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【2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証】<第1回>ドルトムント篇

2015.09.17


 2015-16シーズンが開幕して約1カ月が経過。チャンピオンズリーグも本戦が始まり、ヨーロッパ各国リーグの戦いも本格的にスタートしました。

『サッカーキング』では4大リーグから10チームをピックアップし、夏の補強やここまでの戦略を分析。さらに少し気が早いですが今シーズンの達成目標までを考察し、毎日1チーム、10日間にわたり連載形式で「2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証」をお届けします。

 第1回は昨シーズン、ブンデスリーガで7位に沈み、ユルゲン・クロップ監督からトーマス・トゥヘル監督へとバトンが渡ったドルトムント。日本代表MF香川真司をはじめとした前線の破壊力が復活し、リーグ開幕4戦4勝15得点3失点と絶好調のチームをピックアップ!

ドルトムント

文=鈴木智貴

基本フォーメーション

夏の戦力補強評価

採点…4(5点満点)

 先発メンバーの大半は昨シーズンも在籍していた選手だが、長らく守護神を務めていたGKロマン・ヴァイデンフェラーを追いやる実力者ロマン・ビュルキをフライブルクから獲得し、最後尾の底上げを図った。またベテランMFセバスティアン・ケールが引退し、新たなボランチを探していたクラブは、U-21ドイツ代表のユリアン・ヴァイグルを1860ミュンヘンから引き抜いている。この2選手はドルトムントの中心選手として、今後何年も君臨し続けるだろう。

 またボランチと左SBでの起用が可能で、マインツ時代にトゥヘル監督の薫陶を受けていたDFパク・チュホ、攻撃のオールラウンダーであるMFアドナン・ヤヌザイも補強し、全てのポジションに1~2人のバックアッパーを配置できるようになっている。しかし、SBからボランチ、攻撃的MF、果ては3トップの一角までをこなせるMFゴンサロ・カストロを今夏におけるクラブ最高額でレヴァークーゼンから引き抜いたが、ここまではベンチを温める姿が多く見られ、実力を発揮できているとは言い難い。そのため、マイナス1ポイントとし、採点4とした。

新戦力のここまでの評価

 補強された選手の中で最も出場機会を得ているのはヴァイグル。今月上旬、20歳になったばかりの若手だが、その落ち着きはすでに何年もトップレベルでプレーしているかのよう。また新加入ながら中盤の底でチームを操り、早くも中心選手としての風格さえ漂い始めている。体の線は細く、“屈強”という二文字とは程遠いが、球際でも強さを見せ、守備でも十分計算できる選手だ。

 ビュルキもプレシーズンではDFラインとの連携不足を露呈することもあったが、ブンデスリーガ開幕までにはしっかりと修正。リーグ戦全試合にフル出場している。移籍市場が閉まる直前に加入したパクとヤヌザイにはまだ少々時間が必要だと思われるが、前者はトゥヘルサッカーを熟知し、後者の才能に疑いの余地はない。長いシーズンを戦う上で、今後重要なオプションとなっていくだろう。唯一心配なのはカストロだ。こちらも能力・実績ともに申し分ないはずだが、レヴァークーゼン時代に見せた高い戦術理解力、ユーティリティ性、正確無比なキックなど、いずれもまだ出しきれておらず、しばらく苦難の時は続きそう。

チームとしての注目ポイント・選手

 最大の注目点は破壊力抜群のオフェンスだ。自分の持ち場に固執することなく、前線の4枚が流動的にポジションチェンジを繰り返すことで、相手守備陣に的を絞らせず、攻撃が活性化。またチャンスと見るや、逆サイドのスペースへ素早くボールを入れ、両SBを積極的にオーバーラップさせるなど、左右上下に厚みのある攻めを展開している。

 また、その中でも顕著な働きを見せているのが、10番を背負うMFヘンリク・ムヒタリヤン。9月15日現在でドルトムントは公式戦9試合をこなしているが、チームが挙げた34得点のうち、約半分にあたる16ゴールに関与している(9ゴール7アシスト)。昨季リーグ戦で時折先発から外れ、フル出場が15試合にとどまってしまった鬱憤を晴らすかのような活躍ぶりだ。そしてヴァイグルとMFイルカイ・ギュンドガンのボランチコンビは、攻撃センスもさることながら、守備でのハードワークも決して怠らない。彼らの仕事ぶりも新生ドルトムントの大きな魅力である。

チームとしての懸念点

 ここまで失点のほとんどは、カウンターを仕掛けられ、サイドからボールを入れられた際に生まれている。前任者ユルゲン・クロップの時代からセンタリングに対する守備の脆さを見せていたドルトムントだが、その点は改善されていない模様だ。ただし、トゥヘルの就任からまだ数カ月しか経っておらず、また失点数自体もそこまで多くない。それを考慮すれば、“懸念材料”というほどではないだろう。

 その他に弱点らしい弱点は見当たらないが、今後11月までクラブではリーグ戦、DFBポカール、ヨーロッパリーグ(EL)という3大会をこなし、主力のほとんどが招集されるであろう代表戦も控えている。今シーズンはEL予選3回戦のため、他のブンデスリーガクラブよりもコンディションを早めに上げる必要があった彼らが、その過密日程をどう乗り越えていくか気になるところだ。

シーズン最終目標・予想

 短期間でチームを劇的に変えた戦術家トゥヘルの手腕は見事としか言いようがない。得点で圧倒するだけでなく、先制点を取られてもそれをひっくり返すメンタルの強さも備わったドルトムントは、ほぼ間違いなく来季CL出場権を獲得するだろう。現在はメンバーをある程度固定して戦っているが、ベンチに座っている選手が今後どんどん組み込まれ、誰が出ても遜色なく戦うことができるようになれば、DFBポカールはもちろん、ELでもベスト4以上を期待できる。

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