2013.01.08

C・ロナウドの未来、「超がつくほど負けず嫌いで目立ちたがり屋な男」の挑戦

ワールドサッカーキング 0117号 掲載]

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1月4日発売のワールドサッカーキング最新号では、2013年のサッカー界を動かす最重要100選手をカウントダウン形式で紹介。“永遠のライバル”リオネル・メッシと常に競い合っているかのように、ハイレベルな戦いを繰り広げるC・ロナウド。ピッチ内外で、彼のあらゆる行動が世界中の注目を浴びている。衝撃の「悲しみ発言」から気になる今後の動向まで、2013年もC・ロナウドから目が離せない。

 

「悲しみ発言」の理由はメッシへの対抗心から?

 

 クリスチアーノ・ロナウドは来シーズンもレアル・マドリーでプレーするのか? 常に退団のうわさが絶えない指揮官ジョゼ・モウリーニョほどではないが、R・マドリーで4シーズン目を迎えた今シーズン、C・ロナウドの周辺からはにわかに退団のうわさが聞こえ始めている。

 

「悲しいからゴールを喜べなかった」

 

 事の発端は昨年9月2日のグラナダ戦後、ミックスゾーンで発したこの一言だ。深刻な不況に苦しむスペイン国民を「あれだけ稼いでいるくせに何が悲しいのか」と怒らせ、新たな呼び名―その後しばらくスペインではトリステ(=悲しみ)にかけた「トリスティアーノ!」コールがはやった―まで授かるきっかけとなったこの騒動は、C・ロナウド本人が「クラブの人間は理由を知っている。これはプロフェッショナルな問題。それ以上は言えない」という煮え切らない説明しかしなかったことで、様々な臆測を呼んだ。

 

 UEFAが選ぶ最優秀選手賞を目の前でアンドレス・イニエスタに奪われたから? 「バロン・ドールにふさわしいのは(イケル)カシージャス」と発言したことをきっかけに、チーム内で最も仲が良かったマルセロとの関係が悪化したから? ポルトガル人女優との浮気疑惑が報じられ、恋人のイリナ・シェイクの怒りを買ったから? クラブに年俸アップを要求すべくプレッシャーを掛けたかったから?

 

 試合前日にフロレンティーノ・ペレス会長、ホセ・アンヘル・サンチェスGMと話し合いの場を設けてまで訴えたというその悲しみの理由は、結局いまだに闇の中だ。ただ彼の性格とR・マドリーで過ごした3シーズン半を振り返るうちに、その理由は自然と想像がつく。

 

 R・マドリーに来てからの2シーズン、彼はチーム、個人ともにリオネル・メッシ擁するバルセロナ、そしてそのメッシに全く歯が立たず、屈辱の日々を過ごした。ようやくリーグタイトルを奪回した昨シーズンもメッシのシーズン50得点に自己新記録の42得点をかき消され、バロン・ドール争いでは3年連続で完敗。代表でもワールドカップ、ユーロともに“メッシ抜きのバルサ”と言えるスペインに敗れたのである。

 

 メッシもバルセロナもスペインも、フットボール史上最強とみなされるほどのチームと選手だ。他の選手なら素直にライバルの優越性を認め、「相手が悪かった」と開き直ることで自身のプライドを保つところだろう。だが、C・ロナウドは結果や記録から周囲の評価や名声まで、すべてにおいて自分が一番でなければ満足できない、超がつくほど負けず嫌いで目立ちたがり屋な男である。

 

 ゆえに彼は、恐らくR・マドリーに来て以降、一度も心底満たされたことがないのではないか。どれだけ勝利を重ね、ゴールを奪い続けても、スペインにいる限り常に彼はメッシとの比較にさらされ、行く先々で「メーッシ!」とからかわれる。しかも他国へ行けば自身がナンバーワンになれると分かっているのだから、一時的にでも気持ちが退団に傾いたとしても不思議ではないと思う。

 

現実的な移籍先はユナイテッド復帰のみ

 

 しかし、仮にC・ロナウドが本気で移籍を望んだとして、果たして彼にはどれだけの選択肢があるだろうか。第一候補は古巣のマンチェスター・ユナイテッドだろう。アレックス・ファーガソン監督は「彼の復帰が実現するとは思えない。あり得ると考えたいがね。彼の移籍金を支払うのは不可能だ」と買い戻しの可能性を公に否定しているが、金銭的な問題についてはマンチェスター・UとC・ロナウドの双方と契約を結んでいるナイキ社の援助があるはずとの見方もある。

 

 それでも10億ユーロ(約100億円)という法外な違約金を全額払うのは不可能。更に資金力で上回るマンチェスター・シティーやチェルシー、パリ・サンジェルマンらのオファーで移籍金を引き上げられれば、更に立場は厳しくなるだろう。だが、それでもマンチェスター・Uにはプレミア、チャンピオンズリーグともに毎年優勝を狙える力、そして何よりファーガソンとの信頼関係という武器がある。

 

 その点、マンチェスター・Cはマンチェスター・Uとのライバル関係というモラル的問題があり、チェルシーはチーム力とクラブの安定感で他の2クラブに明らかに劣る。パリSGは国内リーグのレベルの低さが足かせとなるだろう。つまりはマンチェスター・Uが相当の努力をしてくれない限り、C・ロナウドは現在の環境を下回る移籍先しか選べないのである。

 

 いずれにせよ、まだC・ロナウドにはR・マドリーで成し遂げるべき最大の目標が残っている。悲願のデシマ(CL10冠目)獲得である。もし彼が今シーズン、この目標を達成し、それでも「メッシとバルサには及ばない」という評価を覆せなかったとしたら……。その時彼は、4年間抱え続けてきた悲しみを癒やすべく、新たな挑戦へと踏み出すのではないか。

 

 

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