2018.08.30

【ライターコラムfrom川崎】川崎の好調支える登里享平、攻撃面での“渋い働き”を見逃すな

登里享平
クローザーのように投入される時期もあったが、直近のリーグ戦5試合は先発している登里 [写真]=Getty Images
川崎フロンターレの取材を中心に活動。将棋界にも精通。著書に「将棋でサッカーが面白くなる本」(朝日新聞出版)。「川崎フロンターレあるある1&2」、「将棋ファンあるある」(TOブックス)。「サッカー脳を育む」(中村憲剛/ぴあ)では企画&構成も担当。将棋はアマ三段(日本将棋連盟三段免状所有)。

 川崎フロンターレが好調だ。中断明けとなったリーグ第16節・コンサドーレ札幌戦からの8戦を6勝1分1敗。第23節では首位・サンフレッチェ広島との直節対決も制し、1試合少ない状態で勝ち点6差とするなど、猛追し続けている。

 その中で存在感を見せているのが登里享平だ。中断明けの試合で、唯一の敗戦となった第19節の浦和レッズ戦直後の横浜F・マリノス戦から左サイドバックで先発すると、クイックネスと突破力のある右ウィングバックの仲川輝人とのマッチアップでは見応えある地上戦を展開。見事な守備対応を見せて、完封勝利に貢献した。

 攻撃面でも渋い働きを見せている。スピードを生かした縦の突破が持ち味だと思われがちだが、攻撃の際のポジショニングも実に巧みだ。サイドに張ってボールを引き出す位置取りをするだけではなく、相手の守り方を見ながらブロックの間で受ける動きや、中央に入り込んで味方のパスコースに顔を出す仕事も精力的に行う。左サイドハーフの阿部浩之とのポジションチェンジも頻繁だ。要は、相手の嫌がる位置にポジションを取っていることで、チームの流動的な攻撃にアクセントを加えているのである。

 この横浜F・マリノス戦では、サイドを捨てて中央を狭く守ろうとする相手守備陣の対応を見て、登里はあえてサイドに構えることで、相手の陣形を横に広げさせる駆け引きを繰り返した。守っている相手同士の横の距離感が遠くなれば、中央には空間が生まれ、スルーパスも通りやすくなる。2つの得点場面は左サイドからの崩しだが、そこには相手の守備陣形を動かし続けた登里による巧妙な位置取りがあったことを忘れてはならない。

 自身にとっては久しぶりの先発。それが神奈川ダービーの勝利だったが、試合後はいたって冷静だった。

「まだまだボールを支配したい。相手に持たれるところもあったけど、我慢強くチャンスを作らせないようにすること。あとはカウンターのケアだったり、そういうところをもっと詰めていくこと。勝って修正していくのが大事だと思っている。だから次も勝たないと意味がないと思っています」

 第20節で先発してからはリーグ戦5試合連続でフル出場。前節のベガルタ仙台戦では、自らの競り合いが中村憲剛の決勝弾につながる場面となった。

 55分、前線にいた中村が猛然とプレッシングに行くと、GKシュミット・ダニエルがロングキック。その競り合いを猛然と詰めていた登里が空中で競り勝ち、跳ね返ったボールを大岩一貴がコントロールミス。ゴール前で残っていた中村に転がり、一対一を冷静に決めた形だ。

 あの場面で中村が狙っていたのは、プレッシャーをかけてGKにロングボールを蹴らせること。そして蹴らせた後に回収して、ボールを握る時間を増やすことである。

 それを汲み取り、中村に連動して動き出していたのが登里だった。小柄な登里はエアバトルに強い選手ではない。あの場面で相手の先手を取って競り勝てたのは、狙いを絞り、勢いを持って競りにいけたからだ。

「あの3バックのつき方だと、ウィングが開く状態になる。相手のウィングバックと両方いけるポジショニングを取って、蹴るモーションをしたのでパスカットは狙っていた。自分は身長は低いが、走りながらのジャンプなので自信はあった。そこの距離感を意識して競り合った」

 しっかりとした予測に基づいていた競り合いならば勝てる。中村もその駆け引きを褒めている。

「ノボリ(登里)がアクセルを踏んで競り勝ってくれた。オフサイドのポジションだったけど、相手が触ったので。あとはGKをよく見て、落ち着きでやれた」

 得点決めた中村は、今季のゴールパフォーマンスであるBKBを、スタジアムに来場していたお笑い芸人・バイク川崎バイク本人の前で披露。試合後のヒーローインタビューでは、同じく来場していたお笑い芸人・ひょっこりはんを意識した登場で会場を沸かせた。

 試合後の登里もご満悦だった。相手のパスミスのため自身にアシストはつかなかったものの、BKBパフォーマンスの提案者でもある自身の競り合いが、ゴールシーンの起点になっていたのだから、喜びもひとしおだろう。「相手のミスでもあるけど、ケンゴさんのBKBは絶対にテレビに映るので、自分のパスみたいになって映るかな。自分もテレビでひょっこりしたいんで」。最後は、そんなオチをつけて報道陣を笑わせてくれた。

 2009年に入団した登里はクラブ在籍10年目。中村ほどではないが、いまやクラブの歴史を長く知るプレイヤーの一人だ。チームに欠かせないムードメーカーは、連覇に向かって、残りのシーズンを走り続ける。

文=いしかわごう

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