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【徳島商】100年の伝統を背負い11年ぶり出場 快速ドリブルが魅力の1年生MF冨士村に注目<第100回高校選手権>

2021.12.28

平成生まれの小西健太監督に率いられ11年ぶりに全国への切符をつかんだ [写真]=安藤隆人

 創部100周年で11年ぶり40回目の出場を手にした伝統校、徳島商。オレンジの鮮やかなユニフォームに身を包み、新たな歴史を刻んだ今年のチームには注目の1年生MFがいる。

 スピードが自慢の冨士村優は、左サイドから高速フェイントと縦への仕掛けでチャンスを作り出すだけではなく、カットインから強烈なシュートでゴールを射抜くことができるアタッカー。ハイライトは県予選最後の2試合で、準決勝で徳島北を相手に決勝弾を決めると、決勝では今や徳島の顔となっている強豪の徳島市立を相手に圧巻の2ゴール。この活躍が認められ、地元の中体連出身で全くの無名だった冨士村は、U-16日本代表候補に抜擢された。

スーパールーキーとして注目されているMF冨士村優 [写真]=安藤隆人

「まさか自分が選ばれるなんて夢にも思っていなかった。でもそれだけ選手権というものは注目をされているんだと思いました」。残念ながらケガによって合宿参加を辞退し、同年代のトップクラスたちとの腕試しはできなかったが、それでも関係者に衝撃を与えるような活躍を見せた事実に変わりはなかった。

「徳島には徳島市立がいて、徳島北も強い。正直、徳島商はその次というイメージでした。でも、僕は自分たちの力で徳島市立らを倒したいという気持ちが強かったんです。3年かけてでも絶対に倒すと思って入学をしました」

 この意思をより一層強くさせたのが、夏のインターハイ予選だ。決勝まで勝ち進んだ徳島商は決勝で徳島市立に0-2の敗戦。だが、この試合はいつもとは感触が違った。相手に怯むことなく、サイドをうまく使ったサッカーを展開することができた。

「圧倒されたわけではないですし、僕らももっと力を磨けば勝てるんじゃないかと思えた」ことで、選手権予選でのリベンジに向けてチームが一つになった。冨士村自身も「やっぱり徳島市立に負けることは僕にとってものすごく悔しいことだと再認識した」と、自らのスピードを生かす術を日々の練習で身につけ、かつ「ゴールを決められる選手になりたい」とカットインからのシュートも磨き上げた。そして、冨士村はライバルたちの打倒という目標を1年目で達成することができた。しかも自らの大活躍によって。

「伝統校として、出場を決めることができた。でも出場しただけで満足をしていては成長しないし、ビビっていても成長しない。思い切って戦いたいです」

 初戦の相手は、インターハイベスト4で来季のプレミアリーグ昇格も決まっており、プロ内定者4人を擁する静岡学園。優勝候補が最初の相手となったが、冨士村は臆することなく前だけを見つめている。伝統のオレンジのユニフォームに恥じない戦いを見せることを心に誓いながら。

取材・文=安藤隆人



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