FOLLOW US

有終の美を飾るには? 優勝目前のリヴァプールが残り9試合でやるべきこと

優勝まで“マジック2”のリヴァプール [写真]=Getty Images

 3月13日にプレミアリーグが中断したとき、リヴァプールは30年間の憂鬱に終止符を打つ直前だった。あと6ポイントで悲願のリーグ制覇。それも、プレミアリーグ史上最速の優勝を遂げるはずだったのに、気づけば“最も遅い王者”になろうとしている。

 イングランド・フットボールの歴史において、今シーズンのリヴァプールほどほかを圧倒するチームはいない。2月末のワトフォード戦に敗れるまで、彼らは27戦で26勝1分けという成績で無敗を維持。この数字が示しているように、132年のフットボールリーグ史において、彼らは間違いなく最高の成績を残しているのだ。

 無論、まだまだ目指すべき記録は残っている。マンチェスター・Cが有する「勝ち点100」と「32勝」というプレミアリーグ記録だ。それから、2位以下に「18ポイント差」をつけての優勝というマンチェスター・Uの記録も塗り替えたい。しかし、それらはあくまでも“おまけ”に過ぎない。

 リヴァプールが最後にリーグ優勝したのは、主将ジョーダン・ヘンダーソンが生まれる2カ月前の1990年4月のこと。以降、2度もチャンピオンズリーグ(CL)を制しているのに、リーグ戦では栄冠がない。2009年、2014年、そして昨シーズンと、あと一歩まで迫ったものの、結局は届かなかった。

昨季、黒星を喫したのは1月のシティ戦のみ。それでもタイトルを手にできなかった [写真]=Getty Images

 しかし、今シーズンの彼らは違った。開幕から圧倒的な強さを見せつけ、ほかを寄せつけない。一時はプレミアリーグ記録に並ぶ18連勝を飾り、12月のレスター戦では、フットボールの教科書のような完璧な内容で4-0の勝利を収めてみせた。

 それだけではない。今シーズンの彼らは接戦のスペシャリストでもある。27勝のうち、実に半数以上の14勝が1点差での勝利なのだ。終盤のゴールで競り勝ったゲームもあれば、守護神アリソンが1点差を守り切った試合もある。勝利に方程式があるのなら、彼らはありとあらゆる数式を導き出したことになる。

 年間最優秀選手の候補も尽きない。キャプテンにして屋台骨であるヘンダーソンを筆頭に、前線のサディオ・マネ、アシスト製造機のトレント・アレクサンダー・アーノルド、そしてアリソンは、ほかのどのチームでも主軸を張れる。もちろん、アンドリュー・ロバートソンやモハメド・サラーだって健在だ。

 それでいて、彼らの最大の武器はチームワークだ。その証拠に、不可解なデータがある。今シーズン、攻撃のタクトを振るロベルト・フィルミーノは、一度も本拠地でのリーグ戦でゴールを決めていない。それでも、チームはホームで15戦全勝と無類の強さを誇っている。

フィルミーノは今季、ホームでは無得点だが、敵地で8得点をマークしている [写真]=Getty Images

 DAZNで中継されるリーグ再開後に、リヴァプールほど“矛盾”したチームはいない。優勝という最大の目標を抱えながらも、彼らには戦う理由が残されていない。現在は2位のシティに25ポイント差をつけ、優勝まで“マジック2”。まだ手中に収めたわけではないが、リーグ制覇は時間の問題なのだ。CL出場権や残留争いの死闘を控えるクラブより、心にゆとりが出るだろう。

 だからこそ、本来は数字にこだわらないユルゲン・クロップ監督も、今回ばかりは1891-92シーズンのサンダーランド以来となる「ホーム全勝」にこだわるべきだ。そういった記録をモチベーションにすることで、気づけば有終の美を飾っているだろう。

 それから、今後を見据えればいい。今夏はオフの期間が短縮され、すぐに来シーズンが開幕する可能性もある。万が一に備え、残りの9試合は“プレシーズン”のつもりで調整すべきだ。

 選手層を確認すると、自ずと南野拓実に視線が集まる。これは決して日本のファンへ向けたリップサービスではない。今年1月に加入して以降、南野はリーグ戦で77分間しかピッチに立っていないが、残りの試合では必ず出場機会が回ってくる。交代枠が5つに増えたことも追い風だし、すでに再開したブンデスリーガで筋肉系のケガが増えていることから、ローテーションが不可欠となるからだ。

 だが、理由はほかにもある。リヴァプールは南野の可能性を試さなくてはいけないのだ。この夏、移籍市場で大物を獲得するとしたら前線の選手だろう。世界中を探してもフィルミーノの代役は見つからないし、マネとサラーだって替えが利かない。それでも前線に投資するのなら、まずは南野を各ポジションで試してからだ。フィルミーノの位置はもちろん、サイドでもテストしてから補強方針を決めればいい。

 それから若手にも期待したい。退団予定のMFアダム・ララーナ(32歳)とDFナサニエル・クライン(29歳)の代わりに、MFカーティス・ジョーンズ(19歳)と右サイドバックのネコ・ウィリアムズ(19歳)が台頭している。さらに17歳のハーヴェイ・エリオットは、移籍が噂されるジェルダン・シャチリに代わって出場機会を増やすだろう。

 そう考えると、残り9戦は決して消化試合ではない。30年ぶりのリーグ制覇という悲願達成に加え、来シーズンへの大事な準備期間にもなるのだ。

文=リチャード・ジョリー
翻訳=田島大(Footmedia)

プレミアリーグ

BACK NUMBER2020欧州再開特集のバックナンバー

SHARE

LATEST ARTICLE最新記事

RANKING今、読まれている記事

  • Daily

  • Weekly

  • Monthly

LIVE DATA