2012.11.24

サガン鳥栖スペシャル対談 「初心忘るべからず」 豊田陽平×藤田直之

Jリーグサッカーキング1月号 掲載]
サガン鳥栖が誇る大エースとアグレッシブなプレーで中盤を引き締めるキャプテン。記念すべきJ1初年度、一丸となって戦うチームにおいて、大黒柱とも言える両選手が激闘のシーズンを振り返ってくれた。鳥栖は果たしてどんな戦いを繰り広げてきたのだろうか。
「初心忘るべからず」豊田陽平×藤田直之インタビュー・文=島田 徹 写真=新井賢一

レベルの高い環境での勝負を喜びに感じる(藤田)

初めてのJ1を戦ってきた9月に、目標の再設定がありましたね。

藤田 開幕前の第一目標はJ1に残留することでしたが、成績が良かったこともあり、9月に入って監督から「3位以内を目指そう」という話がありました。その目標に向かって残り試合を戦っている状況で7位につけていますが、3位の浦和レッズまでの勝ち点差は2ポイント。残り3試合(11月16日時点)であることを考えれば、目標達成の可能性は残されていますし、「よくやっている」と言える成績ではないでしょうか。

開幕前、やはり「苦しい1年になる」との予想があったのでしょうか。

藤田 僕自身、そしてクラブとしてもJ1を戦うのが初めてでしたから不安もありましたし、厳しい戦いになるだろうと感じていました。もしかしたら、雑誌などの多くのメディアが開幕前の順位予想で鳥栖を最下位と予想していたことに影響されたかもしれませんね(笑)。

豊田選手は名古屋グランパスと京都サンガですでにJ1の舞台を経験していました。その経験を踏まえてもやはり今シーズンは厳しい戦いになると予想していましたか?

豊田 間違いなく厳しくなるだろうと思っていました。予想もそうでしたし、実際もそう。そして今現在も厳しい戦いは続いていると認識しています。少しでも気を抜けば、この前のように3連敗(第27節~第29節)することもあるので、厳しい戦いの中で必死に戦い続けて、100パーセントの力を出し切ることを意識してやっているからこそ、現状があるのだと思います。

J1とJ2の違いについてお聞きしたいのですが、例えば、豊田選手が相手の最終ラインにプレスを掛ける時にはどんな違いがありますか?

豊田 基本的にJ1の最終ラインにはポゼッション能力が高い選手が多いので、簡単にボールをはたかれないように、自分が行くコースやタイミングに注意を払っています。特にタイミングに関しては味方のボランチと息を合わせる必要がありますね。J2でも同じやり方でプレッシングを行っていましたが、J1ではボールに寄せるコース取りやタイミングを含めた細かな部分の精度アップが必要だと感じながらプレーしてきました。その精度はシーズンを過ごすうちにレベルアップしたという実感が持てています。

藤田 効果的なプレスを掛けるためには選手間の連携は絶対に必要ですし、大切なポイントであることは間違いありませんが、最も大事なのはやはり一対一の局面、個人の対応力です。簡単にかわされては意味がありませんからね。そういう意味で、J1の舞台では一対一の対応が難しくなったと言えます。やはりJ2と比べれば、かわされることが多くなりましたから。そういう状況の中で、どこまで粘り強く行けるのか、あるいはボールに寄せる間合いをどう変化させるのかなど、個人で課題を感じて修正する必要がありました。そのことについては、修正までの時間に個人差はありましたが、うまくレベルアップできたのではないでしょうか。そして一対一での個人対応がレベルアップしたことによって、チームとしてのディフェンスもレベルアップしたと感じています。

「初心忘るべからず」豊田陽平×藤田直之
藤田選手はボランチとしてボールの配球役を担っています。相手から受ける圧力もJ1になると厳しくなったのでは?

藤田 J2にもJ1でプレーできるだけの能力を持っている選手はたくさんいましたから、それほど大きな差は感じませんでした。厳しさに変わりはないと思いますよ。

今シーズン、個人的に改善、レベルアップに努めた点はありますか?

藤田 常に何かしらを改善しなければいけないポイントはありますし、それを自分自身で見つけなければならないとも思っていますが、特に意識していたのは、狭いスペースでボールを受けた時にどれだけ素早くボールを展開できるか。ワンテンポ遅れるだけで、ボールを失うことがありますし、つなぐことができても、僕の球離れが少し遅れたことでその後の攻撃の展開が大きく変わることもあります。それはJ1だからではなく、J2で戦った昨シーズンから意識して取り組んでいたことでもあります。

初めてのJ1でのプレーはどうですか?

藤田 とても楽しいです。メディアに取り上げられる回数も多いですし(笑)。性格上、レベルの高い相手や環境で勝負することをプレッシャーに感じるのではなく、喜びに感じるタイプですから。

豊田 「J1」、「J2」とリーグの呼び名が変わるだけで、価値観がずいぶんと違います。同じ1勝でもJ2とでは周囲の捉え方が違いますよね。そういうところを僕はあらためて面白いなと感じながら、そしてそこに一つのやりがいも感じています。