2012.08.10

熱狂ではなく失望が漂うスペイン移籍市場

  サッカーキングが、「サッカーキングプラス」としてdocomo、au、SoftBankの公式サイトに登場しました。現在行われているブラジル・ワールドカップ出場権を懸けたアジア最終予選やユーロ2012の特集、イングランドやドイツ、スペインなど、ヨーロッパ初の特別書きおろしコラムなど、サッカーの”今”を伝える会員限定コンテンツが盛りだくさんです。

 今回は、スペインで取材を座間健司氏のコラムを展開するサッカーキングプラスのコンテンツ「スペイン発!リーガコラム」の中から、スペインの苦しい財政事情から来る静かな移籍市場にスポットを当てたコラムを特別にサッカーキングで公開します!

 

 

 静かな夏だ。

 

 ロンドン・オリンピックグループリーグ初戦で日本に敗れ、続くホンジュラス戦でも黒星。早々と大会から姿を消したスペインのオリンピックサッカー代表。開幕前は1992年のバルセロナ・オリンピックで金メダルを獲得した当時のエース、キコとオリンピック代表でアトレティコ・マドリードのエース、アドリアンがスポーツ紙の1面を飾るなどそれなりに期待されていた。だが、金メダル最有力候補は1次リーグで敗退。3戦戦って、勝点1、得点と勝利は0。「大失敗」と批評され、監督のミジャは「全責任は私にある」と釈明した。

 

 男女のサッカーチームの躍進によって、大きな盛り上がりを見せる日本に比べ、スペイン人にとってロンドンオリンピックのサッカーは、もはや他人のイベントになりつつある。唯一の関心はネイマールくらいだ。バルセロナ寄りの新聞は「ネイマールがオリンピック後にバルセロナに入団する」という爆弾があるかもしれないと可能性が低いことを大げさに報じる程度だ。

 

 今夏は大きな移籍劇もない。レアル・マドリード、バルセロナの2強は放出をしなければ、選手を補強できない状況だという。だから紙面をカカ、アルシャヒン、カルバーリョといった放出候補たちの名前が賑わし、レアル・マドリード入団と騒がれたモドリッチ、バルセロナ獲得を希望するハビ・マルティネスや急浮上したアーセナルのソングという名前はあまり出てこない。そろそろ8月も中旬を迎えるが、移籍市場は今のところ、人々を熱狂させていないのが現状だ。

 

 反対に失望させているのではないだろうか。

 

 お金持ちだったはずが、今夏に急に財政面で問題を抱えていることが発覚したマラガ。給料未払いが続き、今後も支払いの目処は立たず。クラブのアラブ人オーナーは売却交渉を進めている。昨季は史上初めて欧州チャンピオンズリーグの出場権を手にしたが、今やチームは崩壊の危機にある。ペジェグリーニ監督はチームを出ていくことを明言し、エースであるスペイン代表のカルソラはイングランドのアーセナルへ移籍した。2強を脅かす存在として期待されていたマラガだが、たった1年でそのプロジェクトは終わってしまいそうだ。

 

 よく代表チームのサッカーは、その国の国民性を映すというが、同じように移籍市場はその国の経済状況を映す絶好の鏡と言えるだろう。優秀な人材はどんどん外へ出て行く。危機にあるスペイン国内経済市場は、同時にサッカーの移籍市場をも映し出している。

 

【プロフィール】
座間健司(ざま・けんじ)
1980年7月25日生まれ、東京都出身。2002年、東海大学文学部在学中からバイトとして『フットサルマガジンピヴォ!』の編集を務め、卒業後、そのまま『フットサルマガジンピヴォ!』編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。フットボールは2008-2009シーズンからビジャレアルのソシオとなり、定期的に試合観戦をしている。2012年よりフットサル、フットボールを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。

 

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