後半立ち上がりにサンセトが挙げた同点弾 [写真]=Getty Images
コパ・デル・レイ(スペイン国王杯)の準々決勝が24日に行われ、アスレティック・ビルバオとバルセロナが対戦した。
現在ラ・リーガで5位と、ヨーロッパのカップ戦出場権争いを繰り広げているアスレティック・ビルバオ。コパ・デル・レイでは、1回戦でルビー(カタルーニャ州の地域1部リーグ/スペイン全体の6部相当)相手に辛くも2-1で勝ち切るという危なげないスタートとなったが、以降は2回戦でカヨン(4部)を2-0、3回戦でエイバル(2部)を3-0、ラウンド16でアラベス(1部)を2-0で退けるなど、完封勝利を続けて準々決勝まで辿り着いた。
一方、バルセロナはラ・リーガで現在暫定3位となっており、暫定ながらも首位を走るジローナとの勝ち点差は「8」。1試合未消化とはいえ、徐々にその差が開きつつある。コパ・デル・レイでは、サウジアラビアで開催されたスーペルコパ・デ・エスパーニャに参戦していた影響で1〜2回戦を免除されていた。3回戦ではバルバストロ(4部)相手に苦戦を強いられるも、終盤の得点もあって3-2で勝利。ラウンド16ではウニオニスタス・デ・サラマンカ(3部)相手に先手を取られたが、その後の3得点で逆転勝利を飾っていた。
2020-21シーズンのコパ・デル・レイ決勝と同カードの一戦に向けて、アスレティック・ビルバオのスターティングメンバーにはオイアン・サンセト、ゴルカ・グルセタ、ニコ・ウィリアムズといった面々が並んだ。これまでの同大会4試合と同様に、ゴールマウスを守るのはウナイ・シモンではなくフレン・アギレサバラ。イケル・ムニアインやラウール・ガルシアらのベテランもベンチに控え、アフリカネイションズカップ2023でガーナ代表がグループ敗退を喫したことから、イニャキ・ウィリアムスもメンバーに戻ってきた。
対するバルセロナは負傷により、マルク・アンドレ・テア・シュテーゲンやガビら主力を複数名欠いているものの、ロナルド・アラウホ、ペドリ、ロベルト・レヴァンドフスキらを送り出した。ベンチにはジョアン・フェリックスに加え、今冬加入したヴィトール・ロッキ、さらにはフェルミン・ロペスやマルク・ギウら若きニュースターたちも虎視眈々と出番を待つ。
試合は立ち上がりの1分に均衡が破れる。ホームのアスレティック・ビルバオはキックオフ直後から敵陣へ押し込むと、ラミン・ヤマルのバックパスが乱れた隙をニコが見逃さず、左サイドから中央へ折り返す。グルセタを経由してボールを受けたユーリ・ベルチチェがクロスボールを送ると、サンセトが頭で触り、ファーサイドのアドゥ・アレスがヘディングシュート。ここはジャストミートしなかったが、セカンドボールをサンセトが横へ繋ぐと、最後はグルセタが右足で強烈な一撃を叩き込む。電光石火の攻撃でホームチームが先手を取り、『サン・マメス』に駆けつけた大観衆を沸かせた。
その後も良い入りを見せたアスレティック・ビルバオがチャンスの数を増やしたものの、追加点を挙げるには至らない。嫌な時間帯を1失点で乗り切ったバルセロナだったが、20分にはアクシデントに見舞われる。敵陣中央でドリブル突破を試みたアレハンドロ・バルデが右太もも裏を痛めて倒れ込んでしまう。プレー続行は不可能となり、普段はバルセロナBを主戦場としているエクトル・フォルトがピッチへ送り出された。
1点ビハインドとなり、左サイドの“矢”も失ったバルセロナだが、26分にはシンプルな攻撃でゴールへ迫る。敵陣へ押し込む状況の中、最終ラインでボールを持ったアンドレアス・クリステンセンがロングフィードを供給すると、フェラン・トーレスが見事なファーストタッチで左から中央へカットイン。中央へ走り込んだペドリにパスは合わなかったものの、ユーリのクリアしたボールがレヴァンドフスキに当たり、そのままゴールに吸い込まれる。少々ラッキーな形で、バルセロナが試合を振り出しに戻した。
