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【インタビュー】J出場13試合で欧州へ…行友翔哉が描く未来図「W杯8強入りする時、自分が絶対にピッチに立っていたい」

2024.03.11

[写真]=FC Famalicão

 日本サッカーの未来を担う選手の一人、それがポルトガルのファマリカンでプレーするFW行友翔哉(ゆくとも・とき)だ。愛媛FCの育成組織出身で2種登録時代の2022年には、Jリーグデビュー戦でいきなりゴールを記録。同年は6試合出場で3得点と高校生ながら大きなインパクトを残した。

 Jリーグでの試合出場数は2シーズンで計13試合。J2、J1を経由せず欧州移籍を決断し、ポルトガルの地で闘い続ける理由に迫った。

取材・文=三島大輔

――昨夏ポルトガル1部ファマリカンへの期限付き移籍が発表され、現在はU-23チームで出場を続けています。Jリーグでのプレーは2種登録時代を含め2シーズンと非常に早い海外移籍だったと思います。
行友 J1より海外でやりたいと思っていました。昨季はなかなか出場機会がなかったので、まずは「本当にオファーが届くんだ」と思いましたね。U-23チームからのスタートということで、同年代の選手たちと同じ環境に身を置いてプレーしています。覚悟を持って移籍を決めました。

――海外でプレーしたいと思ったきっかけはありますか?
行友 香川真司選手(セレッソ大阪)がずっと好きで、夢を与えてもらった存在です。初めて買ってもらったユニフォームも香川選手のネームと背番号入りのもので、それを着てずっとサッカーをやっていました。よく見ていたドルトムントに対する思い入れもあるので、いつかあのスタジアムでプレーしたいと思っています。

――現在所属しているファマリカンはどういった特徴を持つクラブなのでしょうか?
行友 育成中心のクラブです。U-23からトップチームはもちろん、U-19からU-23の昇格もあります。下から作り上げていくスタイルがあって、すごく良いクラブだと思います。今、プレーしているU-23チームには世代別のポルトガル代表選手もいて、すごく良いメンバーが揃っています。

――ポルトガルで実際にプレーをして、まず感じたことはどんなことでしょうか?
行友 最初は違いに苦労しました。日本はテンポ感があって、球離れも早い。こっちは持ちたがるというか、良い意味でテンポが遅い。一人ひとりの個を主張する感じです。そこの違いは感じましたけど、今は求められることも整理できましたし、スタメンから外れることはないくらいチームの中心になれています。

――行友選手の持ち味はゴールに向かう勢いとシュート技術の高さだと思います。心掛けていることや、プレー面で参考にしている選手はいますか?
行友 ゴールに向かう姿勢は常に持っていますし、ゴールから逆算したプレーを心掛けています。シュートも得意だと思っていますし、昔からシュート練習が好きでずっとやっていました。マンチェスター・シティジャック・グリーリッシュが好きなので、よくプレー映像を見て参考にしています。

――キャリアを振り返るとレノファ山口FCのU-12、U-15を経て、愛媛U-18、愛媛のトップチームでプレーしました。愛媛で大きなインパクトを残したことが、行友選手の今につながっていると思います。
行友 山口ではU-18に昇格することができず、自分に一番合っていて成長できると思った愛媛を選びました。J3降格もありましたが、逆にそれが自分にとってトップチームに絡めるチャンスだと思ってやっていました。2022年のJリーグデビュー戦で得点を決めることができて、その後も3得点できたことは、今振り返っても大きかったと思いますし、愛媛時代は濃かったですね。

――ポルトガルでの生活についてもうかがいます。まず語学面はどうですか?
行友 言葉はまだ全然です……。ニュアンスは分かるようになってきたのですが、伝えるのが難しい。今はジェスチャーを交えながら、簡単な単語で伝えています。翻訳アプリを使いながらですけど、チームメイトやコーチ陣に自分の意見を伝えるようにはしています。

――食事面はいかがですか?
行友 チームから軽食が出るのですが、最初はなかなか口に合わなくて(笑)。けど、それももう慣れましたね。車で30分くらいの場所にポルトがあって、日本人の御夫婦の日本食料理屋にちょくちょく行っています。

――自炊もしたりしますか?
行友 オフの日は昼か夜、どちらかは自炊するようにしています。近くのチャイナショップで炊飯器を買ったのですが、業務用で4合から炊けないんですよね(笑)。スーパーでお肉を買って焼いたり、カレーを作ったりしています。

――ポルトガルでは多くの日本人選手がプレーしています。日本人選手同士の交流はありますか?
行友 ボア・ヴィスタの渡井理己選手とは一度お会いしました。あとフットサル日本代表がポルトガルに来ていた際にキングカズさん(三浦知良)にもお会いして、写真を撮っていただきました。めちゃくちゃ格好良かったです! オリヴェイレンセには友人の永田滉太朗選手がいるので、行った際にまたお会いしたいですね。この前はガチガチに緊張してしまい、あまり話せませんでした(笑)。

――今季からJ2で戦う愛媛に対する期待感も聞かせていただけますか?
行友 時差もあるのでなかなかリアルタイムは難しいですが、起きて必ず結果をチェックするようにしています。J2残留はできると思いますし、より良い順位に行けると信じています! 代表でも一緒にプレーした石渡ネルソン選手が来てくれたので、頑張ってほしいですし、活躍を期待しています。

――では、今季これから、プロキャリアにおける目標をお願いします。
行友 まずはトップチームのメンバーに入るため、目の前の一試合一試合で結果を残していけるように日々頑張っていきたいです。キャリアとしては、まずファマリカンで活躍して、何かを残して憧れのドルトムントに移籍できたら理想です。それを目指していきます。

――世代別の日本代表にも選出されていて、今後はU-20ワールドカップやロサンゼルス五輪などが行われます。日本代表への想いも聞かせてください。
行友 ポルトガルに来て、日の丸を背負う責任や覚悟を感じるようになりました。今もチームで日本人は自分一人で、日本人選手の代表だと思っています。U-20W杯やロス五輪といった大会でチームの中心として活躍できる自信はありますし、中心でいなければいけないという責任感もあるので、そのために日々積み重ねていきたいです。

――サッカー選手であれば、FIFAワールドカップは誰しもが立ちたい舞台だと思います。
行友 W杯でベスト8入りする時、自分が絶対にピッチに立っていたいと思っています。2030年のW杯はポルトガルでも開催されるので、そこで自分が出場して歴史を塗り替えたいです。そういった気持ちもポルトガルに来なかったら思えなかった気がするので、そこを目指せるようになったことは成長していると思います。

――最後にこの記事を通して、行友選手を応援してくれている皆さんに伝えたいことはありますか?
行友 愛媛のファン・サポーターの皆さんには、自分のことを知っていただけて、気にかけてくれていると思います。ただ、結果を残さないと自分の名前は日本に届かないと思うので、結果を出して日本に良いニュースを届けたいと思います!

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By 三島大輔

サッカーキング編集部

サッカーキング編集部所属。 週刊J2&月刊J3 MC。Jリーグ&ブラジルサッカーウォッチャー。

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