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【秋田商】全国最多46回出場の伝統校 注目は堅守&パスワークと違い生む2人のドリブラー<第100回高校選手権>

2021.12.24

『走る』『戦う』『守る』を徹底し2年ぶりに全国へ [写真]=吉田太郎

 秋田商は、昨年度の選手権では県予選準々決勝でPK戦の末に敗れ、連覇が5でストップ。新チームも新人戦、インターハイ予選、リーグ戦と無冠に終わっている。それでも、「球際とか、『走る』『戦う』『守る』ということをコンセプトとしている。全員が徹底することができたと思います」とMF中野宏宣主将(3年)が語るように、伝統校はピッチで『走る』『戦う』『守る』を表現して2年ぶり、全国最多46回目の選手権切符を獲得した。

 各選手のハードワークや堅守がチームのベースで、予選突破の大きな要因となったことは間違いない。加えて、2017年11月に人工芝グラウンドが完成したことが、名門校の選手たちに好影響をもたらしている。現在の3年生は入学から3年間、人工芝でトレーニングしてきた世代。中野は「自分はボールを持ったらヘッドダウンしてしまうところがあったが、その課題が改善された」と話す。

 県予選ではビルドアップを上達させたDF鈴木悠太(3年)が、相手を見ながら落ち着いてボールを動かしていた。加えて、1年生DF木内翼が正確なキックを連発。決勝でも正確な縦パスによって、FW起用されたDF畑村匠毅(2年)の同点ゴールをアシストしている。全国大会ではボールを握られる時間が多くなりそうだが、それでも“人工芝効果”で顔が上がる選手たちは、先輩たち以上に身に付けてきた技術力、ビルドアップ力を発揮して相手ゴールを目指す。

 攻撃のキーマンとなるのはMF近野宙安(3年)だ。日本代表MF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン・ジロワーズ)を参考にドリブルやフィニッシュを磨くサイドアタッカー。これまでは、ミスするとなかなか切り替えることができなかったというが、サポートしてくれる仲間の姿を思い返すことによって自分で立て直せるようになってきている。テクニカルなドリブルで相手をかわしての、ミドルレンジからの強烈なシュートも武器。選手権でも試合を通してそのストロングポイントを発揮できれば、チームを勝たせる活躍ができるはずだ。

 その近野には強力なサポート役がいる。それは、アタッキングゾーンでの崩しを得意とする主将の中野だ。ブラウブリッツ秋田U-15時代からのチームメイトで、近野も「ヒロ(中野)は自分のことをよく見てくれている」と信頼する存在。宿敵である西目との県大会準決勝では、後半開始から出場した中野のラストパスから近野が先制点を叩き出した。

 DFラインからのビルドアップ、パスワークを目指す秋田商のなかでアクセントになっている二人のドリブラー、近野と中野がその武器とコンビネーションを活かして全国でもゴールを破る。

取材・文=吉田太郎



By 吉田太郎

サッカー専門媒体を中心に、主に育成年代の取材活動を展開。

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