
選手時代をインデペンディエンテで過ごし、U-9の監督としてセルヒオ・アグエロらを指導したネストル・ランベル氏。元アルゼンチン代表のセバスティアン・ランベルの叔父にあたる彼は、過去にグスタボ・ロペスやガブリエル・ミリートなどを発掘し、現在はU-10の監督とスカウトを兼任する。インデペンディエンテの生き字引である重鎮が、クラブの“出世頭”であるアグエロの知られざるエピソードを明かした。
インデペンディエンテの特徴
「南米のクラブはどこも個人技に優れています。インデペンディエンテはそれにプラスして、コパ・リベルタドーレス7回、インターコンチネンタルカップ2回を制覇した歴史があります」
育成において重視している点
「育成組織での競争、共同生活を通じて、プロとして要求されるすべての能力と、最も大切な人間性を伸ばしています。人間性はサッカー選手としての能力以上に大切なものです」
トップチームに上がる選手たちの共通点
「持続力と家族の協力が不可欠です」
育成組織に所属する日本人3選手(伊達和輝、千葉真登、金久保陸生)の印象
「時間をかけてじっくりと見ていないので細かな分析はできませんが、ボール扱いに優れ、良い判断力を備えた選手たちです。いつも練習場で自主練習もしていますし、3人ともクラブにポジティブな印象を与えています」
アグエロ加入の経緯
「クン(アグエロの愛称)を初めて見たのはストリートサッカーでした。そこで彼を見つけた瞬間に、インデペンディエンテは新たなクラック(素晴らしい選手)を獲得することになりました」
U-9時代のアグエロ
「U-9の時から飛びぬけた存在でした。身長は低かったのですが、身体的に強く、技術的にも素晴らしかったです。すべての試合でゴールを決めていた印象があります」
アグエロの成長ぶり
「サッカーの能力はすでにすべて備わっていたため、人間として正しく成長できるように見守りました。貧しい家庭の出身だったため、私生活においてもいろいろと話しサポートしました」
アグエロの印象的なエピソード
「クンはあまりにも飛びぬけていたため、試合が終わるたびに対戦相手の監督やエージェントから彼を奪われないように守るのが大変でした。一番覚えているエピソードは、クンが2ゴールを決めたボカとの試合の後、ボカの監督から「我々の11人の選手とあなたの10番(クン)をトレードしてくれ』と本気で言われたことです。私は即座に「11人じゃなく100人と言われても交換しない!」と答えました(笑)」