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【前橋育英】小学生から憧れた黄色と黒のユニフォーム 主将・桑子流空が挑む最後の冬<第100回高校選手権>

2021.12.27

前橋育英主将の桑子流空 [写真]=土屋雅史

 小学生の時にスタジアムで見たタイガーカラーが、キラキラと輝いて見えた。「あのチームでサッカーがしたい」。その時から抱いてきた夢を叶えた今、「このチームでもっとサッカーがしたい」という想いが自分を衝き動かしている。

「全国大会は相手も本当に強いと思うので、一戦一戦全力で戦って、気を緩めないで、自分も含めてチーム一丸となって戦えたらなと思います」

 前橋育英を束ねる主将にして、ディフェンスリーダー。DF桑子流空(3年)は憧れの黄色と黒のユニフォームに身を包み、国立競技場で優勝カップを掲げる自分の姿を明確にイメージしている。

 チームのレギュラーでは数少ない群馬県出身。小学6年生の時に、選手権予選の決勝を観戦したのが“きっかけ”だった。「衝撃的な試合で『本当にすごいな』って。『育英でプレーしたい!』と思ったんです」。中学時代は前橋FCでレベルの高い仲間と切磋琢磨を繰り返し、念願の前橋育英への入学を実現させると、最高学年となった今年は主将を任されるまでに成長を遂げた。

 一度話してみれば、即座にわかるナイスガイ。桐生第一と対峙した今回の選手権予選決勝でも、試合中に足をつらせてしまった相手FWにすぐさま駆け寄り、足を伸ばしてあげる一幕も。実はその選手は前橋FC時代のチームメイト。勝利した試合後も、うなだれる相手の選手たちに声を掛けて回る姿が印象的だった。

群馬県予選決勝、桑子が相手選手を気遣う場面も [写真]=土屋雅史

「自分も嬉しかったんですけど、自分たちが嬉しい想いをする代わりに悔しい想いをしているので、喜ぶよりも先にやることがあると思って、声を掛けに行きました。桐生第一には中学の時のチームメイトだったり、小学生の時から戦ってきた選手も多かったので、その分も自分たちが全国大会で不甲斐ない結果は残せないですし、アイツらのためにも戦わないといけないと思います」。ライバルたちの想いも背負い、群馬県の代表として全国での飛躍を誓っている。

 中学時代も主将を務めており、りーダーシップには定評があるが、必要以上の気負いはない。「キャプテンをやりたいという欲は誰よりもあって、そこだけは自信があったので、なれて嬉しいですけど、今年は部長が4人いるんです。自分1人が全部をやるのではなくて、チーム全体で、みんなで頑張ってやっていこうということを、全員で決めました」。バランス感覚に優れた桑子を中心に、チームの一体感は例年以上に強い。

「日本一、獲りたいですね」

シンプルな言葉に、覚悟が滲む。小学生の頃から思い描いてきた目標は、決して手の届かない場所にあるわけではない。それを力強く引き寄せるため、左腕に赤いキャプテンマークを巻いた桑子は、3年間を積み重ねてきた仲間とともに高校生活最後の大会へ向かう。

取材・文=土屋雅史



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