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【ライターコラムfrom川崎】齋藤学に表れた変化、後半戦で“激戦区”を制することができるか

批判を受けてもライバルチームへの移籍を決断したのは、「成長したい」という純粋な思いからだった [写真]=J.LEAGUE

 昨年のJリーグ覇者である川崎フロンターレが、勝ち点を積み重ね始めている。

 リーグ戦再開後は北海道コンサドーレ札幌とV・ファーレン長崎に勝利して、連勝スタートを飾った。これで中断期間を挟んで、リーグ戦は4連勝。現在3位だが、首位・広島との勝ち点差も「10」から「8」と縮め、一桁差でリーグ後半戦を迎えることとなった。

 この中断期間中、大久保嘉人とエドゥアルド・ネットの主力二人が移籍。補強を行っていないため、チームには戦力面での上積みはない。となれば、期待されるのは現有戦力におけるさらなる奮起だろう。

 その代表格が、齋藤学である。

 今年隣町からやってきた日本人屈指のドリブラーは、長期離脱から4月に実戦復帰。公式戦での出場機会はつかんでいるものの、チームで定位置をつかむまでには至っていない。この中断期間中にはチームのスタイルに適応する感覚をより研ぎ澄まして、トレーニングに取り組んだ。

 変化が表れ始めたのは、中断明け最初の公式戦となった天皇杯3回戦・水戸ホーリーホック戦だ。この試合でスタメン出場すると、齋藤は周囲とのコンビネーションを見せながら崩しの局面に顔を出す。

 例えば、サイドに流れてワイドな位置取りをするのではなく、間でボールを受けて前を向いて仕掛けていく。あるいは中央寄りに入っていくことで、ボランチや前線との距離感を縮めて、パスワークにアクセントをつけていく。11分には、左サイドをえぐって折り返し。エウシーニョのシュートはバーに弾かれたものの、決定機を演出している。

 この試合に関しては齋藤本人もまずまずの手応えがあったようで、試合後には「ワールドカップの中断前のプレーに比べれば、自分としては進んでいる」として、感触を振り返っている。

「やっている中でも何度かチャンスを作れていました。自分がどこでドリブルするかは見せないといけないし、一回か二回は自分で仕掛けていれば良かったという場面がありました。前半で悠くん(小林悠)とワンツーを仕掛けた場面とか。自分で仕掛けたほうが良かったかもしれないと思うけど、そこは仕方がないですね」

 左サイドバックの車屋紳太郎との縦関係もスムーズになってきている。齋藤の仕掛けを生かすために、これまでの車屋は齋藤を追い越す動きを自重していたが、そういった遠慮がなくなった。齋藤も車屋が攻撃参加できるスペースを促すポジショニングを取るなど、左サイドの縦関係にも呼吸が生まれてきたのだ。齋藤も悪くない手応えのようだった。

「何回も裏を取ったり、正直、悪くないと思っていました。ただ後半は俺をサイドにいかせて仕掛けさせようとする感じで中にいてくれて、それが微妙になってしまった。そこはまた話していけばいい。ここからだと思います」

 結果的には、この水戸戦でも目に見える形での結果を出すことはできず、58分での途中交代となった。課題は見えたが、そういう課題も試合に出ることで浮かんでくるものでもある。本人の言葉も前向きだった。

「阿部(浩之)くんも(長谷川)竜也もいて、自分のポジションは厳しい。次にチャンスが来るのはいつか分からないけど、それも承知で(川崎フロンターレに)来ている。また次にチャンスが来るように、そのためには練習しないといけない」

 本来であれば、齋藤はレギュラーであってもおかしくない選手だ。ただ現在での川崎フロンターレにおいて、左サイドハーフのポジション争いは、一番の激戦区でもある。

 直近のリーグ戦2試合では、昨年の優勝に貢献した阿部がスタメンの座をつかんでおり、ベンチを見ても、負けている時のジョーカー役としては、長谷川が控えている。リードしている展開では、スピードと対人守備にも秀でており、サイドバックとしても起用できる登里享平がクローザーのように投入される采配が続いている。齋藤はベンチ入りもままならない状態だが、その厳しい環境も、きっと彼をまた成長させるのだろう。

 シーズン後半に向けて、どんなプレーを見せてくれるのか。楽しみである。

文=いしかわごう

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