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【滝川第二】4年ぶりに帰ってきた名門 注目は“10番らしくなった”MF藤田仁朗<第100回高校選手権>

2021.12.23

滝川第二をけん引する藤田仁朗 [写真]=吉田太郎

 10番にふさわしい選手になった。4年ぶりに全国高校サッカー選手権大会へ出場する滝川第二の10番を背負うのは、MF藤田仁朗(3年)だ。2010年度選手権優勝、2006年全日本ユース(U-18)選手権優勝などの輝かしい歴史を持ち、岡崎慎司(現:カルタヘナ)や金崎夢生(現:名古屋グランパス)らを輩出している名門で1年時から出場チャンスをつかみ、10番に抜擢。本人はその番号について「付けさせてもらっただけ」と振り返る。

 当時は80分間継続して良いパフォーマンスをすることができず、納得のいく結果を残すことはできなかった。チームは1年時の選手権予選で準々決勝敗退。その後「滝二で1年生から10番」は彼の枕言葉となった。本人はそのことが「ちょっと悔しかった」という。自分の実力というよりも、1年で10番を付けていたことによる注目。昨年は練習から存在感ある動きを見せていたが、全国には届かず、「藤田仁朗」の名を広めることはできなかった。

 今年もピッチで存在感を放つ一方、タイトルとは無縁。終了間際の失点など、勝ち切れない。それでも、選手権で藤田は滝川第二を全国へ導いた。自分への手応えがあったようだ。2試合連続ゴールを決めて迎えた準決勝は、3連覇を狙う神戸弘陵とのライバル対決。ここで藤田は目覚ましい活躍を見せた。

 前半、右サイドでマークのDFを外してからFW相原禎汰(3年)への絶品クロスで先制点をアシスト。特に“半端なかった”のがドリブルだ。ボールを持つたびに大きく前進。相手の注目DFを股抜きで突破したほか、エラシコで相手マークを翻弄するシーンも。1対2の状況でも小柄な10番のドリブルは止まらず、絶妙なラストパスで決定機を演出し続けた。そして、試合終盤には自らのインターセプトからPKを獲得。それを決め、3試合連続ゴールでチームを勝たせた。

 鹿島アントラーズのスカウトやアカデミーチームの監督などを歴任してきた亀谷誠監督が「抜群だった。素晴らしかったと思います」と絶賛するほどのパフォーマンスだった。その藤田は「10番らしいプレーが3年生になってちょっとずつ増えてきたので、『その10番は伊達じゃないぞ』というところを全国に向けて絶対に知らしめたいと思います」と誓って臨んだ決勝でも、個人技で相生学院を苦しめ、試合終了間際に決勝PK。チームの課題となっていた終盤に得点を挙げたエースは、母校を4年ぶりの選手権へ導くとともに、自身を「知らしめる」チャンスを勝ち取った。試合終盤でも活躍できる力を身に付けた滝川第二の10番が、選手権で輝く。

取材・文=吉田太郎



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