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株式会社アイデム「地域の盛り上がり、地域雇用の活性化を」…【連載|私たちがJリーグを支える理由 #2】

2021.07.28

株式会社アイデムの菅原雅人コーポレート機構統括部次長  [写真]=野口岳彦

 Jリーグを支えるタイトルパートナー、トップパートナー企業のインタビュー連載「私たちがJリーグを支える理由」。第2回は、今から16年も前の2005年からJリーグトップパートナー契約を結んでいる株式会社アイデム。

 総合人材情報サービス企業であるアイデムは、どこに価値を見いだしてJリーグとのパートナーシップ契約を結び、どのような手応えをつかみながらその関係性を長期にわたって維持してきたのか。


 コーポレート機構統括部次長の菅原雅人さんは、「お客様との直接的なコミュニケーション」を可能にする場としてのJリーグの魅力を語り、それを制限されている今だからこそのパートナーシップのあり方について話してくれた。

インタビュー・文=細江克弥

スポーツは人々に元気を与える

[写真]=野口岳彦

———Jリーグとトップパートナー契約を結んだのは2005年。以来、変わらずその関係性を維持してきました。そもそも、どのような理由でJリーグとのパートナーシップを結ぼうと考えたのですか?
菅原 当社は様々なメディアを駆使して“人と企業の出会いの場”を創出してきた総合人材情報サービス企業ですが、その活動テーマの一つとして挙げられるのが「地域」です。私たちの活動拠点は全国に広がっており、だからこそ、同じように全国を舞台とするスポーツとの協力関係を築くことで必要な企業認知を獲得したいと考えていました。ご存知のとおり、Jリーグは発足当初から「地域」を活性化することの重要性を訴え、それを実行して多くの人に愛されるリーグとなりました。2005年当時は当社にとってCSR(社会貢献)活動を拡大したいと考えていた時期でもありましたので、様々な部分に共通項を見いだしてJリーグとのパートナーシップ契約を結びました。

———アイデムにとって、なぜ「地域」が重要なのでしょう?
菅原 人材や雇用を通じて社会に貢献するという大きな目標を実現するためには、大都市部だけではなく、すべての地域における雇用の活性化が必要であると考えています。考え方はJリーグも同じですよね。日本のサッカーをレベルアップさせるためには日本全体のサッカーを盛り上げる必要があると考えていますし、日本全体のサッカーを盛り上げるためには地域の盛り上がりが不可欠であると思います。その部分に共感しているからこそ、Jリーグとお互いに力を持ち寄って何か新しいことを一緒にできるのではないかと考えています。

———企業が手を組む相手としての「スポーツ」については、どのように考えていますか?
菅原 コロナ禍の今だからこそ、より強く感じることかもしれませんが、スポーツはやはり人々に元気を与えてくれるコンテンツだと思いますし、その中でもJリーグは、プロ野球とともに先頭に立ってスポーツ界を牽引している。そういった意味でも、パートナーシップを結んでリーグをサポートできること自体が企業価値の向上につながっていると感じていますし、スポーツ文化の発展に少しでも貢献したいと考えています。また、長年にわたるパートナーシップにより、社内はもちろんお取引先企業や新卒採用にもポジティブな変化があったと実感しています。

強く感じるJリーグの存在価値

Jリーグのパートナーになったことは様々な面でポジティブな影響があったという [写真]=Jリーグ

———最初にパートナーシップ契約を結んだ2005年当時と比較すると、それからの16年間でクラブ数は大幅に増え、組織としての規模は拡大しました。
菅原 当時はまだ、J1が18クラブ、J2が12クラブの計30クラブだったと思いますが、今やJ1からJ3まで57クラブですから、ほぼ倍増していることになりますよね。これは、パートナーシップ契約を結ぶ企業にとってもうれしいことですし、Jリーグそのものの成長を表していると思います。より多くの「地域」に対してアプローチしたかった当社としても非常にうれしい変化でした。

———2005年当時、菅原さんはどのようなお仕事をされていたのですか?
菅原 当時は営業を担当していました。私自身ももともとサッカーが好きで、海外も含めてよく試合を観ていたのですが、営業の現場でも「Jリーグのスポンサーになったの?」と聞かれる機会は明らかに増えましたし、お客様とのコミュニケーションや取引先としての安心感や信頼感をより感じてもらえたといった点で営業しやすくなったと感じたことをよく覚えています。

