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テーマは“めざせ天下統一、鯱祭り”。国立競技場で開催されたグランパスの「鯱の大祭典」に密着!

2023.08.12

 8月5日(土)、名古屋グランパスによる夏の一大イベント「鯱の大祭典」がスタートした。過去3年で延べ26万人以上を動員している同イベントでは、選手とグランパスファミリーが一体となって盛り上がり、チームも好成績を収めている。今年のテーマは「めざせ天下統一、鯱祭り」。実に28年ぶりとなった国立競技場でのホームゲームは、グランパスのホームゲーム過去最多の入場者数5万7058人を記録。グランパスOBやスペシャルゲストも来場し、天下獲りの機運を盛り上げた。

 この日も最高気温が35度を超えた東京。各所に緑が施された国立競技場でも、少し動けば汗が噴き出すほどの暑さだった。その中でも特に熱気があったのはFゲート付近に作られた場外の特設ステージ。300人を超えるサポーターがあるバンドの出番を待っていた。2016年から名古屋グランパスのサポートソングを手掛ける「Qaijff」だ。ベースの内田旭彦がグランパスアカデミーでプレーしていた縁もあり、今はサポートソング以外にも音楽でクラブを支えている。その「Qaijff」にとってもこの日のステージは特別だった。作詞作曲も手掛けるヴォーカルの森彩乃が今年4月に乳がんであることを発表しており、治療のため人前で歌うのはおよそ4カ月ぶりだったのだ。


「『国立で鯱の大祭典を開催するから出演してほしい』と言われた時はうれしかったです。副作用で体調の悪い日もあるのですが、主治医と相談した上で参加できると判断しました。本当に良かったです」(森)

 オープニングは昨季のサポートソング「Want」、そして今季の「たぎってしかたないわ」につないだ。その曲の途中では選手を鼓舞するオリジナルの手拍子「GLAP」に転調し、密集したグランパスファミリーが頭の上でそのリズムを刻んで大きな盛り上がりを見せた。

「普段以上に熱がこもってしまいました。音楽でチカラを届けるつもりでステージに立っているんですけど、いつも逆にファミリーからパワーをもらってしまいます。万全な体調で臨むことができ、すごくいい日になりました。このあとの試合も絶対に勝ってもらいたいです」(森)

 時間の制約もあり、わずか2曲の演奏だったが、森の熱い気持ちはグランパスファミリーに届いたようだ。豊田市から訪れた夫妻は「久しぶりに生で聴いたので涙が出そうでした。声も出すことができたし、勇気をもらいました。試合前に最高の気分になりました」と語る。

 続いてステージで行われたのはグランパスOBによるトークショー。チーム創成期に活躍した岡山哲也さん、2010年のリーグタイトル獲得に貢献した玉田圭司さん、田中隼磨さん、千代反田充さん、磯村亮太さんが、現在のチームで期待する選手、そしてこの試合で期待することをテーマに話し合った。岡山さんが注目選手としたのはキャスパー・ユンカー。「グランパスは昔からストライカーがゴールを獲る」と、現役時代にストイコビッチさんと名コンビを組んだアタッカーらしく前線の選手の名前を挙げると、DFとして活躍した千代反田さんは、「中谷進之介に注目している。前に強いディフェンダーでバランスも良く熱い」と期待を寄せた。

 また、試合展望について玉田さんは「スポーツだから勝敗はつくけど、サッカーってすごいなって思わせる展開に」と、とにかく楽しい内容のゲームを期待。田中さんは「ホーム扱いの国立開催でプレッシャーは掛かるけど、ここで勝ち切ることが優勝につながる」と勝利を厳命すると、この日の対戦相手であるアルビレックス新潟でもプレーした磯村さんは「お互いに素晴らしいサポーターがいる。一生忘れられない試合にしてほしい」と両チームにエールを贈った。OBによるトークショーを熱心に見ていた、東京都在住で生まれて以来のグランパスサポーターだという木村さんと三林さんは、「久しぶりに見る選手ばかりで懐かしかった。OBになってもグランパスに関わってくれる気持ちがうれしいです。国立での試合はお祭りみたいで楽しい」と、終始笑顔だった。

