2012.10.16

【インタビュー】インシーニェ(ナポリ)「今の僕があるのはゼマンのおかげ」

ワールドサッカーキング 1018号掲載]
ナポリの街に”マラドーナの再来”と呼ばれる、新たなヒーローが誕生した。ロレンツォ・インシーニェはイタリアのみならず、世界で注目を集める存在にまで成長した。163センチの小さなアイドルはナポリに悲願のタイトルをもたらすことができるのだろうか。
ロレンツォ・インシーニェ
インタビュー・文=マヌエル・パルラート 翻訳・構成=高山 港

 ロレンツォ・インシーニェは、ナポリで“大衆のアイドル”になりつつある。ナポリから数キロの小さな町、フラッタマッジョーレで生まれた“いたずら小僧”が、リオネル・メッシやディエゴ・マラドーナを想起させるような圧巻のパフォーマンスで、誰もが目を奪われるサッカー選手になったのだ。

 今年9月にセリエAに別れを告げたアレッサンドロ・デル・ピエロは、「アッズーリでの自分の後継者はインシーニェだ」と公言している。インシーニェはデル・ピエロの期待を裏切ることなく、9月11日にモーデナで行われたワールドカップ予選、対マルタ戦で代表デビュー。左ウイングとして快活なプレーを披露し、ナポリ市民だけでなく、イタリア国民を魅了した。

 今年の6月4日に21回目の誕生日を迎えたインシーニェは、その背の低さ(163センチ)からも、メッシやマラドーナを連想させる。この小さなサッカーの申し子は偉大なプレーヤーになることを夢見ている。できることなら、2人の偉大な先輩が歩んだようなサッカー人生を、自らも辿りたいと───。

攻撃的なポジションならどこでもできる自信がある

君は今シーズン、初めてセリエAに挑戦する新鋭だ。まずは君のプレースタイルを教えてほしい。

インシーニェ 最前線より少し後ろでアグレッシブにドリブルで勝負を挑んだり、ラストパスを出したりするのが僕の売りだと思う。だから、セカンドトップかトップ下が好きなポジションだよ。(ズデネク)ゼマンの下にいた時に経験した3トップの左サイドも気に入っている。攻撃的なポジションならどこでもできる自信があるよ。

チームメートのゴラン・パンデフが君のことをメッシと比較していた。一方、ナポリ市民は君を“マラドーナの再来”と見なしている。どちらと比較されるのがうれしい?

インシーニェ 世界ナンバーワンプレーヤーと比較してくれたパンデフにはお礼を言いたいね。ただ、ちょっと大げさかな(笑)。メッシは正真正銘の“怪物”だからね。もちろんマラドーナも同じ。残念ながら僕はライブで彼のプレーを見たことがないんだけど、DVDでは見ているし話にも聞いている。とにかくすごい選手だったってことは誰も否定できないよね。いずれにしても僕はまだそこまでのレベルじゃないし、まだ何もやり遂げていないからね。

ナポリファンは、君の切れ味鋭いドリブル突破に酔いしれている。ドリブルにはかなり自信を持っているんじゃない?

インシーニェ ドリブルは一番のセールスポイントだと思っているけど、僕はあくまでチームプレーを重視している。何もかも自分一人でやるなんてつもりは全くない。ドリブルで相手のディフェンスラインを突破して、味方にラストパスを届けることに大きな喜びを感じているんだ。この夏にナポリに戻って来るまで、君は名将ゼマンが率いていたフォッジャとペスカーラで修行を積んだ。

一人前の選手となるための成長過程で彼との出会いは大きかった?

インシーニェ 今の僕があるのはゼマンのおかげだよ。ある日の練習後、彼は僕にこう言ってくれた。「相手の身長がお前より30センチ高くても気にすることはない。ただ相手に大きく見せればいい。サイズの問題ではなく、お前の存在感のことを言っているんだ」とね。