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2015.09.25

【2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証】<第9回>チェルシー篇

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。


 2015-16シーズンが開幕して約1カ月が経過。チャンピオンズリーグも本戦が始まり、ヨーロッパ各国リーグの戦いも本格的にスタートしました。

『サッカーキング』では4大リーグから10チームをピックアップし、夏の補強やここまでの戦略を分析。さらに少し気が早いですが今シーズンの達成目標までを考察し、毎日1チーム、10日間にわたり連載形式で「2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証」をお届けします。

 第9回は昨季、プレミアリーグのタイトルを獲得したチェルシーです。今季はモウリーニョ3年目のジンクスなどと騒がれ、スタートダッシュの失敗から挽回を期す“The Blues”を分析します。

チェルシー

文=Footmedia

基本フォーメーション

夏の戦力補強評価

採点…2(5点満点)

 7月のうちに獲得したアスミル・ベゴヴィッチ、ラダメル・ファルカオは退団したペトル・チェフ、ディディエ・ドログバの後釜だ。左サイドバックのババ・ラーマンは1年でスペインに帰ったフィリペ・ルイスの穴埋め。テスト生から契約を勝ち取ったブラジル人アタッカーのケネディも先行投資で、優勝した昨シーズンから実質的な戦力の上積みはバルセロナから獲得したペドロ・ロドリゲスくらいだった。

 マンチェスター・Uから“ハイジャック”したそのペドロは攻撃に新たな色をつけるヒット補強だが、一方でジョゼ・モウリーニョ監督が本当に強化したかったセンターバックの獲得は空振りに終わっている。若手の雄であるジョン・ストーンズへのオファーは3度もエヴァートンに断られ、移籍期限最終日にはパリ・サンジェルマンのマルキーニョスにも触手を伸ばしたが、こちらも失敗に終わった。結局、ナントからセネガル代表DFパピ・ジロボジを獲得したが、未知の存在である彼は「自分のチョイスではない」とモウリーニョ自身が認めている。指揮官にとって、決して満足のいく夏ではなかったはずだ。

新戦力のここまでの評価

 まだ全選手にアピールの場が与えられているわけではないが、ベゴヴィッチとペドロは早々に合格点を与えていい。

 ティボー・クルトワが開幕戦で一発退場したため、いきなりチャンスが訪れたベゴヴィッチは、ストークで培った安定感をしっかりと披露。その後、クルトワがひざの手術で長期離脱することになったが、今後もセカンドGKの役割を堅実にまっとうするだろう。

 鳴り物入りでやってきたペドロも、デビュー戦でいきなりゴールをゲット。プレミアリーグのスピード感やフィジカルにもさほど戸惑うことなく得意のドリブルで存在感を見せている。さらに、さすがはバルサ育ちと言うべきインテリジェンスの高さも際立ち、元同僚のセスク・ファブレガスはもちろん、エデン・アザールとも相性のよさを垣間見せている。守備時に中盤のスペースを埋める動きなど、チームの約束事を完璧に理解するにはまだ時間がかかりそうだが、攻撃面の貢献で推定2100万ポンドの移籍金を十分にペイできそうだ。

 昨季マンチェスター・Uで失意を味わったファルカオについては、「彼を元のレベルに戻す」というモウリーニョの言葉が実現するにはもう少し時間がかかるように感じられる。

チームとしての注目ポイント・選手

 今季もキャッチーなコメントの数々で話題を提供するモウリーニョ監督だが、昨季のように“手八丁口八丁”とはいかない様子。まさかのスタートダッシュ失敗で“手”が疎かになり、“口”の方にも隠し切れない苛立ちがにじんでいる。

 指揮官は開幕後、複数の主力選手を名指しして「満足していない」と語ったが、その中には攻撃のキーマンであるアザールとセスクも含まれていた。アザールは昨季の大活躍によって相手の警戒がさらに厳しくなって苦戦を強いられ、昨季アシスト王のセスクも創造的なパスが激減。特にセスクの不振は“黄金コンビ”を組むジエゴ・コスタの得点数減にもダイレクトに響いてしまっている。

 ただ、マッカビ・テル・アヴィヴに4-0と大勝したチャンピオンズリーグ初戦ではようやくセスクとD・コスタのホットラインが気持ちよく繋がり、続くプレミアでもアザールが今季初ゴールを決めてアーセナルを撃破するなど、徐々に復調の兆しは見えている。前線の“三銃士”が完全に輝きを取り戻したときが逆襲の始まりだ。

チームとしての懸念点

 モウリーニョが心配しているのは、アザールやセスクの不調よりも守備だろう。昨季プレミア最少失点の堅守が嘘のように、今季は稚拙な失点が増えた。特にジョン・テリー、ブラニスラフ・イヴァノヴィッチ、ネマニャ・マティッチの3人は、リーグ年間ベストイレブンに輝いた昨季とは別人のように低調だ。

 リーダーのテリーは0-3で敗れたマンチェスター・C戦でハーフタイムに交代させられる屈辱を味わい、イヴァノヴィッチは何度も快足ウインガーに右サイドを崩されている。加えて、アンカーのマティッチも簡単にサイドへと釣り出されて中央のスペースをカバーできず、4バックを無防備な状況にさらしてしまう場面が目立つ。まだ27歳のマティッチは復調も期待できそうだが、三十路を越えたキャプテンのテリーと副キャプテンのイヴァノヴィッチに関しては、もうかつてのレベルに戻ることはないかもしれない。

 これを予期していたからこそ、チェルシーは夏にエヴァートンのストーンズにオファーを出し続けたのだと想像できる。2年目のクルト・ズマが順調に育っているとはいえ、守備の再整備は急務だ。

シーズン最終目標・予想

 年明け以降に疲労で失速した昨季の反省をふまえてプレシーズンの準備方法を変えたため、ある程度のスタートの悪さは織りこみ済み。予想より大きな出遅れが終盤にどう響くか心配だが、ここから調子を上げてくるのは間違いなく、モウリーニョも「プレミアではあらゆるチームがポイントを落とす。我々はまだ優勝争いの中にいる」と豪語している。

 もうひとつの目標であるチャンピオンズリーグ優勝に向けても、不振のイングランド勢で唯一の白星発進と好スタートを切った。強固な守備さえ取り戻せば、まだ二冠の可能性は十分にある。

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