 そして、サッカー関係者だけでなく、他競技のアスリートからもエールが贈られた。トヨタアスリートトークショーでは、トヨタイムズキャスターの森田京之介さんを司会に迎え、アーチェリーから東京五輪男子団体銅メダリストの武藤弘樹さん、東京パラリンピックで陸上競技に出場し、100メートルの日本記録を保持している石田駆さん、バスケットボール女子日本代表でトヨタ自動車アンテローブスに所属する平下愛佳さん、そしてレース界からTOYOTA GAZOO Racing所属で、元F1パイロットの小林可夢偉さんが登壇。それぞれがサッカーとの関わりを話していく中で、平下さんは、同じ年齢の中島大嘉が気になっているという。その理由は「名前が似ているから」。「『ひらしたあいか』と『なかしまたいか』、ぜひセットで覚えてほしい」とアピールし、会場の笑いを誘った。

 特設ステージで最後に行われたのは、スペシャルオリンピックストークショー。スペシャルオリンピックスとは、知的発達障害のある人の自立や社会参加を目的に、様々なスポーツプログラムやトレーニングの成果を発表する競技会を、年間を通して提供しているスポーツ組織。現在日本では夏冬合わせて25の競技が行われ、世界大会も開かれている。ステージにはスペシャルオリンピックス日本で理事長を務める元柔道銀メダリストの平岡拓晃さん、元フィギュアスケート選手の小塚崇彦さん、玉田さんが登場し、「勝敗だけではなくスポーツを楽しむ」スペシャルオリンピックスの魅力を熱く伝えた。

 そして6月にドイツ・ベルリンで行われたスペシャルオリンピックスで、金メダルを獲得したユニファイド(知的障害のあるアスリートと知的障害のないパートナーによる混成チーム)サッカーチームが登壇。同チームは豊田市で2度合宿を行い、そこには玉田さんも訪れてコーチを務めたそうだ。見事に金メダリストになった望月慎平さんは「合宿からすごくいい雰囲気だった。トヨタやグランパスなど多くの支えがあって優勝できたと思う。玉田さんも練習に付き合ってくれて、いろいろな話を聞けてうれしかった」と、喜びの報告をした。最後に「選手時代は勝敗だけを気にしていたが、スポーツは楽しむ側面もあるということをスペシャルオリンピックスから学んだ。今日の試合も結果は出るが、なにより鯱の大祭典を楽しんでほしい」と玉田さんがまとめると、大きく温かい拍手に包まれた。

 この日行われた鯱の大祭典のイベントを企画した名古屋グランパスの伊藤秀真さんは、「今回は普段以上に『アイチ・ナゴヤ』を意識しました。国立競技場という特別な会場で、アイデア出しや調整、確認など苦労もありましたが、今後愛知県でホームゲームを行う際にも、同じような特別感を演出できるのではないかと感じました」と語る。今後のグランパスのイベントは、今回の経験を経てさらにパワーアップしそうだ。また、ステージイベントだけではなく、「アイチ・ナゴヤ」を感じさせる各種のブースも大賑わいで、長蛇の列となるところもあった。東京に愛知や名古屋を大々的にアピールすることに成功したと言える。

 試合前のスタジアムを最も熱くさせたのは、豊橋市出身の俳優・松平健さんのパフォーマンス。金色に輝く衣装を着て、今や代名詞となった「マツケンサンバⅡ」を、金鯱グランパスくんや“にっぽんど真ん中祭り”のダンサーを従えてド派手に披露した。キックオフ直前のスペシャルオープニングセレモニーでは、三河出身の武将・徳川家康に衣装替えした松平さんが白馬に乗って登場。「いざ出陣」の掛け声を合図に、和太鼓集団“志多ら”の演奏が鳴り響く中を、審判団と両チームの選手が入場した。松平健さんの圧倒的な存在感、和太鼓の響き、篝火にも見える炎による演出は、不思議とサッカーや国立競技場の雰囲気にぴったり合い、5万7000を超えるサポーターのボルテージは最高潮となった。



 こうして試合前からグランパスファミリーやスタッフが一丸となって作った素晴らしい雰囲気を、選手たちも無駄にはしなかった。グランパスは前半に流れるようなパスワークで奪った得点を最後まで守り抜き、鯱の大祭典の初日を勝利で締めくくった。鯱の大祭典は、豊田スタジアムで行われる第23節鹿島アントラーズ戦と、第25節横浜FC戦でも実施される。第22節終了時点で首位との勝点差はわずか「2」。この一大イベントで『アイチ・ナゴヤ』をさらに盛り上げ、13年ぶりのリーグ制覇、そして初の3冠獲得と“天下獲り”の足掛かりにしたい。

By サッカーキング編集部

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