしていたが、向上心の強さ、高みを目指す貪欲さはパリ世代屈指。それも大学時代の挫折経験が大きいようだ。

「僕は実践学園高校から明治大に行ったんですけど、最初は試合に全然絡めなくて、苦しい思いをしました。そんな時、特に栗田大輔監督から言われたのが『人間性の部分』でした。『素直な気持ち』と『謙虚さ』がないと選手としても大きな成長は遂げられない。それを大学でのテーマにしつつ、『気を使える選手』になりたいと思って、ここまでやってきました」と本人は言う。

佐藤恵允

出国前に取材に応じた佐藤恵允 [写真]=元川悦子

 最たる例が守備だ。大学入学直後は「守備ができない選手」と言われたが、そこを徹底的に取り組み、磨きをかけたことで、今では自分のストロングにしたのである。

「大岩監督からも前線からチームを助ける泥臭い守備と対人の強さを評価してもらって、U-22代表に呼んでもらっていると思います」と自信をのぞかせたが、それはブレーメンでも大きな武器になりそうだ。

 佐藤はまずU-23チームに合流するが、「即、トップ昇格」を狙っていくという。それを果たすためにも、前線からのハードワークを前面に押し出していく構えだ。

ブレーメンは(ドイツ代表のニクラス・フュルクルクを筆頭に)強力なFWが揃っていますが、守備から入る形。ハイプレスをかけて、奪って、パス1~2本でゴールに迫るようなスタイルのチームなので、前線の選手の守備が重要な要素になります。そこに自分が入り込むためには、まず守備で違いを見せること。もちろん攻撃の選手なので、得点を取ることも大切ですけど、守備から違いを見せて、チームにフィットしていきたい。チームに自分のようなプレースタイルの選手がいない方が試合に出られると思うので、そこを示したいと思っています」と『成り上がりのシナリオ』を口にした。

 そのうえで、ゴールという結果を残すしかない。ブレーメンではフュルクルクら最前線の背後に位置するシャドーの一角で起用されるとみられるが、本人は「2ケタゴール」を狙っていくという。ただ、ブンデスリーガで2桁得点を叩き出したのは、過去には高原直泰、香川真司、岡崎慎司の3人だけ。極めて高いハードルだが、佐藤は「(過去の例は)関係ない」と強調。自分らしく突き進んでいくつもりだ。

「自分はまだU-22代表の中心選手になっていないので、パリ五輪のメンバーに選ばれるためにプレー面で活躍するのが一番。そこにもし選ばれたら、日本がまだ取ったことのない金メダルを取りたい。さらに、その2年後にある2026年北中米ワールドカップにも出て、メダルを取りたいという野望を持っています」と語気を強める。

 同じ大卒で、2年半という短期間でプレミアリーグにステップアップし、日本の看板となった三笘薫に追いつけ追い越せのマインドで戦っていくという。

「三笘さんは同じ大学経由の選手というのもありますし、ポジションも同じ。1対1の仕掛け、相手との駆け引きが非常にうまいので、すごく参考になります。北中米ワールドカップに出るには、三笘さんを越えないといけない。そうなるように日々を積み重ねていかないといけないと思います」とも語っていた佐藤。その成功ロードを歩めるか否かは自分次第だ。ブレーメンでブンデスリーガに出場することから全てが始まると言っていい。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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