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バイエルンが宮城でユース国別対抗戦に出場する日本代表のセレクションを開催

2015.03.30

2015/3/29 FCバイエルン・ミュンヘン 東北セレクション
場所:七ヶ浜サッカースタジアム

 FCバイエルン・ミュンヘンはスポンサーと協力をして、世界中の子どもたちを対象にしたサッカー大会のイベント(ワールドファイナル)を2012年からドイツのミュンヘンで開催。この大会は、サッカーを行う十分な環境にない子どもたちのために、世界中の似た境遇にいる子どもたちとのサッカーを通じた交流と、サッカーに対して「夢」を与えることが目的となっている。

 日本セレクションイベントは、東日本大震災で大きな被害にあった、宮城・福島・岩手3県内から、14-16歳の男子が参加でき、今年で3回目の開催となった。主催は、FCバイエルンのスポンサーであるインリー・グリーンエナジーのジュリアン氏。地域の活性化も意図しているため、会場である塩竈を中心に活動している、元ソルトレーク五輪選手畑中みゆきさん主導の元、日本代表サポーターのちょんまげ隊も3年連続で運営のサポートを行った。

 セレクションに参加した約60名の中から選ばれた10名は、FCバイエルンの本拠地アリアンツ・アレーナで全7カ国の子ども達が参加するワールドファイナルに出場。その前日には、世界最高峰のブンデスリーガ(FCバイエルンのホームゲーム)も観戦する。また、ワールドファイナルでスカウトされ、正式にFCバイエルンのトライアウトを受けるチャンスもある。

 震災から4年が経った今でも、世界トップのサッカークラブが東北の子ども達を支援し、チャンスの場を提供してくれている。

 今年の東北セレクションは、FCバイエルンのユース世代のヘッドコーチであるウアーナー・カーン氏と、新潟や大宮や千葉を率いた宮城県出身のサッカー指導者、鈴木淳氏がスカウトを務めた。


◆カーン氏インタビュー
――今日の感想をお聞かせ下さい。
カーン 選手たちは、とても良いファイティングスピリットでした。
――ドイツのサッカー少年達と比べて、日本のサッカー少年達はどうでしたか。
カーン ドイツのサッカー少年と日本のサッカー少年に違いはありません。違いは、リーグシステムから来ます。ドイツの少年は、メンタル面が非常に強いです。しかしスキルに違いはありません。
――日本全国のサッカー少年に一言お願いいたします。
カーン 日本の子どもたちもとても才能があると思います。育成がとても行き届いていて上の世代になったときに備えるべきことを準備できていると思います。課題があるとするならば、パーソナリティの向上でしょうか。そして自分を信じる力です。欧州の子どもたちと違いがある部分でしょうか。

◆鈴木淳氏インタビュー
――このセレクションは被災地の少年たちが対象ですが、その意義をお聞かせください。
鈴木 まず、この大会を経てバイエルンミュンヘンの本拠地に出向いて大会に参加することは、彼らが、被災地でプレーしている子供達、プレイヤーなどすべての人たちの想いを乗せてプレーするということなので、そういった意味があるんじゃないかなと思います。
――東北のサッカー少年達に一言お願いします。
鈴木 東北のサッカー少年というよりも、僕も東北の生まれで今もここ(仙台)に住んでいるので一緒に東北を盛り上げて、代表につながるような選手になって行って欲しいなという風に思っています。日々のトレーニング、生活がそういったものに繋がって行くと思うので、是非、野心を持って日々過ごして行って欲しいと思います。


◆セレクションに合格した選手のコメント
新田恭平 16歳 CB 大船渡東高校 新高2 初参加
「ファイナルの16人に選ばれた時は、全力を出し切る事を第一に考えていました。
(震災からこの4年はどうだったかの問いに対し…)うちは運良く直接的な被災はしませんでしたが、やはり環境がガラッと変わってしまいました。それでも周りに支えられながらサッカーを続けられた事はとても嬉しかったし、恩返しをしたいと思って4年間頑張ってきました。そういう意味でも今回チャンスを物に出来て嬉しいです」

柴田 徹 中3 ビアンコ―ネ福島 初参加
「東北代表として、サッカーが出来ない人のためにも自分たちができることを精一杯やりたいと思ってがんばってきました。海外の強いチームを対手にして、どんどん食って自分のレベルアップに努めたいと思います」

千葉 銀次郎 中3 部活(塩竈) 初参加
「ドイツでは点を取れるようにがんばりたいです。東北を代表して、サッカーができない人もいるのでそのぶんまでしっかりがんばってきたいです」

浅田 郁将 中3 元塩竈FC 初参加 FW
「アピールしようという気持ちで頑張り、力は出し切れました。
参加した60人を代表して、行けないみんなの分までがんばってドイツで点を取って来たいです。この4年間、サッカーをできない人もいて、そういう人のためにがんばってきました」

佐藤 岬 新高2(仙台商業) 初参加
「一番大事なのは気持ちだと仙台商業の監督に言われているので、「俺が一番うまいんだ」という気持ちで臨みました。声を出すこととボールを持ってないときの動きを大事に動いたのが評価されたと思います。自分のベストをつくせるようにがんばりたいです。震災前にこのスタジアムで試合したこともあって、思い出に残っています。七ヶ浜も大きな被害を受けたところで自分も大変だったけれど、立ち直れて今こうしてサッカーをできることがうれしいです」

梅津 虎太郎 新高2(仙台商業) 2回目の参加
「前回セレクションには残ったのですが落ちてしまったので今回合格できて嬉しいです。こういった代表に選ばれたことがないのでまだ実感がわかないんですが、東北代表としてがんばりたいです。震災後、家が被害を受けて使えなくなって引っ越したりして大変な思いをしたのですが、そのとき助けてもらった人に感謝の気持ちを忘れずにこれからもがんばりたいです」

◆大会運営ボランティアをした、青森出身の青山学院大学の学生インタビュー
「セレクションだったので子ども達はみんな緊張していました。カーンさんに付き添っていたので、途中で雨が降ってきた時は傘をさしたら、すごく喜んでもらえて嬉しかったです。 自分の時はこのような大会がなかったので、羨ましいし、このチャンスを生かしてほしいです。」

◆大会運営ボランティアをした、青山学院大学の学生インタビュー
「大きなチャンスをつかむ可能性のあるこの大会に出られる彼らが羨ましく感じました。セレクションとはいえ、サッカーはチームでやるスポーツなので、同じチームになった仲間たちが楽しんでサッカーできるように心がけました。大会を通して自分を含めたボランティアが協力することによってスムーズに運営されていることがわかり、いつも自分たちがサッカーする時にお世話になっていることを感謝することができてよかったと思います」

Julian Itagaki
Yingli Green Energy Japan マーケティング部長
FC Bayern Youth Cup Japan ダイレクター

取材協力 寺田・城田・大沢・山本・遠藤
写真・浅見

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