
文=akira
週末の行楽にサッカーを選び、スタジアムに足を運ぶ人々は日本でも多くなってきた。直近のJ1・2ndステージ第14節(10月17日開催)が開催された各会場には、計163,818人もの人々がスタジアムにやってきた。中でも、デンカビックスワンスタジアムで行われたアルビレックス新潟対松本山雅FC戦には31,324人が訪れ、15位と16位による残留争いの瀬戸際で行われた直接対決の行方を見守った。
さて、スタジアムでサッカーを観るにあたって持っていると便利なものがある。それはネット環境だ。
サッカーに限らず、すでに日常生活のあらゆる場面で必要なものとして定着しているインターネットだが、スタジアムでのサッカー観戦においてもその需要は高い。主な用途には他会場の試合経過のチェックが挙げられるが、スマートフォンの普及や各種SNSの発達に伴って、自らの意見や楽しみを発信する人も増えてきた。一例として、twitterなどでハーフタイムに前半の総括をおこなったり、スタジアムの風景やグルメを写真や動画に撮ってアップロードしたりすることなどがある。特に後者は週末のレジャー体験においてごく一般的に行われることであり、週末の楽しみをより豊かなものにしようとする中でしばしば見られる光景だ。
こうした需要があるにもかかわらず、日本にはネット環境の整備が追いついていないスタジアムが多い。そんな中、2015年10月17日付けのスポーツニッポンがあるニュースを報じた。記事によれば、村井満・Jリーグチェアマンは無料で利用できるWi-Fiサービスを、複数のスタジアムを対象として、試験的に導入する計画があることを明らかにしたという。
だが、実は今季からWi-Fiについての取り組みを始めたクラブがある。この取り組みは十分に期待できるものだが、国外の事例を鑑みれば、Wi-Fiを導入することの弊害について目を向ける必要もありそうだ。詳しくは後述することにして、今回は、高まるニーズと国内外の現状や実情などを交えながら、“スタジアムWi-Fi”導入の是非について考える。

日産スタジアムで行った実験と、川崎が実施するサービス「FRONTALE FREE Wi-Fi」
先日、筆者は日本のスタジアムの現状の一部分を調査すべく、ネット環境に関してある実験を画策した。実験場所に選んだのは日産スタジアム。この日、このスタジアムではJ1・2ndステージ第14節横浜F・マリノス対ヴィッセル神戸戦が開催された。
実験を行うにあたって、筆者は通信速度を測るスマートフォンアプリを事前にインストール。開始時刻をハーフタイム開始3分後と設定し、ハーフタイム中の通信速度測定を行う実験に備えた。
試合は14時5分にキックオフし、アディショナルタイムを経て14時52分に前半終了の笛が吹かれた。当初の設定通り、筆者はハーフタイム開始から3分後の14時55分にアプリを起動。しかし、ここでアクシデントが発生する。なんと通信速度測定に利用するサーバーにすらアクセスできず、測定エラーとなってしまったのだ。
筆者がインストールしたアプリは、通信速度を測る上で、最初に周辺のサーバーの中で最も速度の速いものを検索する方式を採っていた。そして、最速のサーバーと接続でき次第アップロードとダウンロードの速度測定を行うのだが、トラフィックの集中からか、このサーバーとの接続を確立できなかったのである。このあと5分間再測定を続け、その間何度も繰り返したもののやはり接続できなかったため、やむなく実験を中止とした。
試合開始前や終了後は問題なく利用できていたことや、試合の流れが一度止まる時間帯であるという性質を考えると、ハーフタイムにアクセスが集中するのは妥当である。この日は22,598人が日産スタジアムに来場していたが、これだけの人数が一斉にインターネットに繋ごうとすれば基地局への負担が大きくなる。捌ききれなくなるのは当然のことだろう。同様の現象は夏の花火大会などでも頻発するため、すでに多くの人々の間で認知されている。しかしながら、やはり不便に感じてしまうのは致し方ない。
こうしたネット環境についての現状を打破しようと動き始めたクラブが、川崎フロンターレである。現在、川崎は本拠地・等々力陸上競技場のメインスタンドを対象に「FRONTALE FREE Wi-Fi」というサービスを提供している。川崎の公式サイトによると、このサービスではインターネットへの接続はもちろん、なんと「スカパー!オンデマンド」のサービスも無料で受けられるという。つまり、スタジアムにいながら試合の中継が観られるのだ。スタジアムの雰囲気の体感やピッチ全体の俯瞰が可能な現地観戦の利点と、リプレイやズームインなどの見易さを追求できる中継観戦の利点の両方を同時に享受できる。Jリーグ初の試みといわれるこのサービスは、スタジアムのネット環境改善の促進剤となるばかりでなく、観戦スタイル多様化の一翼を担うことにもなるだろう。
なお、去る2015年6月7日の対湘南ベルマーレ戦では、サービス開始を記念し、スタジアム内の全エリアでサービスを試供する実験が実施された。メインスタンドのみならず、その他バックスタンドや各サイドスタンドでもこのサービスを提供するというこの試みについては、公式サイト内の「フロンターレ日記」で実験結果がまとめられている。その報告によれば、このサービス提供実験は概ね好評だったようだ。
なお、この実験に参加したのはおよそ5,000人と多くなかった。だが、その原因には各自の利用登録が完了していなかったことが挙げられている。フリーWi-Fiスポットがあまり多くない日本ではこうした無料Wi-Fiサービスの利用に不慣れな人も多いため、利用方法の周知を強化すべきだという課題も明らかになった形だ。
いずれにせよ、スタジアムにおけるネット環境の整備にWi-Fiサービスが大きな役割を担う可能性は高い。川崎の取り組みは注目に値するものだ。
ホームゲームはほぼ皆勤。アウェーは中継か、ときどき現地で観戦。マリノスのマッチレポートを中心に、Jリーグ、アメリカ・メジャーリーグサッカー(MLS)に関するコラムなどを我流で執筆。興味、関心の幅を広げ、日々発展途上であり続けるよう努めています。
サッカー未経験なりにいろいろなことを吸収して、少しずつ大きくなっていこうと思います。
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