続く32分にはバルセロナが右サイドからチャンスを構築。ジュール・クンデがヘディングでボールを繋ぐと、タッチライン際で待っていたヤマルはうまく反転して相手選手と入れ替わる。自らドリブルで持ち運び、カットインから左足を振り抜くと、狙い澄ました一撃がゴールネットを揺らした。ヤマルの個人技が光り、バルセロナが試合をひっくり返してハーフタイムに突入した。
後半に入ると再び立ち上がりの時間にアスレティック・ビルバオが攻める。49分、敵陣左サイドでユーリからのパスを引き取ったニコが、カットインから右足でクロスボールを送る。ボックス内で待っていたサンセトはバックステップを踏みながらフリーで反応し、ヘディングシュートを叩き込む。アスレティック・ビルバオが再び同点に追い付いた。
前半と同様に、後半も序盤はアスレティック・ビルバオがより多くのチャンスを作り出す。59分にはアレスに代えてイニャキを送り出し、“ウィリアムス兄弟”を中心に何度かゴールを脅かしたが、待望の3点目は奪えない。
するとバルセロナも徐々に攻撃に出る場面を増やしていく。65分、自陣でクリアボールを拾ったペドリが頭で繋ぐと、横でサポートしたレヴァンドフスキが逆サイドへ展開。抜け出したヤマルはペナルティエリアまでボールを持ち運んだが、飛び出してきたGKアギレサバラを見て放ったチップキックは無常にも枠の外へ。
終盤に差し掛かった86分には、アスレティック・ビルバオのビルドアップの際、ヤマルが最終ライン中央でボールを持ったアイトール・パレデスからボールを奪う。自らスピードを上げてボックスに侵入すると、飛び出してきたGKアギレサバラをかわしたが、利き足とは逆の右足で放ったシュートは枠を捉えられなかった。
結局スコアは2-2で90分間とアディショナルタイムが終了し、決着は延長戦に委ねられる。延長前半の15分は両者決め手を欠き、このまま後半に突入かと思われたが、アディショナルタイムに再び試合が動く。アスレティック・ビルバオは左サイドからボールを持ち運ぶと、敵陣中央で横パスを受けたアシエル・ビジャリブレが右足アウトサイドで背後のスペースへスルーパスを供給。抜け出したイニャキがダイレクトでシュートを放つと、ファーサイドを狙った一撃はポストに嫌われるも、こぼれ球を自ら押し込む。アスレティック・ビルバオが延長前半の終了間際に一歩前に出た。
後半に入ってもアスレティック・ビルバオのペースで試合は進行。左サイドでボールを持ったミケル・ハウレギサールのクロスボールから、再びイニャキに決定機が到来したものの、ダイレクトで合わせた一撃はGKイニャキ・ペーニャに阻まれる。それでも、延長後半アディショナルタイムにはドリブルで左サイド深い位置まで持ち運んだサンセトがマイナスへ折り返すと、最後はニコが右足でシュートを蹴り込み、勝利を決定付けた。
試合はこのままタイムアップ。120分間以上の死闘を制したアスレティック・ビルバオが、5シーズン連続で準決勝に駒を進めた。一方、バルセロナはこれで4シーズンぶりとなる準々決勝敗退が決定。スーペルコパ・デ・エスパーニャに続いてタイトルを逃すことが決まり、残るコンペティションはラ・リーガとチャンピオンズリーグ(CL)のみとなった。
コパ・デル・レイは準決勝のみホーム&アウェイ方式での開催となる。ファーストレグは2月7日、セカンドレグは同28日に行われる予定だ。
【スコア】
アスレティック・ビルバオ 4-2 バルセロナ
【得点者】
1-0 1分 ゴルカ・グルセタ(アスレティック・ビルバオ)
1-1 26分 ロベルト・レヴァンドフスキ(バルセロナ)
1-2 32分 ラミン・ヤマル(バルセロナ)
2-2 49分 オイアン・サンセト(アスレティック・ビルバオ)
3-2 105+2分 イニャキ・ウィリアムス(アスレティック・ビルバオ)
4-2 120+1分 ニコ・ウィリアムズ(アスレティック・ビルバオ)
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By サッカーキング編集部
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