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株式会社NTTドコモ「“思い”をつなげ、新たな感動体験を」…【連載|私たちがJリーグを支える理由 #4】

株式会社NTTドコモ コンテンツビジネス部スポーツ&ライブビジネス推進室の馬場浩史室長、同室の増原美帆さん [写真]=野口岳彦

 Jリーグを支えるタイトルパートナー、トップパートナー企業のインタビュー連載「私たちがJリーグを支える理由」。第4回は、2017年からトップパートナー契約を結んでいる株式会社NTTドコモ。

 新たな感動、新たな興奮をファンに提供するために、Jリーグは近年、デジタル技術による変革「DX(Digital Transformation)」を推し進めてきた。その中核としてJリーグとともに様々なチャレンジを繰り返してきたのがNTTドコモだ。

 新たなファンに感動や興奮を提供し続けるために、できることは何か。コンテンツビジネス部スポーツ&ライブビジネス推進室の馬場浩史室長と増原美帆さんは、意外にも「思い」を共有することの大切さを口にした。

インタビュー・文=細江克弥

Jリーグには大きな成長余力がある

[写真]=野口岳彦

———NTTドコモは2017年にJリーグとのトップパートナー契約をスタートしました。まずはその経緯について教えてください。
馬場 まずNTTグループの中でパートナーシップを柱とした事業展開を強く意識していた時期であったことが大きな理由の一つです。もう一つは、東京オリンピック・パラリンピックのパートナーシップと関連して、当社全体の方針として“スポーツを通じた仲間作り”の動きが加速していたことが挙げられます。また、2017年にDAZNによるJリーグの放映権取得の実現にあたって、当社がDAZNと販売代理店契約を結んだことでサッカーやJリーグとの結びつきが一気に強まったことも大きな流れでした。

———「スポーツを応援することの意味」については、どのような考えをお持ちですか?
馬場 企業スポーツとしての取り組みについては、NTTグループ全体で様々なジャンルに挑戦してきました。例えば、ラグビーでは新たに始まるリーグに所属するNTTドコモ レッドハリケーンズ大阪を保有しています。企業スポーツの振興、あるいはサポートという意味では面々と長い歴史を持っています。ただ、それを事業としてつなげていくためには転換点が必要で、今がまさにその時期にあると考えています。企業スポーツではなくスポーツビジネス、または事業の機会としてのスポーツと捉え直す。そのきっかけとなったのが、Jリーグとのパートナーシップでした。

 もう一つの側面として、欧米との比較に見るスポーツ産業の成長率を考慮しています。歴史や背景の大きな違いがあるとはいえ、Jリーグとほぼ同時期に発足したイングランドのプレミアリーグは、現在、スポーツ・エンターテインメントとして世界屈指の規模を誇ります。ポジティブな見方をすれば、Jリーグには大きな成長余力があると考えられます。つまりポテンシャルのある産業に対して、自分たちで付加価値をつけることができれば、それが事業につながるだろうと。その仮説こそが、スポーツとの関わりを強めようとするもう一つの動機となりました。

両者にとっての“新たな接点”

昨年9月に実施した「5Gマルチアングル観戦体験」をはじめ、新たな“感動体験”の提供にも力を入れる
[写真]=©KASHIMA ANTLERS、©2005 O.FC

———企業スポーツやスポーツビジネスに対する考え方の転換点を模索する上で、成長過程にあったJリーグは興味深い存在だったということですね。
馬場 JリーグがDX(Digital Transformation/デジタル技術による変革)に力を入れ始めたことも、両者の関係性において強い追い風となりました。もともとJリーグとお客様との関係性は“各クラブごと”に築かれていましたが、Jリーグ公式アプリ「Club J.LEAGUE」や「JリーグID」をはじめとするDXの加速によって、“Jリーグ全体としてのお客様”を増やそうという試みに力を入れ始めていました。JリーグによるDX促進と、私たちがキャリアフリーと呼んでいる「dポイント」や「d払い」といったモバイル回線に紐付かないお客様とのタッチポイントをミックスすることで、Jリーグとしてはチケットを購入してくださるお客様を増やし、私たちとしてはスポーツファンとの接点を作る。そこが互いのメリットとなったことで、パートナーとしての協業は加速度的に発展したと思います。

———具体的にはどのような施策を行ってきたのでしょうか?
馬場 まずパートナーシップ締結に至る前提として、単純にJリーグのファンを増やすため、スタジアムでの体験をより良いものにするために、「DAZN for docomo」を提供したり、dポイントを活用したお客様とのリレーション基盤の構築などを実行してきました。もう一つ、これは両者の関係性によるものですが、Jリーグとドコモが身近な存在として積極的にコミュニケーションを図り、何らかの課題に直面した時には“一緒に解決しましょう”という姿勢の中から生まれる取り組みです。新型コロナウイルスの感染拡大によるスポーツの危機は、まさにその機会でした。安心してスタジアムに来ていただくためにはどうしたらいいか。スタジアムに来られないお客様に対して何をするべきか。また、Jリーグの事業としてはスタジアム集客以外に収益を生み出す機会はないか。そうした課題に対して、非常にスピーディーかつスムーズに互いの知見を持ち寄り、データ分析をはじめとする新しい事業の模索など幅広いチャレンジを続けています。こうした関係性そのもののが有する付加価値は、とても大きいと考えています。

