青森山田をけん引する松木玖生 [写真]=吉田太郎
第100回選手権の最注目校が登場する。青森山田は2021年、インターハイで2005年以来2度目の全国制覇。“高校年代最高峰のリーグ戦”高円宮杯U-18プレミアリーグEASTでも3度目の頂点に立った。また、プレミアリーグチャンピオンシップの代替試合として開催されたJFA競技会委員長杯(プレミアリーグ2021 EAST vs WEST)でWEST王者のサンフレッチェ広島ユースと2-2でドロ―。プレミアリーグ日本一は参考記録と言えるものかもしれないが、それでも、選手権で優勝すれば、2011年度のプレミアリーグ創設後初めて、インターハイ、プレミアリーグ、選手権の“3冠”達成チームとなる。
近年、青森山田の戦績は抜きん出ている。2016年度に選手権とプレミアリーグでいずれも初優勝して2冠。また、2018年度に選手権、2019年度にプレミアリーグ制覇を果たした。選手権は2019年度、2020年度にいずれも準優勝に終わっているが、2018年度からの3年連続決勝進出は2000から2003年度の国見以来、戦後2校目の快挙だった。近5年で積み重ねた選手権での19勝は、同期間の2位である矢板中央の12勝に大差をつけている。
1年時から活躍し、すでに選手権で10試合を戦っている“選手権の申し子”MF松木玖生(FC東京内定、U-22日本代表)や“高体連最強ボランチ”MF宇野禅斗(FC町田ゼルビア町田内定、U-18日本代表候補)、攻守で差を生み出すサイドMF藤森颯太(U-18日本代表候補)、DFリーダーのCB三輪椋平ら攻守にタレント揃う青森山田は今年も偉大な記録を打ち立てている。
プレミアリーグEASTでは浦和レッズユースとの開幕戦を4-0、第2節の市立船橋戦を9-0で圧倒したのを皮切りに、リーグ新記録となる開幕7連勝。また、1966年の初開催から長い歴史を持つインターハイでは、1982年度の帝京と2014年度の東福岡の26得点を超え、1大会30得点の大会新記録を樹立した。
青森山田にはサイド攻撃、ショートカウンター、セットプレーという強烈な武器があるが、ポゼッションや守備を固めての戦いなどを含めて、対戦相手や状況に応じて、様々な戦いがハイレベルにできるところが強さの源。黒田剛監督は「青森山田のサッカーは何かに特化したものではない。逆に言うと掴みどころがない、どんなところからでも戦える、全てのスキルで相手を上回るというサッカーを日々志向している」と説明する。
特に今年はベンチから指示されなくても松木が自発的に引き気味のポジションを取ってバランスを整え、危険の芽を摘むなど状況判断の“巧さ”が光る。また、松木が「自分は泥臭くセカンドボールだったり、ゴールに貪欲にというサッカー選手」と自己分析するように、主役級の選手たちが誰よりもハードワークできるところも青森山田の良さ。第100回の節目の大会で“最強王者”が誕生するか注目だ。
取材・文=吉田太郎
By 吉田太郎