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【2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証】<第3回>マンチェスター・C篇

2015.09.19


 2015-16シーズンが開幕して約1カ月が経過。チャンピオンズリーグも本戦が始まり、ヨーロッパ各国リーグの戦いも本格的にスタートしました。

『サッカーキング』では4大リーグから10チームをピックアップし、夏の補強やここまでの戦略を分析。さらに少し気が早いですが今シーズンの達成目標までを考察し、毎日1チーム、10日間にわたり連載形式で「2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証」をお届けします。

 第3回は、プレミアリーグ開幕5試合5連勝、さらに全てが完封勝利と絶好調で首位を走るマンチェスター・Cです。2季ぶりのリーグ制覇を狙う“Citizens”を特集します!

マンチェスター・C

文=Footmedia

基本フォーメーション

夏の戦力補強評価

採点…5(5点満点)

 ヴォルフスブルクに5500万ポンドもの大金を支払い、ケヴィン・デ・ブライネをプライベートジェットでお出迎え。リムジンでクラブハウスまで送り届け、わずか数時間で新居から新しい銀行口座の開設まで手配した。これぞ“金満クラブ”の本領発揮である。

 シティのクラブレコードであり、昨年のアンヘル・ディ・マリアに次ぐプレミアリーグ歴代2位の移籍金を投じた24歳のデ・ブライネ以外にも、20歳のラヒーム・スターリングをリヴァプールから、25歳のファビアン・デルフをアストンヴィラから引き抜き、平均年齢が高くホームグロウンが少なかったチームに待望だった“国産の若手”を加えることができた。不安視されていた守備にもリーガ・エスパニョーラ最高のDFと誉れ高いニコラス・オタメンディを獲得。ひと夏の投資額としては世界記録と推定される総額1億6000万ポンドを惜しみなくつぎこんだ結果、ほぼ満点と言っていい盤石の補強ができた。

新戦力のここまでの評価

 プレシーズンからチームに合流していたスターリングが、移籍金4900万ポンドの重圧を苦にすることなく開幕からハツラツとしたプレーを披露している。昨シーズンは一本調子でやや停滞する場面もあった攻撃陣にスピード感と緩急をもたらしており、マヌエル・ペジェグリーニ監督も「今季中に移籍金の価値を証明するだろう」と満足気な様子だ。

 一方、センターバックとしては破格の3200万ポンドでバレンシアから加わったオタメンディにはまだほとんど出場機会がない。だが、エリアカン・マンガラが好プレーを見せているのは、ポルト時代の同僚である彼の加入で危機感を感じたからという側面が少なからずあるはず。“コンパニの相棒”をめぐる争いがいい意味で激しさを増しただけでも、オタメンディ獲得の効果は大きい。

 デ・ブライネは移籍期限ギリギリで加入したこともあり無理もないが、交代出場した公式戦ここまで2試合ではチームのスタイルを消化できていない印象。同胞の先輩コンパニからも「中央でのプレーに固執せず、柔軟に対応すべき」とアドバイスを受けている。この助言を素直に受け入れ、ダビド・シルバやスターリング、サミル・ナスリらとの“共存体制”をどれだけ早く見出せるかがカギだ。

チームとしての注目ポイント・選手

 開幕から無傷のプレミア5連勝、しかも11ゴール無失点という圧倒的な強さで首位をキープ。大型補強に目がいきがちだが、そんなチームをけん引しているのは既存戦力の充実ぶりだ。昨シーズンは低調なパフォーマンスだったヴァンサン・コンパニとヤヤ・トゥーレの2枚看板が復活をアピールし、1年目は酷評されていたDFエリアカン・マンガラも、2年目に入って人が変わったように力強さを見せている。

 そして、誰よりも開幕から絶好調なのがダビド・シルバである。昨シーズンは自己最多の12得点を挙げるなどプレーの新境地を開いていたが、新シーズンは“パスの出し手”という原点に立ち返り、敵陣のあらゆるエリアに出没してボールを触り、スターリングやヘスス・ナバスといったスピードスターを自在に操り、チームの攻撃を完璧に掌握している。

「シティを止めたければ、シルバを止めろ」。これは英紙『デイリーメール』からの引用だが、それくらい“10番”としての彼の存在感は際立っている。

チームとしての懸念点

 死角はないが、強いて挙げるならセルヒオ・アグエロのバックアップが心許ないことだろうか。昨シーズン、生活習慣やフィットネス管理を改善したアグエロは、ほぼケガなくシーズン終盤まで好調を維持してプレミアリーグ得点王に輝いた。だが、新シーズンは9月12日の第5節クリスタル・パレス戦で負傷交代し、周囲をドキッとさせた。幸い、続くチャンピオンズリーグのユヴェントス戦に途中出場したことで軽傷だったと判明したが、今後も彼がずっとフル稼働できる保証はどこにもない。

 エディン・ジェコをローマに放出したため、現チームにアグエロ以外で実績のあるストライカーはウィルフリード・ボニーただ1人。今年1月にスウォンジーから加入したボニーは初のビッグクラブにまだ慣れていない様子で、欧州や国内の大一番では物足りなさが残る。アグエロが負傷したクリスタル・パレス戦でプレミア初ゴールにして決勝点を挙げたケレチ・イヘアナチョという新星もいるが、まだ18歳の彼に大エースの代役を背負わせるのは酷な話で、そもそも彼はCL登録メンバーから漏れている。

 ペジェグリーニ監督は中盤の得点力を根拠に「不安はない」と強がるが、シーズンの勝負どころでアグエロという絶対的な得点源を欠くことだけは避けなければならない。

シーズン最終目標・予想

 第一のターゲットは、プレミアリーグの覇権奪還。そこに向けた歩みは、ここまで最高に順調だ。

 ただし、同時にクラブには欧州制覇という大目標がある。初戦でいきなりユヴェントスに敗れ、相変わらずチャンピオンズリーグとの相性が悪いことが露呈されてしまったが、今シーズンこそは過去2年連続で敗退している「16強の壁」を越え、最低でもベスト8進出がノルマである。それを達成できなければ、ペジェグリーニ監督のクビが飛ぶだろう。

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