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2015.09.20

【2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証】<第4回>マンチェスター・U篇

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。


 2015-16シーズンが開幕して約1カ月が経過。チャンピオンズリーグも本戦が始まり、ヨーロッパ各国リーグの戦いも本格的にスタートしました。

『サッカーキング』では4大リーグから10チームをピックアップし、夏の補強やここまでの戦略を分析。さらに少し気が早いですが今シーズンの達成目標までを考察し、毎日1チーム、10日間にわたり連載形式で「2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証」をお届けします。

 第4回は、サー・アレックス・ファーガソン監督退任後の迷走を経て、浮上のきっかけを掴みつつあるマンチェスター・U。欧州屈指のビッグクラブ“赤い悪魔”の今季序盤戦を総括します。

マンチェスター・U

文=Footmedia

基本フォーメーション

※プレミアリーグ第5節終了時点

夏の戦力補強評価

採点…4(5点満点)

 1年前の夏は、アンヘル・ディ・マリアとラダメル・ファルカオの獲得が大失敗に終わった。だが、今年は同じ轍を踏むことはなさそうだ。昨シーズンのエールディヴィジ得点王で、ルイ・ファン・ハール監督の愛弟子でもあるメンフィス・デパイをPSVから獲得したのを皮切りに、マッテオ・ダルミアン(トリノ)、モルガン・シュネデルラン(サウサンプトン)、バスティアン・シュヴァインシュタイガー(バイエルン)と、手薄だった右サイドバックとセントラルMFに即戦力を素早く確保し、プレシーズンでしっかり彼らを馴染ませてからプレミア開幕を迎えることができた。

 さらに、移籍期限最終日にはモナコから「ニュー・アンリ」と呼ばれるアントニー・マルシャルを獲得。総額およそ1億ポンドという支出は獲得選手の市場価値と比べて高すぎる感もあるが、ディ・マリアを潔くパリSGに売却して4400万ポンドの収入を作ったことでカバーできている。欲を言えばセンターバックも1枚欲しかったところだが、最終的には守護神ダビド・デ・ヘアのレアル・マドリード流出回避という“棚ボタ”もあり、総じてマーケットの勝ち組だったと言えよう。

新戦力のここまでの評価

 夏の補強の目玉だったデパイが早くも“新7番”として大器の片鱗を見せている。ややプレーが独りよがりだが、それも若さゆえ。それ以上に強気の仕掛けと思い切りのいいシュートが魅力的で、しっかり新チームの武器となっている。

 彼以外にも、新戦力はこぞってうまくフィットした印象だ。ダルミアンはイタリア人らしく安定した守備と戦術理解度の高さを見せて右サイドのレギュラーに定着。シュヴァインシュタイガー、シュネデルランも、キャリックを含めた3枚でセントラルMFの2枠をローテーションする盤石の陣容作りに貢献している。

 加えて、ルーニーが「誰?」と発言して話題になった“未知の存在”マルシャルがデビュー戦で、それも宿敵リヴァプール相手にいきなり初ゴールを決めるという嬉しいサプライズもあった。「ギャンブル補強」という揶揄、「歴代最高額のティーンエイジャー」という重圧に押し潰されてしまうのでは、という懸念もあったが、どうやら外野の声はあまり気にならないタイプらしい。クラブOBのルート・ファン・ニステルローイも絶賛する19歳は、未来への投資ではなく即戦力となるかもしれない。

チームとしての注目ポイント・選手

 開幕5試合で勝ち点10ポイントの3位とスタートはまずまず。とはいえ、ファン・ハール監督はマルアン・フェライーニを存分に生かす昨シーズン後半の“効率重視”を脱却し、よりアクティブで多彩な攻撃を構築しようとしているが、その成果はまださほど見られない。

 カギを握るのは、やはりウェイン・ルーニーだ。リーグでは開幕からいまだゴールがなく、昨季から数えて自己最長のプレミア10試合連続ノーゴールと波に乗れていないが、ロビン・ファン・ペルシーが退団したいま、彼の爆発なくして優勝争いに絡むことは不可能だ。キャプテンとエースの重責を兼務するのは大変だが、それに応えてこそ千両役者である。

 また、副キャプテンを務めるマイケル・キャリックも攻守のスイッチ役として重要だ。昨シーズンはケガに泣き、彼が欠場した試合で大きく勝率が落ちたというデータもある。中盤の補強により負担が減ったことで、“ここ一番”でルーニーを支える働きをより期待したい。

 アレックス・ファーガソン時代を知る選手がめっきり減り、一部では「ユナイテッドらしさがなくなった」という声も聞かれる中、チームを引っ張る古参2人の出来には要注目である。

チームとしての懸念点

 チャンピオンズリーグの初戦、PSVに1-2と逆転負けを喫したゲームで、相手のタックルを受けたルーク・ショーが重複骨折を負ってしまった。手術を受けたばかりで正確な復帰時期はわかっていないが、下手をすれば早くもシーズンアウトの可能性もある重傷だ。

 チーム随一の好調ぶりを見せていた左サイドバックを失ったという純粋な事実だけでも痛いが、さらに痛恨なのはプレシーズンからほぼ固定で連携を高めてきた4バックが解体されることだ。開幕からセンターバックを務めていたダレイ・ブリントが左にスライドし、マルコス・ロホが中央をカバーすることになりそうだが、この変更で昨シーズンから燻っていた守備の不安が再燃する可能性がある。ショー以外にも、成長著しいクリス・スモーリングや、便利屋のブリントなど誰かもう1人が負傷離脱する不運が重なれば、問題は一気に深刻になる。今後、「夏にセンターバックを獲得しておけば……」と悔やむことにならないよう、サポーターは祈っているはずだ。

シーズン最終目標・予想

 戦力と攻撃力ではマンチェスター・Cに、完成度と守備力では(今は不調とはいえ)チェルシーにまだ及ばない。それでも、チーム力は確実にアップしている。ファン・ハール監督は「まだ優勝する力はない」と謙遜するが、できるだけ長くプレミアの優勝争いに食らいつき、チャンピオンズリーグでも生き残って「あわよくばタイトル」を狙える位置をキープし続ければ、何かが起こるかもしれない。

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