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【インタビュー】クレヴァリー(マンチェスター・U)「シンジはチームにとって重要な選手になる」

2012.10.09

ワールドサッカーキング 1018号掲載]
トム・クレヴァリーが昨シーズンの雪辱を果たすべく、積極的なプレーを見せている。度重なるケガを克服した末に身につけたメンタルの強さが、その原動力だ。チームのタイトル奪還に向けて進化を続けるクレヴァリーが、今シーズンに懸ける思いを熱く語る。
トム・クレヴァリー
インタビュー・文=クリス・ヘザラル 翻訳=田島 大 写真=フォトスポーツ

 2011年夏、ウィガンでの武者修行を終えてマンチェスター・ユナイテッドに復帰したトム・クレヴァリーは、開幕からスタメンに名を連ねて好プレーを披露していた。しかし、それから1カ月も経たないうちにケガに見舞われて長期の戦線離脱。飛躍の1年となるはずだったシーズンは失意のうちに幕を閉じた。

 それでも、今シーズンのクレヴァリーはその悔しさを糧に再び開幕スタメンの座を確保。これまでにため込んだフラストレーションを吐き出すかのように、ピッチで躍動している。

 ロンドン・オリンピックとA代表デビューを経てひと回り成長した23歳の俊英は、マンチェスター・Uで不動の地位を築くことができるのか。クレヴァリーの“勝負のシーズン”は既に始まっている。

今の僕は他の選手よりも少しだけ気合いの入り方が違うかもしれない

君は11歳の頃からマンチェスター・Uに在籍し、ようやくトップチームでレギュラーの座をつかんだ。今の気分はどう?

クレヴァリー 最高さ。今シーズンはここまで順調だし、心からプレーを楽しめている。でも、まだ何も保証はないんだ。昨シーズンは出場機会をもらえるようになった矢先にケガをしてしまったからね。何が起こるか分からないことは肝に銘じているよ。

チームに貢献できなかった分まで結果を出さなくてはいけないというプレッシャーはない?

クレヴァリー もちろん、「今シーズンこそは」という意識は持っているけど、プレッシャーを感じることはないよ。とにかく今は、自分のプレーに専念することだけを考えている。とはいえ、ユナイテッドでプレーする以上、プレッシャーを感じないシーズンなんてあり得ない。僕にとってはどのシーズンも勝負なんだ。まあ、今の僕は他の選手よりも少しだけ気合いの入り方が違うかもしれないけどね。

昨シーズンはケガのせいで、優勝争いの大半をピッチの外から見守ることになった。チームも最後の最後でリーグ優勝を逃したわけだし、もう不運は続かないんじゃない?

クレヴァリー そう願うよ。ただ、僕はもともと「運」というものをあまり信じていない。運がすべてを左右するなんて思っていないんだ。もし本当に「運」というものがあるのなら、今後は間違いなく幸運が待っているはずさ。

子供の頃の話にさかのぼるけど、君はイングランド南部の生まれだよね? なぜ北部のなまりがあるの?

クレヴァリー 幼い頃、家族でヨークシャーに引っ越したからだよ。出身は南部だけど、僕は生粋のブラッドフォード(イングランド北部の町)っ子なんだ。いつも友達と道端でサッカーをしていた。子供の頃はプレステなんて触ったこともなかったね。学校のチームでプレーし、その後はブラッドフォードの少年チームに入った。ヴァリー・パレード(ブラッドフォードのホームスタジアム)のシーズンチケットも持っていたよ。当時のブラッドフォードはプレミアリーグに在籍していて、僕はベニート・カルボーネのプレーに熱狂していた。今はユナイテッドで満足だけど、もしかすると、現役を引退するまでに一度はブラッドフォードでプレーすることになるかもね。

シンジは間違いなくチームにとって重要な選手になる

君はマンチェスター・Uの主力に定着するまで、何度かローン移籍を経験している。2010―11シーズンにはウィガンでプレーしていたけど、ローン移籍はいい経験になった?

クレヴァリー そうだね。毎週末プレーするチャンスをもらえたし、いろいろな国の選手とプレーできたのも貴重な経験だった。(ロベルト)マルティネス監督には本当に世話になったよ。彼はサッカーを愛し、サッカーのために生きている。それに、他のチームの選手のことまですべて頭に入っているんだ。だから、昨シーズンのウィガンが奇跡的に残留を果たした時も、僕は全く驚かなかった。マルティネス監督には本当に感謝している。

ウィガンの他にもいくつかのチームでプレーしているよね。

クレヴァリー 最初のローン先はレスターだった。僕はあのチームでユースチームの若造から、一人前のプロ選手へと成長できたんだ。ユナイテッドのリザーブチームでプレーしている時は観客が300人くらいだったけど、レスターに加入していきなり2万人の前でプレーした。とても衝撃的だったよ。

よそのチームで、しかも短期間だけプレーするというのは難しいと思う。ローン移籍するにあたって、アレックス・ファーガソン監督から何かアドバイスはあったのかな?

クレヴァリー あの頃は、監督がいつも言い聞かせてくれた言葉を思い出しながらプレーしていた。「努力し、勝者になれ!」という言葉をね。僕はその言葉を胸にレスター、ワトフォード、ウィガンを渡り歩いた。そういった武者修行のおかげで今の僕があるんだ。


今夏はアーセナルからロビン・ファン・ペルシーが加入した。彼はチームに好影響をもたらすと思う?

クレヴァリー もちろんさ。ロビンがワールドクラスの点取り屋であることは今さら言うまでもないし、獲得のうわさが流れた時には僕自身、とても興奮したよ。中盤の選手からすると、彼のようなストライカーと一緒にプレーするのは大きな喜びなんだ。確か、昨シーズンはロビンとウェイン(ルーニー)が得点ランキングの1位と2位だったよね。その2人がそろったんだから、今シーズンは2人でどれだけゴールを稼いでくれるか楽しみだよ。

同じく新加入のシンジ・カガワについてはどう感じている?

クレヴァリー 彼も一流の選手だよ。すぐにチームに溶け込んで、素晴らしいスタートを切った。プレーを見れば分かると思うけど、シンジは間違いなくチームにとって重要な選手になるよ。

君はこれまでに、トップ下、セントラルMF、サイドMFと、いろいろなポジションをこなしてきた。一番お気に入りのポジションはどこ?

クレヴァリー 僕は常にボールを触っていたいタイプだから、中央でプレーするのが好きだ。最終ラインからボールを引き出し、攻撃を組み立て、時にはボックス内に飛び込んでゴールも決める。僕はそんなプレーヤーを目指しているんだ。今シーズンはとにかくゴール数を増やしたいね。

誰か手本にしている選手はいる?

クレヴァリー ユーロ2012での(アンドレア)ピルロはすごかったと思う。同じMFとして彼のような選手は認めざるを得ない。でも、僕にとっての最高の手本は(ポール)スコールズなんだ。彼からはたくさん学ぶことがある。

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