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【矢板中央】伝統の堅守を武器に 攻守で輝く大畑を軸に“4強の壁”を超えられるか<第100回高校選手権>

2021.12.30

守備だけでなく攻撃面でもチームの軸となるMF大畑凜生 [写真]=吉田太郎

 第100回を迎える選手権で、矢板中央が今度こそ壁を超える。2017年度大会4強、2018年度大会8強、2019年度大会と2020年度大会が4強と、近年の選手権で残している成績は青森山田に次ぐと言えるもの。ゴール前で身体を張る、最後の一歩まで相手に寄せる、シュートコースを消すといった守りの堅さは伝統として受け継がれており、それが選手権でコンスタントに結果を残す原動力となっている。

 今回の県予選では、準決勝でPKによる失点を喫するなど、まだ突き詰めなければならない部分もあるが、3年連続で選手権に臨む日本高校選抜GK藤井陽登(3年)を中心とした守備は、ライバルたちに「簡単には崩せない」という印象を持たせている。その守備力、勝負強さに加え、壁を破るために必須となるのが攻撃の積み上げだ。

 矢板中央は過去4度、選手権準決勝へ進出しているが、その舞台では4戦全敗。それも4試合で1ゴールも挙げることができていない。前回選手権の大会優秀選手に選出されているMF大畑凜生(3年)は、今シーズン開幕前に「4回連続ベスト4止まりで、準決勝で得点を取れていない」と指摘し、「(攻撃面でプラスアルファをもたらすために)自分のところで時間を作ったり、試合を通してゲームをコントロールしたりできる選手になりたい」と誓っていた。

 大畑は、高橋健二監督が「球際で強さを出せる選手」と認めるボランチ。本人は、選手権優秀選手選出は守備面での活躍を認められてのものだったと自認している。経験を重ねたことによって今年はプレーに余裕が出ており、要所でのインターセプトや危険な箇所を潰して守るシーンが目立つ。「誰よりも走ってひたむきにやらないといけないポジション」というボランチで、人一倍運動量を増やしたり、昨年以上の強度、空中戦の強さを示すなど守備の長所を伸ばしながら、シーズン前に立てた目標にもしっかりと取り組んでいる。

 ボランチの位置で状況に応じたゲームメークをし、タメを作ったり、長短のパスでリズムを変えたりするなど攻撃での存在感を高めている。プリンスリーグ関東では、ボランチながら14試合でチームトップの5得点。選手権予選決勝では、大畑の左サイドからの仕掛けが決勝点につながった。

 選手権では、初戦でインターハイ準優勝校の米子北と当たるなど激戦が予想されるブロックに入った。まず守備を意識したプレーになるだろうが、そのうえで攻撃面でも決定的な仕事をしたい。そして、選手権予選で4戦6発のFW藤野和哉(3年)やMF唐橋玖生(3年)、MF星景虎(3年)、FW林廉斗(3年)ら多彩なアタッカー陣とともにゴールを奪い、今大会こそ歴史を変える。

取材・文=吉田太郎



By 吉田太郎

サッカー専門媒体を中心に、主に育成年代の取材活動を展開。

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