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疑惑のゴールシーンは?…元プレミア“名主審”がニューカッスルvsアーセナル戦の判定を分析

2023.11.06

A・ゴードンの決勝弾でアーセナルを下したニューカッスル [写真]=Getty Images

 プレミアリーグの“名レフェリー”として知られ、多くの国際舞台でも笛を吹いたマーク・クラッテンバーグ氏が、ニューカッスルvsアーセナル戦の判定について言及した。5日、イギリス紙『デイリーメール』がコメントを伝えている。

 プレミアリーグ第11節が4日に行われ、6位ニューカッスルと2位アーセナルによる注目の上位対決が実現。ニューカッスルの本拠地『セント・ジェームズ・パーク』で行われた一戦は、序盤から拮抗した展開が続き、スコアレスのまま時計の針が進んでいった。迎えた64分、ニューカッスルジョー・ウィロックが左からクロスを上げると、最後はアンソニー・ゴードンがネットを揺らし先制に成功。その後はアーセナルの反撃を凌ぎ、1-0の勝利を収めた。

 しかし、決勝ゴールの場面をめぐっては、ウィロックがクロスを上げる直前にボールがゴールラインを割っていた可能性や、ニューカッスルのFWジョエリントンがゴール前の混戦でアーセナルのDFガブリエウ・マガリャンイスを両手で押した可能性などが指摘されている。リーグ戦初黒星を喫したアーセナルのミケル・アルテタ監督は「あのゴールが認められるのは絶対的に恥ずべきことだ。多くの理由からゴールではない」などと判定を痛烈に批判し、クラブもプレミアリーグのプロ審判協会(PGMOL)に対し改善を促す声明文を発表した。

 また、決勝ゴール以外にも、カイ・ハフェルツによる危険なスライディングタックルや、ブルーノ・ギマランイスの肘がジョルジーニョの頭部を捉えた場面など、様々なシーンにおける判定が議論の対象となっている。果たして、あの試合で下された判定は正しかったのだろうか。かつてプレミアリーグで291試合を裁き、チャンピオンズリーグ(CL)やEUROなど国際舞台での経験も豊富なクラッテンバーグ氏が、得点シーンでの3つの事象とハフェルツのタックル、およびギマランイスとジョルジーニョの接触について、それぞれの判定に対する自身の見解を明かしている。

◼︎36分 ハフェルツのスライディングタックル
実際の判定:イエローカード
クラッテンバーグ氏の見解:正しい判定

 ハフェルツが敵陣右サイドのタッチライン際でショーン・ロングスタッフに強烈なスライディングタックルを見舞ったシーン。主審のスチュアート・アトウェル氏はアーセナルのMFにイエローカードを提示したが、ニューカッスルの選手たちはこの判定に納得せず。ハフェルツに詰め寄るとともに、アトウェル主審を取り囲んで抗議を行い、結果として判定への異議により3選手がイエローカードを提示されることとなった。

 レッドカードの可能性も指摘されているこの場面だが、クラッテンバーグ氏は審判団の判定が正しかったと主張。「人々はスローモーションを見て『ハフェルツがグラウンドから離れている』と言うかもしれないが、レッドカードを正当化するほどの接触はなかった」とコメントしている。

ニューカッスルvsアーセナル

ロングスタッフに強烈なスライディングを見舞ったハフェルツ [写真]=Getty Images

◼︎45分 ギマランイスの肘がジョルジーニョの頭部を直撃
実際の判定:笛は吹かれず/カードも提示されず
クラッテンバーグ氏の見解:退場ではないが、イエローカードが適切

 アーセナルの右サイドバック(SB)ベン・ホワイトへのスライディングタックルを敢行したギマランイスは、その後すぐさま立ち上がり、ボールを保持したジョルジーニョに背後から接近。パスを出したジョルジーニョの頭部にギマランイスの肘が直撃し、アーセナルのゲームキャプテンはそのままピッチへ倒れ込んだ。しかし、アトウェル主審の笛は吹かれず、中継では何度もその場面が映像で流されたものの、VARによる介入もなかった。

 クラッテンバーグ氏はこの場面について「もしスチュアート・アトウェルがカイ・ハフェルツではなくブルーノ・ギマランイスを退場にしていたら、彼は選手たちからのリスペクトを失っていただろう」と、レッドカード相当のプレーではなかったと強調。一方で「ブルーノは腕を武器として使っておらず、そこに置いていただけだが、イエローカードが妥当だった」と指摘している。

◼︎64分 ウィロックのクロス直前のプレー
実際の判定:インプレー
クラッテンバーグ氏の見解:正しい判定

 ジェイコブ・マーフィーがボックス内右から放ったシュートはゴール前を横断し、そのまま左のコーナーフラッグ付近へ。ウィロックがこのボールを拾ってプレーは続行となったものの、直後に流された映像ではボールがラインを割ったかのようにも見えた。しかし、VARによる確認作業の結果、この場面はインプレーであったとの判断が下され、直後のゴールも認められることとなった。

 物議を醸している場面だが、クラッテンバーグ氏は当該の判定が正しかったと強調。「VARにはボールがアウト・オブ・プレーであると決定的に裁定できるようなカメラアングルがなかったため、フィールド上の判定が有効とされる」とコメントしている。

◼︎64分 ジョエリントンとガブリエウの接触
実際の判定:ノーファウル
クラッテンバーグ氏の見解:間違った判定/ジョエリントンのファウル

 A・ゴードンがネットを揺らす直前、クロスの処理を試みたアーセナルのDFガブリエウがジョエリントンとの競り合いの末に転倒。スローモーション映像ではジョエリントンが両手を使い、背後からガブリエウを押したことが確認できた。それほど激しい接触ではなかったものの、ファウルの判定が下されても不思議ではないシーン。しかし、アトウェル主審およびVARが下した判断はノーファウルだった。

 クラッテンバーグ氏はこのシーンについて、間違った判定が下されており、本来はジョエリントンのファウルであったと持論を展開。「ゴールが認められない瞬間があるとするならばこのシーンだ。ジョエリントンは明らかにガブリエウを押している」と指摘している。

ニューカッスルvsアーセナル

ゴールシーン直前にはジョエリントンとガブリエウが接触 [写真]=Getty Images

◼︎64分 A・ゴードンの立ち位置
実際の判定:オンサイド
クラッテンバーグ氏の見解:正しい判定

 ゴールシーンをめぐるVARでは、最終的にネットを揺らしたA・ゴードンの立ち位置も細かく確認されていた。オフサイドの可能性についての確認が行われたものの、最終的な判定はオンサイドでゴールは認められることに。クラッテンバーグ氏は「正しい判定」であったと指摘しつつ、「このような事象は選手がカメラを遮り、VARがラインを引いてオフサイドの判定を下すことができない時によく起こる。こうした場合はフィールドでの判定が適用される」と語っている。

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