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「NIKE MOST WANTED」で世界へ挑む若きサムライ②……渡邉柊斗(東海学園大)

2015.04.30

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「NIKE MOST WANTED」の“日本代表”に選ばれた渡邉柊斗(東海学園大) [写真]=NIKE

 小柄で線が細く、どちらかと言えば頼りない印象を抱かせる。しかし、一度ピッチに立てば別人のようにアグレッシブに、賢くプレーする。「NIKE MOST WANTED」の“日本代表”、渡邉柊斗には不思議な魅力がある。

 NIKE MOST WANTEDはプロクラブに所属していない若者をサポートする目的で、世界規模で実施されているスカウトプロジェクト。昨年12月のキックオフセレクションに始まり、今年1月の関東セレクション、2月の関西セレクションを通じて選ばれたプレーヤーが、2月21日の「ジャパンファイナル」で競い合った。そこで勝者となったのが、MF渡邊凌磨(早稲田大)、MF渡邉柊斗(東海学園大)の2人だ。彼らは4月30日に日本を発ち、5月1日からイングランドのセント・ジョージズ・パーク(イングランド代表のトレーニングセンター)で開催される「グローバルファイナル」に挑む。

 その“日本代表”の一人、渡邉柊斗は、高校時代はほぼ無名の存在だった。東海学園高校では中心選手としてプレーしたが、例えば同じく「グローバルファイナル」に挑む渡邊凌磨と比べると、予選のセレクションに参加した時点ではさほど注目されていたわけではない。しかし、関西セレクションでも、ジャパンファイナルでも、スピーディーなドリブルと柔軟なボールタッチ、多彩なパスやループシュートと、持ち前の優れたテクニックは高く評価された。「ボールを持った時に豊富なアイデアを持っている。日本人の特長であるアジリティーで勝負できる選手」とは、チーフスカウトを務めた名良橋晃氏の評価だ。

「ドリブルとか、一瞬のひらめき、創造性。グローバルファイナルではそういった自分のストロングポイントをしっかりと出したいですね。そこを出せないと受からないと思うので、まず自分のストロングポイントを出したい。自信はあります。やれると思っています」(渡邉柊斗)

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 「グローバルファイナル」に向けた意気込みを聞くと、はっきりと「自信がある」という言葉を口にした。口調は穏やかだが、内に秘めた気持ちは強い。ピッチを離れれば礼儀正しく静かな印象だが、ことサッカーに関してだけは「誰にも負けたくない」と語ってくれた。それはサッカーを始めた時から、ずっと変わらないのだという。

――いつからプロになりたいと思ったのですか?
「父がずっとサッカーをやっていて、僕が幼稚園の時から父とずっとボールを蹴っていました。小学校からクラブチームに入ったんですが、サッカーがとにかく楽しかったんです。その時からずっとサッカー選手になりたいと思っていました」

――その夢をずっと持ち続けてきた? 挫折したことは?
「小学6年生の時に『ちょっとこれはヤバイぞ』という時期がありました。自分としてはサッカーを続けていきたいけど、プロになる夢は厳しいのかな、と思った時があったんです。トレセンに落ちた時で、周りの選手がうまくて、全然ついていけなかった。テクニックには自信があったのに、トレセンでは通用しなかったので、これはもう無理だと」

――そこから、どうやって自信を取り戻した?
「ずっとプロになりたいと思って、父にもずっと教えてもらってきたのに、小学6年生で夢を諦めちゃいけないと思ったんです。父の影響はすごく大きかったですね。父があれだけ教えてくれたのだから、絶対にプロになりたい、恩返ししたいと思って、そこで諦められなかった。その後、中学1年生のときにナショナルトレセンまで行くことができて、自信が生まれた。今振り返ると、その時期が貴重な体験になっています」

――自分の特長はどこだと思う?
「負けず嫌いで、とにかくできるまでやり続けるところ、ですかね。やっぱりサッカーでは負けたくないし、やると決めたらできるまでやめたくない。それはサッカーから教わったことだと思うし、父から教わったことでもあります。サッカーをやってきたからサッカーがうまくなった、というだけじゃなくて……生活面もそうだし、チームメートと団結したり、人との接し方とか、人を思う気持ちとか、サッカーから学んだことは多いと思います。サッカーを真剣にやってきたことで、他の部分も成長できた。それはこのスポーツの魅力だと思います」

――ピッチの中と外で、かなり印象が変わるタイプですよね。
「人に優しい、優しくすることが、自分の特長かもしれないです(笑)。他人に優しい人でありたいと思っているし、それはずっと継続したいです。その代わり、自分には厳しくする。特にサッカーをやっている時は、ピッチの中では激しく、厳しく。ピッチを1歩離れれば優しく」

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 自然体でありながら、ピッチの中では誰よりも積極的に、激しくプレーする。そのギャップが渡邉柊斗の魅力だろう。「グローバルファイナル」でも、世界の同世代とうまくコミュニケーションを取りながら、ピッチに入れば彼らを驚かせるテクニックを披露するに違いない。関西セレクションから勝ち上がった“伏兵”がどこまで上り詰めるのかという点でも、注目の存在と言えるだろう。

「グローバルファイナル」は5月1日からスタートする。18歳の“日本代表”がどんな結果を残すのか、期待はふくらむばかりだ。

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