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元日本代表FW久保竜彦、持病の腰痛治したのは「足指をまげた」から!?

2014.09.12

TOKYO, JAPAN - SEPTEMBER 23: (EDITORIAL USE ONLY) Tatsuhiko Kubo of Yokohama F. Marinos in action during the J.League Division 1 second stage match between Yokohama F. Marinos and Vissel Kobe at the National Stadium on September 23, 2004 in Tokyo, Japan. (Photo by Etsuo Hara/Getty Images)

 メディカルトレーナーである夏嶋隆氏監修、スポーツジャーナリストである石井紘人氏著による『足指をまげるだけで腰痛は治る!』が現在、好評発売中だ。

 同著では、腰痛を治すには足指をまげて骨の「ズレ」を正せば、腰痛のもとをバッサリ断つことができる12のメソッドを公開しているが、今回は同トレーニングを実践し、腰痛を治療した経験を持つ、広島県社会人リーグの廿日市FCに所属する元日本代表FW久保竜彦のインタビューなどを抜粋して紹介する。

腰痛の原因とは?

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まず、足の指を内側に折り曲げて、バレリーナのように立ってみて下さい。おそらく、ほとんどの人が立てないのではないでしょうか?立てなかった人は、腰痛になる可能性があります。「足指で立つなんて、特殊な訓練をしないと立てないよ」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。子供はすぐに立てるようになります。

理由は、単純明快です。

人間は本来、足指を内側に折り曲げて、バレリーナのように立つことが出来るからです。それが、日常生活のなかで、いつの間にか「浮き指(足の指が地面に着かないこと)」になり、指を曲げることができなくなっているのです。近年、「足の裏の形が崩れることで、骨が変形する。そして、身体の上部に影響を及ぼす」と「浮き指」の危険性を訴える医者が増えています。

その「浮き指」が与える悪影響の一つが、腰痛です。

2011年11月に『NHK ためしてガッテン』でも放送されたように、近年では、「腰痛の原因=ヘルニアではない」と言われています。では、ヘルニアでなければ、何が腰痛の原因なのでしょうか?

ひとつが、「浮き指」により、つま先や太ももが体の内側を向くこと(「内旋」)が引き起こす、仙腸関節のズレです。腰とお尻の周辺にある仙腸関節は、わずかなズレでも痛みが生じます。この仙腸関節の痛みに苦しんでいる人が多いようです。
つまり、逆に言えば、「浮き指」を治すことで、腰痛が改善されるということでもあります。

足の指のつま先まで使うことで、改善されるのは、腰痛だけではありません。近頃話題の「ふくらはぎマッサージ」ですが、ふくらはぎが硬くなってしまうのも、足の指のつま先までを使えていないことに原因があります。つま先まで地面に着かない歩き方をすると、着地した時、足首とふくらはぎの角度がアキレス腱を伸ばす格好になります。これでは、常に筋肉トレーニングをしているのと同じです。ふくらはぎが硬くなってしまいます。
このように、現代病の多くが、「足指トレーニング」をすることで、改善する可能性があるのです。

私も、時之栖アカデミックスポーツクラブのメディカルサポート・動作解析を専門とする夏嶋隆氏と出会うまで、腰痛を抱えていました。中学三年生の時に、腰に痛みを覚えてから、腰痛との長い付き合いが始まりました。最初は湿布を張り、次にコルセットを作るというお決まりのパターンです。レントゲンやMRIも何度も撮りましたし、部活のサッカーを一か月休んだこともあります。社会人になってからも、サッカーをすると腰が重くなるのは変わらず、コルセットは必需品でした。それが今では、コルセットを付けずに、生活をしています。引っ越し屋さんのお手伝いもしました。

「腰に慢性の痛みを抱えている人たちは、腰のことばかりを気にするけど、実は足が変形してしまっていることが多いのです。自分の癖に問題があって、腰痛になる人もいます。歩いたり、止まったり、ターンしたり、何かアクションをしたり、その動きで腰が痛くなる。ならば、負担がかからない動きをしなければいけない。野球なら正しいフォームで投げなければ肩を壊します。それと同じで、腰痛も歩き方や姿勢、動作の順番などに問題があります。それを改善するポイントになるのが足指です」

夏嶋氏が言うように、私が意識したのは、「足指トレーニング」です。まだ「意識している」というレベルで、この本に記している全てをクリアした訳ではありません。なので、腰痛は完全に治っていません。それでも、意識するだけで変わると思います。

実際に、夏嶋氏の元で腰痛を完治させたのが、サッカー元日本代表の久保竜彦氏です。久保氏は、38歳になった現在でもサッカー選手としてプレーしています。「痛みはまったくないっす。やっぱ、聞く耳は持つもんやね」と笑っていたのが印象的でした。

夏嶋氏が勤務する時之栖アカデミックスポーツクラブには、「手術したのに痛みがとれない」「なんで痛いのか分からない」という多くの人が治療に訪れます。共通しているのは、「足指トレーニング」を満足に出来ない足になっていることです。

