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【アジア最前線:韓国 #3】先陣を切ってスタートしたKリーグが中断の危機

[写真]=Getty Images

ベテランのブラジル人FWが絶好調

 Kリーグの2020年シーズンの優勝の行方が早くも2チームに絞られてきた。8月22、23日の第17節を終えてトップに立つのは、13勝3分け1敗で勝ち点「42」の蔚山現代ウルサン・ヒョンデだ。その蔚山現代を1ポイント差で追うのは、リーグ2連覇中の全北現代チョンプク・ヒョンデ。3位以下の尚州尚武サンジュ・サンムは勝ち点「28」、大邸テグFCは「26」、浦項ポハンスティーラーズは「25」と、差はかなり開いている。

 よりタイトル獲得が切実なのは蔚山現代のほうだろう。2012年にAFCチャンピオンズリーグを制したものの、リーグ優勝からは15年も遠ざかっている。昨シーズンは首位を走りながらも最終節で格下の江原カンウォンFCにまさかの敗北を喫し、全北にタイトルを奪われた。その反省から、今年は韓国代表の守護神チョ・ヒョヌや元鹿島アントラーズのDFチョン・スンヒョン、元韓国代表のMFユン・ピッカラム、コ・ミョンジン、ボルトンやクリスタル・パレスなどで活躍したイ・チョンヨンと、大型補強を敢行してシーズンに臨んでいる。

 その新戦力の活躍もさることながら、今シーズンは33歳のブラジル人FWジュニオール・ネグランが絶好調だ。Kリーグ4年目のネグランは、8月23日時点で17試合出場20得点とゴールを量産。このままの調子を維持すれば、3年連続となるベストイレブン入りはもちろん、得点王やMVPの獲得も夢ではない。

ネグランは2018年と2019年にKリーグのベストイレブンに選出されている [写真]=Getty Images

再び無観客に……

 しかし、リーグには一抹の不安がよぎる。再び新型コロナウイルスの影響を無視できなくなってきたからだ。

 そもそも、今シーズンのKリーグが開幕したのは5月7日。新型コロナウイルスのパンデミックが深刻化し、各国がリーグの開幕を遅らせたり中断させたりするなか、Kリーグは世界に先駆けてスタートさせた。防疫対策を徹底する政府方針に従いながら、無観客での開催は7月まで続いた。

 7月26日付けで、政府がKリーグをはじめとするプロスポーツに観客を受け入れる方針を決定したことにより、8月1日からは観客の受け入れを開始した。Jリーグは各クラブ一律で「1試合あたり5000人まで」としているが、Kリーグは「スタジアム収容人員の10パーセント」が上限となった。

 例えば、FCソウルの本拠地ソウル・ワールドカップ競技場(6万6704人収容)の場合、6600人程度。昨年オープンした大邸FCの本拠地である大邸フォレストアレーナ(1万2419人収容)なら1200人ほどが入場できる。しかし、観客を受け入れることができたのはわずか3試合のみとなった。

 8月10日に発表した政府の「収容人員を30パーセントまでに拡大する」という上限の緩和を受け、リーグは8月14日以降の試合の観客数を増やす予定だったが、その前日の13日に、韓国国内での新型コロナウイルスの新規感染者が急増。特にソウルや京畿道などの首都圏で爆発的に増えたことから、政府は防疫レベルをステージ2に引き上げた。

 これにより、Kリーグは再び無観客に。2カ月近くかけて“サッカーのある日常”を取り戻そうと頑張ってきたものが、振り出しに戻ってしまったのだ。それどころか、新型コロナウイルスの感染拡大が今後も止まらず、政府が防疫レベルをステージ3へ引き上げた場合、リーグそのものを中断せねばならなくなる。今のところ選手やコーチングスタッフ、関係者の中から感染者は出ていないが、今後の状況次第では彼らにも影響が及ぶ可能性は否定できない。

 Kリーグは2014年からスプリット・システム(ホーム&アウェイ総当りのレギュラー戦を終えたあと、上位6チームと下位6チームによる順位決定のファイナルラウンドを行う)を採用しているが、今シーズンは従来の38試合から縮小。22試合のレギュラー戦を行ったあと、9月下旬から5試合のファイナルラウンドに突入する予定だが、無事に最終局面を迎えられるだろうか。

文=慎 武宏(ピッチコミュニケーションズ)

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