今回は『マエストロ×作家の“創造力”』というテーマをぶつけてみましたが、
会話が弾みすぎて、自由気ままな展開に。
ゆるい話から、深い話まで。
中村選手と又吉さん、二人のトークをお楽しみください。
全10回の連載です。
憲剛さんは独特のポジショニングをしていると思うんですけど、それはどうやって築いていったんですか?
まあ、体が小さいからぶつかり合いでは負け続けて、全然勝てなかったんですよ。だから、又吉さんと一緒で同じ土俵に立ってはいけないんだと、中学、高校くらいの時に気付いたんです。
なるほど。
じゃあ、「ぶつからないためにはどうするか」というポジショニングを取って、それが成功していくうちに「俺はこれで生きていこう」と思って。
はいはい。
だから頭をずっとフル回転させていました。例えば、相手が自分をマークしているとして、その選手が味方に目線を切った瞬間に一歩バックステップを踏むと、そこに空間ができる。そこでしっかりトラップができれば、プレーがつながる。それまでは相手が目線を切る前にボールを呼び込んでいたので、相手にぶつかられてボールを失っていたんです。
なるほど。
成功すると、それがどんどん自信になって、いいサイクルでやれるようになったんですよ。もちろん、最初はめちゃくちゃ頭が疲れました(苦笑)。でも、それに慣れていると、体が成長した時にぶつかっても平気だから何でもできるようになって。
さらに余裕を持ってプレーできる。
そうなんです。初めて代表に呼んでくれた(イビチャ)オシムさんの練習はすごく複雑だと言われていたんですけど、僕はずっと「どうやってフリーになるか」を考えながらやってきたので、ルールさえ頭に入れてしまえばすぐにできたんです。
へえ。
みんなが「なんだこれ?」ってなっている時に、僕はスッと入れたから使ってもらえたんだと思います。
そうなんですね。
僕はバルセロナや(ジョゼップ)グアルディオラが大好きなんです。それこそ、線は細いけどバスワークの中心にいる選手が大好きなので、ずっと研究していました。ラモス(瑠偉)さんやシャビとか。(アンドレア)ピルロ(元イタリア代表/現ニューヨーク・シティFC)もそう。
たぶん憲剛さんのプレーだけを見て、「あんな感じでやりたい」と思っても、できないですよね。頭を使わないと。
すぐにはできないと思います。ずっと継続してやれれば、できてくると思うんですけど。
僕なんて、まだお笑いの道でも小説の道でも修行中ですけど、後輩でめちゃくちゃ暗いやつとか、大人しいやつで「又吉さんみたいになりたい」って言うやつがたまにいるんです。でも「暗いだけじゃないんだよ……!」って(笑)。
ああ(笑)。
暗けりゃ目立つじゃなくて、暗けりゃ目立たないんですよ。当たり前ですけどね。線が細かったら倒されるのは常識で、だから倒されないために頭を使う。暗かったら、もう目立てないから(笑)。そこで、それをどう生かすかっていう。
まさにそのとおりですね。それこそ又吉さんみたいに、みんなが倒れてるけど、ちょっとゆっくり倒れることで目立ててるみたいな形も、頭を使って考えないといけないですよね。お笑いの世界は分からないですけど、たぶん“弱肉強食”な感じはサッカー界とほぼ一緒だと思うんで。
ああ、そうですね。
ただ、(お笑い界は)上が抜けていかないじゃないですか。
そうなんです。だから60代の選手がいまだに現役でやってるみたいな(笑)。
そうそう、そうそう(笑)。
マラドーナとかがまだ現役にいるっていう。
本当にそれクラスですよ。僕たちは先が見えるスポーツだから。サッカー選手として、60歳まで第一線でやるのは絶対に無理なので。でも、又吉さんは35~6歳の選手でこれからじゃないですか。
そうですね。
取材・構成=高尾太恵子/写真=岩本良介
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応募期間:2016年9月8日(木)〜2016年9月18日(日)23:59まで
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INFORMATION
スポーツニュース番組『追跡 LIVE! Sports ウォッチャー』(テレビ東京系)
(月~金 23:58~24:12/土 23:00~23:55/日 22:54~23:30)
MC:ピース
コメンテーター:中畑清、セルジオ越後、緒方耕一(日曜のみ)、秋田豊
今回の撮影で利用したお店
BLUE BOOKS café
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