現在、日本人の4人に1人が腰痛を抱えていると言われています。しかし、これという解決策がないのが現状です。だからこそ、いまだに腰痛人口は増え続け、「腰痛ジプシー」という言葉も生まれたのでしょう。本書では、その腰痛を改善するために、今までフォーカスされてこなかった『足指』に焦点をあてました。腰痛を改善するための「足指トレーニング」で、久保氏のように腰痛を改善させましょう。

足指トレーニングで日常の動作の改善

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近年、ひざと腰の痛みの因果関係が指摘されるようになっています。多くの整形外科医の方が、「ひざに痛みを持っている人たちは、腰に痛みを持つようになる。ひざの痛みをかばうことで、変な姿勢で歩くことが多くなり、腰を痛める」と提言しています。というのも、ひざの痛みと腰の痛みには、共通するワードがあるのです。それが、足が太ももやつま先が内側に入る「内旋」です。

2012年12月に引退を発表したサッカー元日本代表のA氏も、ひざの痛みに悩まされていました。

「(ひざが痛かったので)2010年の終わりに手術をしたのですが、その時点でひざがかなり悪いということをドクターから聞いていました。ずっと痛みが消えることはない、と。ただ、手術をして次の年、とにかくプレーしえみようと思ったんですが、それでもなかなか痛みが引かず、最終的にはまたリハビリになってしまいました。それで2011年は走れないような状態にまでなってしまい、歩くことも困難な状態になった」

A氏は、引退会見にて、このように自身の症状を語っています。しかし、A氏の一番の問題はひざではありませんでした。足指のつま先までを使えていないことで、足裏への負担が分散されず、足が変形してしまっていました。その変形した足で走り続けたため、アキレス腱やくるぶしが健常者とは違う所、つまり骨や靭帯がズレてしまい、常に半月板損傷している状態になっていたのです。

このA氏の足を治すために、夏嶋先生は、先述の足指トレーニングを課しました。と同時に、くるぶしやアキレス健を正しい位置に戻すために、テーピングで矯正していきます。日常の動作の改善を行ったのです。その結果、A氏の足元からひざまでの靭帯の位置は変わり、普通に歩き、普通に走れるようになりました。

日本と欧米、靴選択の違い

Greece v Cote D'Ivoire: Group C - 2014 FIFA World Cup Brazil
[写真]=Getty Images

小学生から中学生にかけて、日本人を含めたアジア人には、膝の怪我が多いと言われています。その原因として、「半月板のサイズが通常より大きいから」とされていますが、それだけではないように思います。日本や周辺諸国には、家に入る時に靴を脱ぐ文化があります。そのため、日本の子供たちは、靴紐をしっかりと結ばず、ブカブカの靴を履きます。「脱ぎやすく、履きやすく」するためです。

一方の欧米では、外出する時に靴を履いたら、ほぼそのままです。学校に、上履きという概念はありません。日本サッカー協会の田島幸三氏は、著書『「言語技術」が日本のサッカーを変える』にて、こんなエピソードを綴っています。

『2001年、私がU-17日本代表監督としてチームをヨーロッパの大会に連れて行った時のことです。日本のチームの選手たちは、ドイツ、フランス、イタリア、ブラジル、イングランドの5ヶ国の選手たちと同じホテルに泊まっていました。朝、ホテルの食堂まで食事をとるために降りていった時のことです。(中略)(欧米の選手たちは)靴もしっかりと履いています。しかし、日本チームの選手たちはどうでしょうか。(中略)足元は、サンダル履きでした』

こういった日常の差は足に出ます。ジャストサイズの靴を履き、靴紐をしっかりと結んで靴を履けば、足の形も靴に合った正しいものになります。しかし、足指が背屈するような靴ばかりを履いていては、足はどんどん変形していきます。先述したように、足が変形すれば、膝に負担がかかります。こういった日常の差が、膝の怪我の多さに繋がっているのではないでしょうか。

とは言え、ジャストサイズの靴を履き、靴紐をしっかりと結んでも、足に良くない靴では意味がありません。たとえば、近年、減少傾向にありますが、かかとに分厚いエアーが入ったような靴はお勧めできません。かかとにエアーが入っていると、どうしてもかかとから着地するようになってしまいます。そのためのエアーでもありますし、そのような構造になっています。しかし、箱根駅伝や五輪のマラソンに出場している選手の中に、分厚いエアーが入った靴を履いている人を見かけることがないように、人体構造には合っていないように感じます。近年では、スポーツする人には、トレイラーシューズのような、足にフィットしたものが推奨されるようになっているようです。

また、エレベーターに足が挟まれる事故が頻発した合成樹脂製の軽い靴もお勧めできません。そもそもで靴を履く理由は、コンクリートの上を歩くからです。つまり、耐久性がなくてはいけません。つまり、人間の足が本来持っている3つのアーチ(外側の縦アーチ、内側の縦アーチ、横アーチ)に沿った形状のもので、耐久性がある靴を選べば良いということです。