———現在はコーポレート機構統括部という部署でJリーグと直接的に向き合う仕事をされていると思いますが、サッカーに対する考え方や見方に変化はありましたか?
菅原 そうですね。仕事としては、パートナー企業に対する「みんなで一緒に盛り上げましょう」というJリーグの姿勢を強く感じますし、今のように少し難しい状況にあっても「何ができるか」を考えることはとても有意義であると感じています。個人的には、中学1年の息子がサッカーをやっていて、子どもたちとJリーグを観に行くこともあるし、“パパ友”で連れ立って行くこともあります。そういう経験を通じて、私たちの日常にあるサッカーの存在価値、Jリーグの存在価値というものを強く感じています。今までのJリーグの変化にはポジティブな手応えがありますし、リーグの一貫した姿勢も感じているからこそ、当社がJリーグとのパートナーシップを続けているのだと思っています。

難しい状況で「何ができるか」

お客様との直接的なコミュニケーションのためブース出展や大会協賛をはじめ、様々な活動を展開 [写真]=Jリーグ

———長年のパートナーシップにおいて、いくつものイベントや施策を実施されてきたと思うのですが、すべての活動に共通する意識はありますか?
菅原 Jリーグとの取り組みとして大事にしたいと考えているのは、スタジアムの看板広告による宣伝効果に頼り切りにならないことです。例えば、Jリーグの各スタジアムではイベントブースを出展し、そこに足を運んでくださったサポーターと直接的にコミュニケーションを取ることを大切にしてきました。2019年夏に協賛させていただいた『Jリーグ ワールドチャレンジ2019』(川崎フロンターレvsチェルシーFC)でも来場者の皆様にうちわを配布させていただいたのですが、もちろんこれも同様の考え方です。昨年からはリアルなイベントの実施が難しくなったためTwitterを軸にキャンペーンを継続的に行っていますが、手法は異なるものの、いずれもコミュニケーションに重点を置いた企画を実施しています。

———直接的なコミュニケーションを大事にされる理由は何でしょうか?
菅原 「人と企業をつなげる」という私たちの事業は、やはり人と人との信頼関係によって成り立っています。信頼関係を築くためには互いに膝を突き合わせて言葉を交わすことがとても大事。そうすることで、顕在的なニーズだけではなく潜在的なニーズを掘り起こすことができると考えています。“肌で感じる部分”の大切さですよね。Jリーグとのパートナーシップを通じて、新しいお客様と直接的なコミュニケーションを図れることは私たちにとって大きな魅力ですし、社員がお客様とともにスタジアムへ地元クラブを応援しに行くということも多くあります。

———新型コロナウイルス感染症の拡大によって、その“直接的なコミュニケーション”を簡単に取れなくなってしまったことは大きな痛手だと思うのですが、それでもJリーグとのパートナーシップを継続する理由はどこにありますか?
菅原 これは結果論と言えるかもしれませんが、そういった状況下で「何ができるか」について真剣に考えられたことは、私たちにとってポジティブなことであったと考えています。こういう状況だからこそ、スポーツは人々にとっての希望となり得るし、スポーツの価値を再認識しました。制約の多い大変な時期であることは間違いありませんが、自分たちもパートナーシップを結ぶJリーグの一員として、この危機を乗り越えようとすることが後に大きな力になるのではないかと。それが企業価値や社内の士気向上につながり、ひいては社会貢献にもつながるはずだと考えています。

「サッカー選手」は“なりたい職業”の上位

[写真]=野口岳彦

———おっしゃるとおり、コロナ禍におけるスポーツとビジネスのマッチングについては、今後の社会においてもすごく大切なヒントが隠されている気がします。
菅原 現場で観戦できることを前提とするスポーツが、現場で観戦できない状況に追い込まれてしまったわけで、ではその場合、ファンはどのようにしてスポーツと触れ合えばいいのか。そして、私たちパートナー企業はどのように関わっていけばいいのか。それを考えることには大きな意味があると思います。私自身、在宅時にテレビを観ていると、いつもスポーツ番組を探してしまうんですよ。それはきっと、“元気にさせてくれるもの”としてスポーツを認識しているからだと思うんです。

———そう感じている人は少なくない気がします。
菅原 サッカーをする子どもたちの姿を見る機会がありましたが、彼らを見ているとサッカーというスポーツの持つ力を実感しますし、大きな可能性を感じます。職業柄、「子どもがなりたい職業」に関する調査を行うこともあるのですが、やはり「サッカー選手」は常に上位にいます。そういった意味でも、CSR活動の一環としてJリーグとパートナーシップを結んだことにはすごく大きな意味があったのではないかと思っています。

———だからこそ、Jリーグとのパートナーシップを今後も継続していかれると。
菅原 Jリーグだけではなく、関係するあらゆる方々が大変な思いをしながらも世の中にJリーグの価値を提供し続けるために頑張っている。だから私たちとしても、苦しい時にこそ乗り越えていくための何かができればと思っています。Jリーグはパートナー企業をすごく大切にしていると日頃から感じているので、私たちも何らかの形で力になりたいですね。

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