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リーグタイトル奪還を目指すチェルシーに新エースが誕生…今夏加入のジエゴ・コスタが開幕4戦連続得点でチームをけん引

2014.09.20

開幕から4戦連続得点と結果を残しているジエゴ・コスタ

[ワールドサッカーキング10月号掲載]

チェルシーが手に入れた待望のストライカー、それがジエゴ・コスタである。時に強引に、時にしぶとくチャンスを得点に結びつける多彩なフィニッシュワークはまさに昨シーズンのチェルシーに欠けていたもの。新エースへの期待は高まるばかりだ。
Chelsea v Leicester City - Premier League
文=北川紳也
写真=ゲッティ イメージズ

 ジョゼ・モウリーニョの戦術がいかに高いレベルのものであっても、いくつかの要素はピッチ上で選手に託すしかない。中でもチェルシーの命運を左右するであろうそれは、点を取る、つまりはフィニッシュだ。

 昨シーズンのチェルシーはまずまずの戦いを演じながらも無冠に終わった。致命傷となったのは、信頼できるストライカーの不在である。リーグ戦で2桁得点をマークしたのは、MFのエデン・アザールただ一人。FW登録選手の最多得点はピークを過ぎた33歳、サミュエル・エトーの9ゴールだった。

 質・量ともにヨーロッパ屈指の2列目の破壊力だけが頼り。その状況がタイトルを逃す最大の要因となった。その反省を生かすべく白羽の矢が立ったジエゴ・コスタは、何より自らのゴールでチームを頂点に導くことが求められている。

 ジエゴ・コスタはこれがプレミア初挑戦となるが、パワーとテクニックを高い次元で備え、前線からのプレスも厭わぬ献身ぶりは、むしろ「英国向き」だと言っていい。それに加えて、足下の技術の高さや得意のダイヤゴナルランなどを駆使したチャンスメーク力は、2列目に豊富なタレントを揃えるチェルシーにはまさにうってつけ。また、ピッチ上では獰猛なイメージがあるが、本人によれば頭の中はかなり冷静で、時に乱闘まがいのバトルを相手DFと繰り広げるのも、「駆け引き」の一つだという。

 昨シーズンのチャンピオンズリーグ決勝戦、先発出場しながらも早々にピッチを後にせざるを得なかったハムストリングのケガはすでに癒えた。スペイン代表を選んで出場したワールドカップでの「惨劇」も、プレミアデビューから4戦連発のゴールで払拭できたようだ。

 チーム合流直後から意欲的にトレーニングに取り組み、プレシーズンマッチで結果を残し、開幕からの数試合でもキレのある動きを見せている。チームへの適応は順調そのもの。母国であるブラジルの仲間、そしてスペイン代表のチームメートが在籍しているのも大きな追い風だ。もちろん、昨シーズンまで同じ釜の飯を食ってきたティボー・クルトワとフィリーペ・ルイスの存在も助けになっている。またこの夏、クラブにはディディエ・ドログバが帰ってきた。プレミア参入1年目で背負う大きなプレッシャーも、このベテランが一部を引き受けてくれることで、確実に軽減されるだろう。


 懸念事項を挙げるなら、ブラジル出身の「勝負師」らしく、ダイビングかファールか、紙一重のプレーを好む点だろう。リヴァプールからバルセロナに移籍したルイス・スアレスほどあからさまではないが、南米出身FW特有のファールを巡る「駆け引き」は、プレミアリーグでは忌み嫌われるもの。不要なプレーは早々に矯正すべきだが、体に染みついたクセはそう簡単に取り払えない。

 いずれにしても、ジエゴ・コスタの爆発なくして、チェルシーの成功はない。それも、ただの活躍では足りない。ドログバやフェルナンド・トーレスと並び立つだけでは不十分。全盛期のドログバ級のインパクトを発揮し、絶対的なエースとしてチームに君臨するだけのパフォーマンスが求められる。

 数少ないチャンスをきっちりゴールに結びつける「生粋の点取り屋」としてゴールを挙げているだけに、序盤戦の出来には合格点が与えられる。今後、周囲の要求はどんどん高くなっていくが、それに応えられるだけの準備はできているはずだ。

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