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ギグス「お金を払って見る価値のあった選手として記憶してもらいたい」

2013.02.04

ワールドサッカーキング』2011年0303号(No.171)より一部再掲
「インタビュー・ライブラリー」では、過去にワールドサッカーキングやカルチョ2002などで掲載した選手や監督のインタビューを改めて紹介。懐かしい写真とともに、お楽しみ下さい。
ギグス

若い頃は先のことをほとんど考えなかったし、具体的な目標を立てたこともない

デビュー直後にプレミアリーグとチャンピオンズリーグがスタートしたけど、これらはサッカー界の発展に影響したと思う?

ギグス そう思うよ。80年代は世界中のトップ選手がイタリアに集まっていた。チャンネル4(イギリスのテレビ局)でセリエAが放送されていたこともあって、イギリス人もたくさんイタリアへと渡った。でも、チャンピオンズリーグがスタートして、イングランドやスペインのクラブがミランやユヴェントスと互角の戦いを見せたことで、セリエAが絶対的なチャンピオンではないと分かったんだ。同時にイングランドではプレミアリーグが開幕して世界中の選手を受け入れるようになり、リーグのレベルが向上した。恐らく両大会が改編していなかったら、イングランドサッカー界はここまで盛り上がっていなかっただろうね。

君にとって世界一のリーグはやはりプレミアリーグ?

ギグス もちろんさ。リーグ全体のレベルの高さやサッカーの質の高さ、ファンを魅了するパフォーマンス。そのすべてが世界一だ。

チャンピオンズリーグは度々、レギュレーションが変わっているけど、これについては?

ギグス 規模がどんどん大きくなって、よりスリリングな大会になった。個人的には2次リーグを廃止したことが良かったと思う。グループリーグでは負けたら即敗退という緊迫した状況がなかなか訪れないからね。それと国ごとのポイント制によって出場枠を決めるところも面白いと思う。

君はブリットポップ(90年代に流行した音楽)やクール・ブリタニア(90年代後半に使われた「イギリス文化の繁栄」をたたえる流行語)が紙面を飾っていた時代からプレーしている。当時、サッカー以外で記憶に残っていることは?

ギグス 労働党が政権を奪取(97年)したことは覚えている。「新時代到来」と騒がれていたからね。それとクール・ブリタニアも印象的だな。あの頃はファッションも音楽も新しいものがたくさん出てきて、とてもエキサイティングだった。恐らく当時、一番流行ったのは『オアシス』じゃないかな。

君は『オアシス』のファンだよね?

ギグス ファンじゃないよ。大ファンさ(笑)。『モーニング・グローリー』(95年発売のアルバム)は今でもたまに聞いているよ。

90年代は景気が良く華やかだったけど、ここ数年は不況が続いている。サッカー選手の君が不況を実感することはあるのかな?

ギグス 本当に悲しいことだ。僕を含めて選手たちが不況に影響されることはほとんどないけど、家族や友達が少なからずダメージを受けているから他人事とは言えない。幸いなことに僕の友達の中で会社をクビになった者はいない。でも、何人かは自分の会社を持っていて社員にクビを宣告しなければならない状況みたいなんだ。そういう話はできれば聞きたくないし、早くこの国が不況から立ち直ってくれることを願うよ。

ここまで長く現役を続けられると想像していた?

ギグス 全く考えていなかった。というより、若い頃は先のことをほとんど考えなかったし、具体的な目標を立てたこともないんだ。(マンチェスター)ユナイテッドでキャリアをスタートさせた頃、スティーヴ・ブルースやブライアン・ロブソンがベテランとしてチームを引っ張っていたけど、僕にとって彼らは雲の上の存在だった。それが、今では僕が彼らと同じようなポジションにいる。改めて考えてみると驚くべきことだね。


ワールドサッカーキング』2011年0303号(No.171)より一部再掲
ギグス

(リー・)シャープのプレーを初めて見た時は「彼には勝てない」と思ったね

君が最高と思うプレーヤーは誰かな?

ギグス スコルジー(ポール・スコールズの愛称)だね。彼がいなかったら僕のタイトル数は半分になっていたはずさ。

キャリアで最も印象深い瞬間は?

ギグス 初めてヨーロッパチャンピオンになった99年のチャンピオンズリーグ決勝かな。僕らはロスタイムに2点を取って逆転した。サッカー界でこれ以上の奇跡はないと思うよ。

アレックス・ファーガソン監督とはもう20年以上の付き合いだ。時には親しげに「アレックス」と呼ぶこともあるのかな?

ギグス あるわけないだろう(苦笑)。僕にとって彼はずっと「ボス」だよ。

キャリアを通じて同じ監督に指導されることのメリットは?

ギグス 安定して力を発揮できることだね。監督は様々なフォーメーションを採用するけど、僕の役割が大きく変わることはない。常に攻撃的に仕掛けること。僕が最も楽しめるスタイルだ。監督の下でプレーできるのは本当にラッキーだよ。彼には無限大の知識と経験があって、毎日新しいことを学ばせてくれる。どんな選手でも監督の下なら必ず成長できるはずさ。

他の監督から指導を受けてみたいと思ったことはない?

ギグス 特に考えたことはないな。クラブでは一人の監督だけど、ウェールズ代表では何人かの監督と一緒に仕事をしてきたしね。いずれにしても、僕自身はファーガソン監督の下でずっとプレーできて幸運だと思っているよ。

ユナイテッドではこれまで何度もポジション争いを経験し、その都度、定位置を死守してきた。新たなライバルがチームに加入した時、君はどんなことを思う?

ギグス 自分の能力を信じるだけさ。いつも通りのプレーができればポジションを守れると思ってトレーニングに臨んできた。でも、(リー)シャープのプレーを初めて見た時は「彼には勝てない」と思ったね。シャープはスピードがあるだけでなく、力強くてクロスもうまかった。ケガでキャリアを棒に振ってしまったけど、実力は間違いなくトップクラスだった。

ユナイテッドから移籍することを考えたことはある?

ギグス 一度もないよ。20代の頃は常に2年か3年の契約を残していたし、ここでタイトルを勝ち取ることしか頭になかった。30歳を過ぎてからは1年ずつ契約を更新しているけど、クラブとの間で移籍のことが話題に上ったことはない。そろそろ引退の話は持ち上がるかもしれないけどね(笑)。

最後の質問だ。君はファンからどんな選手として記憶されたい?

ギグス ファンが興奮のあまりシートから立ち上がるほどのプレーを見せた選手として、お金を払って見る価値のあった選手として記憶してもらいたいね。

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