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欧州制覇に王手のスペイン、守護神カシージャス「連覇が難しいからこそ俺たちは燃えるんだ」

2012.06.28

ワールドサッカーキング 2012.07.05(No.221)掲載]
 レアル・マドリーとスペイン代表の正GK、イケル・カシージャスは数々のトロフィーを手にした今も、タイトルに飢えている。どこまでも勝利に貪欲で努力を怠らないメンタリティー。それが世界最高の守護神を形作るベースとなっている。

 現代最高の呼び声も高い“守護神”。現欧州王者の頼れる背番号「1」が連覇への思いを語る。

インタビュー・文=ホセ・フェリックス・ディアス、構成・翻訳=高山港、写真=兼子愼一郎

 カシージャスはキャプテンとして何度となく優勝トロフィーを天に掲げてきた。昨シーズンはコパ・デル・レイ、そして今シーズンはリーガのタイトルを獲得。無敗を誇ったバルセロナを倒し、レアル・マドリー創設以来32回目となるリーガ制覇を果たしたことは「偉業」と言ってもいい。

 そして今、カシージャスはスペイン代表という夢の中にいる。ラ・ロハ(スペイン代表の愛称)のキャプテンとして、レアル・マドリーとはまた別の目標に向け邁進しているのだ。

■連覇が難しいからこそ俺たちは燃えるんだ

リーガを制した今、イケル・カシージャスの次なる目標は?

カシージャスーーこれから先も多くのタイトルを手にしたい。今回は俺にとって5度目のリーガ制覇だった。当然、来シーズンは6度目を狙うよ。昨シーズンは初めてコパ・デル・レイ優勝の喜びを味わったから、今度は2度目。すべて同じさ。俺は常に野心を持っている。いつだってタイトルが欲しいんだ。

代表での目標もタイトルということになるの?
カシージャスーーもちろんさ。俺はすごくシンプルな人間なんだ。4年前、スペイン代表の一員としてユーロ優勝を体験した。2年前にはワールドカップ(以下W杯)優勝の美酒を味わった。勝利の喜びはいつでも格別なんだ。ユーロ連覇を成し遂げて、ブラジルW杯では2度目の世界制覇を目指すつもりだ。

勝利に貪欲なことが君の特徴か。
カシージャスーータイトルに飽きたとか、サッカーに疲れたとか、そんな感情とは無縁だね。もしそんなことを感じたら、すぐさま大志を抱く他の選手にポジションを譲る。リーガやCL、ユーロやW杯で優勝するために必要なのは、野心であり大志だと思う。もちろん、チームで勝ち取るタイトルだから、大きな野心と勝利への願望を持った者たちが集まることが重要なんだ。

では、ユーロ2012について話してもらえるかな。スペインは優勝候補の筆頭と見なされているけど、優勝の可能性はどのくらいかな?
カシージャスーースペインが本命視されていることは知っているけど、ユーロ連覇が至難の業であることも理解している。ただ、ユーロ2008と南アフリカW杯で優勝した後も「もう十分だ」なんて思ってる者は一人もいない。今もチームにはハングリー精神が満ち溢れているんだ。ユーロ連覇が難しいと分かっているからこそ燃えるんだよ。それに、俺たちは自分たちのサッカーに自信を持っている。今回もスペインにとって素晴らしい大会になると信じているよ。

4年前のユーロと比較して、スペイン代表のプレースタイルはほとんど変わらないように見える。
カシージャスーー最大の違いは周囲の目だろうね。4年前、スペイン代表が優勝すると予想している人はほとんどいなかった。だから当時、俺たちの優勝は「番狂わせ」と見なされた。それを考えると、今の状況はまるで違う。誰もがスペイン代表のサッカーを知り尽くしていて、様々な対策を練ってくる。自分たちの好きなようにはさせてもらえないと考えておくべきだろう。厳しい戦いになることは覚悟しているよ。だけど、俺たちもすごく良い状態にある。

大会の成否を分ける要素は?
カシージャスーー勝負を決めるのはいつも、ほんの小さな要素だ。特に決勝トーナメントに入ってからは、一つのプレーが勝負を分けることもある。勝ち進むためには最大限の集中だけでなく、持っているものすべてを出し尽くすことが必要だ。

君は5月20日に31回目の誕生日を迎えた。そろそろ引退後のプランを考える時期なのでは? 
カシージャスーー現役引退なんてまだ先だ。さっきも言ったように、俺はブラジルW杯でもプレーするつもりだからね。W杯が終わった時に自分のコンディションをじっくり確認して、そこから先のことを決めたいと思っているけど、2018年まではプレーできるんじゃないかな。一つでも多くの試合に勝ち、一つでも多くのタイトルを手にする。それが俺の目標なんだ。

君が常に高いレベルでプレーできている理由は何なのだろう?
カシージャスーー俺は自分自身に「高い目標を持ち続けろ!」と常に言い続けている。日々のトレーニングでも自分に大きな負荷を掛け、100パーセントの力で取り組むようにしている。自分が描く夢を実現させるには、「成し遂げたい」という強い気持ちが必要なんだ。デビュー前は「マドリーの正GKになりたい」という夢を持っていて、願いをかなえるための努力を怠らなかった。今の俺はユーロで優勝したいと強く願っている。きっと今回も夢はかなうよ。俺たちスペイン代表はこの数年間、レベルの高いサッカーを見せてきた。リーガやCLで見せているようなスペインらしいサッカーを、今回のユーロでも披露するために、しっかりと準備をしてきたつもりだ。やるべきことはシンプルだ。自分たちの力を信じて、それを正しくピッチで表現すること。そうすれば必ず勝利の道は見えてくるはずさ。

大会のベストGKになる自信は?
カシージャスーーあまり興味はないね。周囲から認められたらうれしいけど、俺の願いはスペインが優勝することだけなんだ。

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【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。『STREET JACK』、『Men's JOKER』でファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、『SOCCER KING @SoccerKingJP』の編集長に就任。

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ワールドサッカーキング No.221
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▼フランス代表 青色の改革
▼インタビュー カシージャス「スペインが欧州を染め上げる」
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