『鉄槌サッカー』で掴んだ、アジア王者の称号
今シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)は、蔚山現代(韓国)の優勝で幕を閉じた。
11月10日に一発勝負で行なわれた決勝戦は、アルアハリ(サウジアラビア)との対戦となった。戦いの舞台は抽選で決まり、蔚山現代がホームで戦う権利を得る。蔚山文殊サッカー競技場に史上最多の観衆を集めた一戦は、ホランイ(韓国語で虎の意)の愛称を持つホームチームが持ち味を存分に発揮する。
準決勝までの11試合を9勝2分けの無敗で乗りきっていた蔚山現代は、堅固なディフェンスを伝統とする。そのうえで、今シーズンは攻撃力に磨きをかけてきた。鉄壁の守備を土台に好機を生かすサッカーは、地元メディアから『鉄槌サッカー』と呼ばれる。
13分、J1リーグの京都サンガに所属したことのある郭泰輝(カク・テヒ)のゴールで先制した蔚山現代は、68分にラフィーニャ、75分に金承龍(キム・スンヨン)がゴールネットを揺らす。追加点を奪った二人は、いずれもJ1リーグのガンバ大阪に在籍経験のある選手だ。
3対0のまま終了のホイッスルを聞いた蔚山現代は、クラブ史上初となるアジアの頂点に君臨した。昨シーズンはアル・サッド(カタール)に奪われたアジア王者の称号を、2シーズンぶりに東アジアサッカー連盟(EAFF)加盟国へ引き戻したのである。韓国勢としても2シーズンぶりの優勝だ。
4チームが出場したJリーグ勢は、名古屋グランパス、柏レイソル、FC東京がグループステージを突破した。しかし、いずれもラウンド16で姿を消している。一発勝負のゲームを敵地で戦う難しさが、各チームを苦しめたようだ。