増原 Jリーグにとって新しいお客様との接点を作り、スタジアムに足を運んでもらい、さらにそれを継続していただくための工夫は、まだまだこれから構築していく部分が大きいと感じています。一例として、昨シーズン(2020年)の明治安田生命J1リーグ第19節鹿島アントラーズ対大分トリニータ戦では、県立カシマサッカースタジアムで5Gを利用した「5Gマルチアングル観戦体験」を提供しました。これは、客席に配置された2画面の5Gスマートフォンに表示される両チームの情報や試合中のフォーメーション、リアルタイムで表示されるマルチアングル映像などを視聴しながら、サッカー観戦そのものをより多角的に堪能していただく試みなのですが、抽選でご招待した25組50名の皆様にご好評いただき、改めて、“お客様に持ち帰ってもらう感動体験”を提供することも私たちが果たすべき大きな役割の一つであると再認識しました。そうした意味でも、Jリーグのリーグの魅力をより高品質で届ける取り組みとともに、新しいファンを獲得するための試みも次々に仕掛けていきたいと考えています。

新しいニーズを形にする

[写真]=野口岳彦

———Jリーグが“感動体験を継続的に提供すること”は、とても大きなポイントであり、それを実現するためにドコモに期待される役割は大きいですね。
増原 そういう自覚を持って取り組んで行きたいと思っていますし、コロナ禍の今だからこそ、今までとは違う楽しみ方に対するニーズは高まっている気がします。試合観戦中の感動体験を高めることはもちろんですが、スタジアムに足を運べない自宅観戦の人でも楽しめる、自分の好きなクラブとつながっていると感じられる。あるいは、試合がない日にもクラブの地域密着活動に様々な形で参加できる。“非日常”である試合と、“日常”の両方でもっとサッカーを楽しめる。そのための新しい可能性を生み出すお手伝いをしたいと思っています。

———確かな手応えも感じられているのでは?
馬場 例えば、『d払い』を利用してJリーグを観戦されるお客様は劇的に増えましたし、目に見える形での効果も着実に上がっています。ただし、最も大事なのはそういった“点”の効果を“線”に変えていくことで、それを実現できれば、お客様とJリーグの関係性はポジティブな意味で大きく変化していくと思います。

———NTTドコモといえば「携帯電話の会社」という認識が浸透しています。しかし、テクノロジーによって社会を変革していくという側面についても、Jリーグとの関わりを通じてアピールしたいお気持ちはありますか?
馬場 そうですね、大きなポイントの一つです。スポンサーシップのベースには「企業ロゴをPRして認知を高める」という考え方もありますが、“認知率”という意味においてはすでにかなりのレートを獲得できていると考えています。その一方で、その認知の内容は「携帯電話の会社」であり「ドコモショップ」が大半を占めているため、携帯電話事業だけではなく、日々の生活の豊かさや便利さを追求する総合スマートライフ事業の側面についても、Jリーグとの取り組みを通じて、できるだけ多くの皆さんに認知いただきたいと思っています。

感動はコミュニケーションから生まれる

観戦体験の最大化やデジタルマーケティングをはじめ多角的な施策により、ビジョンに掲げる「ファンの皆様に感動、興奮、共感を」の実現を目指す
[写真提供]=株式会社NTTドコモ

———スポーツ・エンターテインメント分野における「理想的なスポンサーシップ」についてはどのように考えますか?
馬場 Jリーグとのパートナーシップを通じて様々な話し合いや取り組みを繰り返す中で、成功と言える事例も、逆に失敗と言える事例も同じように存在しています。そういった経験を通じて改めて感じるのは、やはり大事なのは両者が面と向かって話し合える関係性であるということです。特にスポーツへのスポンサーシップにおいては、そこが最も重要であると考えています。

増原 その意味で、Jリーグとはとても密な関係性を築けていると自負していますし、細かな情報交換に基づいた建設的な議論ができています。その結果として、はっきりとお伝えできるような成果も出てきているし、明確な課題も共有できている。馬場も言ったとおり、両者の間にその関係性があるかがとても大きなポイントであると思っています。

———スポーツは“ナマモノ”だからこそ、正確に測れない事象も多いですが、それを解決するための関係性が重要ですよね。
馬場 そう思います。Jリーグには「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与」という理念があり「スポーツを通じて豊かな世界を作る」思いを持っていて、私たちNTTドコモには「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」という企業理念があり、ともに新しい文化を持った新しい世界を築くために貢献したいという思いを持っています。そうした共通項があるからこそ、スポーツ・エンターテインメントの根幹である「ファンの皆様に感動、興奮、共感を」をいかに咀嚼するか、それを可能にするコミュニケーションや体験をいかに実現するかが大事だと思うのです。そのためにも、やはり“思い”が大切です。“思い”がつがながることで新たなインスピレーションが生まれることも少なくありませんし、それこそがスポーツ・エンターテインメントに携わることの魅力であると考えています。


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