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独自の理論を語るモンテッラ「重要なのは現在と未来」

2012.11.17

ワールドサッカーキング 1206号 掲載]

インタビュー・文=ピエロ・トーリ
翻訳・構成=高山港

 

現役時代のヴィンチェンツォ・モンテッラは、イタリアを代表するストライカーの一人だった。特に、2000-01シーズンにローマをスクデットに導いた大活躍は、今でもロマニスタの記憶に深く刻まれている。

 

現役引退後、初めて監督に就任したローマでは名監督になるための能力を培った。その後、地方クラブのカターニアで監督としての指導力を実証。残留争いの常連だったカターニアを余裕を持って1部に残した手腕に注目が集まった。

 

そして今年の夏、チームの大改革を掲げていたフィオレンティーナが、モンテッラにチームの未来を託した。ヴィオラに再び輝きを取り戻そうとするモンテッラの戦いはまだ始まったばかりだ。だが、現在のところ、彼の采配は的中し、チームは確実に勝ち星を重ねている。モンテッラ率いるフィオレンティーナはシーズン終了までこの勢いを持続できるのか。監督として成長を続けるモンテッラが、冷静な分析眼で自身の今とチームの未来を語る。

 

監督としてのここまでの仕事ぶりに満足していますか?

 

モンテッラ(以下M)――もちろんさ。“駆け出しの監督”が、これ以上の成績を望むのはぜいたくと言うものだ。ここまでは想像した以上に事がうまく進んでいる。あくまで「ここまで」の話だがね。そう、重要なのは過去ではなく、現在と未来だ。ここからが本当の勝負の始まりだと思っている。

 

あなたの監督キャリアを少し振り返ってもらえませんか。まずは監督1年目のローマ時代について。

 

M――当時のローマは不振のどん底にあった。監督だったクラウディオ・ラニエリは敵地でジェノアに敗れた直後、辞任を表明した。そこで、クラブはローマ・ユースの指導にあたっていた私に“内部昇格”の要請をしてきた。私は快くその申し出を引き受けたよ。それまでの4-3-1-2からフランチェスコ(トッティ)を最前線に置く4-2-3-1へと軌道修正して、チームの立て直しを図った。ただ、目標だったチャンピオンズリーグ出場権の獲得にはあと一歩届かず、残念な思いをしたよ。

 

昨シーズンまで率いていたカターニアでは充実した日々を過ごしたのではないでしょうか。あなたの手腕で毎年残留争いに巻き込まれているチームを中位に定着させたのですから。

 

M――最高の経験をさせてもらったよ。カターニアでの1年間は、あらゆる面で成長できたと思っている。何より、監督としてやっていけるという自信がついたのは大きかった。私にチャンスを与えてくれたカターニア、そして私の指導についてきてくれた選手たちには本当に感謝している。

 

あなたは戦力的に乏しいカターニアで積極的なサッカーを展開し、監督としての手腕を高く評価されました。カターニアで成功を収めることができた秘訣とは?

 

M――答えは簡単。私がアグレッシブなサッカーを貫いたからさ。監督キャリアが浅いのは誰の目にも明らかだったが、逆に言えば、私には自分の考えをピッチの上に反映させるしか手段がなかった。そう、持ち駒をフル活用してアグレッシブなサッカーを実践しようと試みただけのことさ。それにチームには団結力が備わっていた。11位という成績は決して偶然の結果ではなかったんだ。

 

カターニアでの好成績を受け、今夏にルイス・エンリケが退任したローマへの復帰説が流れましたが、その真偽は?

 

M――うわさではなく、実際にローマの幹部からコンタクトがあった。だが、指揮官として復帰するための必要条件が満たされていなかったから実現には至らなかったんだ。

 

ローマとの交渉決裂に伴い、フィオレンティーナが参入してきたわけですね。

 

M――そう。フィオレンティーナからのオファーは私の理想そのものだった。フィレンツェはサッカーに打ち込むための条件がそろった町だ。オーナーやサポーターが情熱的で、何よりフィオレンティーナは野心に満ち溢れている。そういう雰囲気の中でチームを指揮したいと常々思っていたんだ。

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