2012.12.10

クラブW杯を心待ちにするチェフ「日本人がどれだけ熱狂的か知っている」

ワールドサッカーキング 1220号 掲載]

世界一を懸けた戦いを目前に、チェルシーは監督交代という試練を迎えた。

しかし、ヨーロッパ制覇の立役者となった守護神に不安や焦りはない。

ペトル・チェフは冷静かつ情熱的に、タイトル獲得を見据えている。

 

インタビュー=クリス・ヘザラル
翻訳=田島 大

 

 

ディ・マッテオはクラブの歴史の一部

 

まずはネガティブな話から始めなければならない。ロベルト・ディ・マッテオ監督が解任されたことについてどう思う?

 

チェフ(以下C)──とにかく残念としか言いようがない。監督もコーチ陣も選手も全員が同じボートに乗っていたから、責任は僕ら全員にあるんだけどね。チームの調子が悪くなると、どうしても真っ先に矢面に立たされるのは監督なんだ。本当に残念だよ。でも、彼は今後もこのクラブの歴史の大きな一部であり続けるはずさ。選手として、監督として成し遂げたすべてがね。

 

監督交代のきっかけとなったチャンピオンズリーグのユヴェントス戦を振り返ってほしい。

 

C──僕らはあの試合にいい状態で入った。いい守備を見せていたし、カウンターから3度もゴールチャンスを作ったしね。でも、ああいう重要な試合でチャンスを生かせなければ勝つのは難しい。逆にユヴェントスはわずかなチャンスからラッキーなゴールを決めた。「運」という部分では、僕らにとっていい夜ではなかった。

 

新監督のラファエル・ベニテスについてはどうかな? マンチェスター・シティー戦ではブーイングするファンもいたようだけど。

 

C──元リヴァプールの監督ということで仕方のない部分もある。でも今、彼はここにいて、チームが勝てるように取り組んでいる。みんなが受け入れてくれることを願っているよ。

 

さて、暗い話はこれぐらいにして話題を変えよう。チェルシーは間もなく世界一の称号が懸かったクラブ・ワールドカップ(以下CWC)に参戦する。ヨーロッパ王者としての大会への意気込みは?

 

C──ヨーロッパ制覇はクラブにこれ以上ない誇りと名声を与えてくれた。サッカー界の歴史に刻まれる出来事だったし、クラブの棚に唯一足りなかったトロフィーを加えたことで、間違いなく自信は深まったよ。これからは新しい時代のスタートだと思う。みんなヨーロッパ王者の気分を満喫しているし、もっとトロフィーを獲得したいというハングリーさもある。CWCはもちろん優勝したいと思っているよ。

 

日本へ行くのは楽しみ?

 

C──僕は新しい国を訪れ、新しい経験をするのが好きなんだ。それに、過去に代表戦で日本を訪れたことがあるから、彼らがどれだけサッカーに熱狂的かも知っている。きっと大会中のスタジアムは、素晴らしい雰囲気に包まれるだろうね。

 

そのCWCに出られるのも、すべてはミュンヘンでのバイエルン戦で勝利を収めたからだ。

 

 C──そうだね。それにあの優勝によって、僕らは今シーズンもCLに出場することができた。それを忘れちゃいけない。チェルシーのようなビッグクラブがCL出場権を逃すなんてあってはならない。全員にそういう気持ちがあったからこそ、僕らは有終の美を飾ることができたんだと思う。

 

 

昨シーズンのCLでポイントになった試合は?

 

C──大抵の人はカンプ・ノウでのバルセロナ戦の話をする。確かに、あの試合でのパフォーマンスは素晴らしかったし、最高の夜だった。でも、ナポリとのホームゲームも思い出してほしい。アウェーでの第1戦(1- 3 で敗北)を終えた時点で、みんな僕らが逆転するのは無理だと思っていたはずだ。でも、僕らはスタンフォード・ブリッジでナポリを倒して勢いに乗った。「サッカーに不可能はない」ってことを証明するシーズンになったね。

 

改めて優勝の要因は何だろう?

 

C──とにかく諦めなかったことさ。チームのために全力を尽くし、不屈の精神を見せた。もちろん、経験豊富な素晴らしい選手たちがいたことも忘れちゃいけない。昨シーズンの僕らは勝ち方を知っているチームだったのさ。とはいえ、どう考えてもあれは奇跡的だったね(笑)。

 

 

あくまでも勝利にこだわりたい

 

今シーズンの目標は? まずはCWCの制覇かな?

 

C──もちろん、CWCは重要なタイトルだ。でも、プレミアリーグでも成績を上げないといけない。昨シーズンは僕がチェルシーに加入して以来、最も成績の悪いシーズンだった。とても及第点とは呼べなかったよ。チェルシーは常にすべてのタイトルを狙うクラブだ。まずはCWC、そして準々決勝まで進んだリーグカップ。少なくとも2月には2冠を達成していることになるね(笑)。

 

CLを制して何か変わったことはある? これまでよりも堂々とプレーしているように見えるけど。

 

C──優勝したこと、苦しいシーズンを乗り越えたことで大きな経験を得た。それは、必ず今後に生きてくる。今は1試合1試合をこなしながら、プレーを楽しみたいと思っているよ。

 

CWCで最大のライバルになりそうなコリンチャンスについて何か知っていることはある?

 

C──参加するすべてのクラブが大陸チャンピオンなわけだから、ライバルはコリンチャンスだけとは限らないよ。まあ、ウチには素晴らしいブラジル人選手がたくさんいるから、ブラジルのクラブの強さは分かっているつもりさ。

 

昨シーズンからチームは様変わりしたよね。ディディエ・ドログバが退団して中国に渡ったけど、彼の不在はやはり大きい?

 

C──彼は特別な選手であり、人格者でもあった。正直、彼の抜けた穴は大きいと思う。でも、それがサッカーってことさ。今シーズンはハングリーな選手たちが加入した。特にオスカルと(エデン)アザールは素晴らしいスタートを切ったと思うよ。

 

チームスタイルも大幅に変わったよね。特にシーズン序盤の君たちはバルセロナのような美しいサッカーを見せていた。

 

C──違うよ。僕らは「チェルシーのサッカー」をしているんだ。どんなに魅力的なサッカーをしたところで、勝たないと意味がない。常に魅力的なプレーができたら最高だけど、それができない時は泥臭く勝つまでさ。それが僕らのサッカーなんだ。新しいスタイルを目指しつつも、あくまで勝利にこだわっていきたいね。