「ちょっとずつちょっとずつ変わっていった」

Yokohama F. Marinos v Vissel Kobe - J.League 2004
[写真]=Getty Images

『足指で立つ』トレーニングを行うと、足指はもちろんですが、足首の甲がピーンと張り、アキレス腱が重くなったように感じます。その辛さに負けて、止めてしまうと効果はありません。

「それを超えんとね。指曲げ立ちは二週間くらいで立てるようになって。先生にも何時間やればいいですか?何分やればいいですか?って聞くじゃないですか。やれるだけやっておけって。1000回、2000回、10000回。やれるだけ、やれる時にやればいい。最初は指、曲がらないですからね。痛くて。でも、こっち(腰や膝)はほぼ痛くなくなってきて、なんか違うと思って。それから『(サッカーを)やれるわ、これ』と思って」

夏嶋氏が久保氏に与えたトレーニングは簡単です。『足指で立つ』です。久保氏は、右足が典型的な「浮き指」だったために、体のバランスが崩れていました。足も内旋もしています。さらに、ジャンプをして着地する時も、左右がバラバラに地面に着く状態でした。それもあり、衝撃が腰や膝にかかってしまっていたのです。夏嶋先生は、足首や足の指にテーピングを巻き、かかと重心の改善を試みます。さらに、久保氏自身に、癖を治させるために、『足指で立つ』トレーニングを課したのです。

「足は全部、テーピングでぐるぐる巻きにしてた。(『足指で立つ』を)ずっとやってましたね。立つようになりたいと思って。これ曲げられるようになって、立ったら、また痛みなくサッカーが出来るようになると思って。まぁ、とにかく裸足で生活して。ゴルフボールも掴んだし、バレエの動きも勉強しましたね。あとは、チャリンコで富士山一周もしたし。何しても痛みがないけ、体を動かして、ちょっとずつだけど。なんていうのかな、可動域が広がる。でも、ちょっとずつしか治らないっすね。人間は」

久保氏は、夏嶋氏の元で本書にあるようなトレーニングを行います。そして、腰や膝の痛みを取り除いたのです。久保氏は、今も自分の体が元に戻っていくのを感じていると言います。また、その過程で、夏嶋氏の言っている意味を理解できるようになったそうです。

「(今でも)足指トレーニングをして、ちょっとずつちょっとずつ変わっていくんです。夏嶋先生に言われていたことが、遅れて(自分の体に)くるんですよ。先生、何回も何回も同じことを言うじゃないですか。それが頭にのこっとって、『あれ?これ先生が言っていたことかな?』って思って、それでたとえばジャンプの仕方を変えてみたりとかもして」

「それを先生に言うと、『だから言っていただろう』って。『痛みは自分でとるしかないんや。俺は手助けだ』という意味が分かりました。2005年に初めて行って、理解するのに3年から4年かかった。やっぱどうしようもなく追い込まれんと、(一般的な医学界の理論以外は)受け入れられんように固まっていた。頭がね」

「18歳までは誰の言うことも聞かずに、適当にサッカーやってきて、18から色んなね、コンディションのこととか、体のケアのこととか叩き込まれて。自分の体が楽とか、スーって気持ちよくなるとかっていう感覚を無視して、やっていたんですよね。言われるがままに。それが注射で楽になったりとか、薬で楽になる方を自分なんかも選ぶようになって。癖を直すことをしてこなかった」

(こちらのコラムは書籍「足指をまげるだけで腰痛は治る!」から抜粋しております)

書籍紹介

■内容紹介
再起不能のトップアスリートを復活させた、奇跡の腰痛改善方法!

腰痛に苦しむ人は日本全国で約2800万人、つまり日本人の4人に一人は腰痛に苦しんでいると云われています。特に40代から60代の働く世代の女性が6割という調査結果も。病院で治療を受けても、多くの人々が鎮痛剤と湿布を渡されて終わってしまい、病院ジプシーとなって様々な病院を渡り歩くことになるのも、腰痛に悩む人々の特徴といえます。

そんな人々に向けた、「医者に行かず」「特別な道具も必要とせず」「自宅や仕事中にちょっと意識するだけ」で腰痛を直す方法を伝授します。基本は足指を動かすだけ。これを行うことで、足先から腰の仙骨まで骨が正しい位置にもどり、腰痛が改善するのです。

監修は、プロ選手がお忍びで治療に来る御殿場のスポーツクラブクリニックの夏嶋隆先生。久保竜彦さんなど数々の一流スポーツ選手を手術無しに治療し、フィールドにカムバックさせた夏島先生が痛みを取るために患者に伝えることはただ一つ、「足の指を動かしなさい」のひと言です。足指を動かすだけで腰痛が治る、その理由を詳しく図版などで紹介するのはもちろん、自宅や職場などで簡単に腰痛改善できる方法も詳しく紹介。腰痛に悩む人の決定版となる治療本です!

■内容(「BOOK」データベースより)
腰痛を改善するカギは「足指」にあった!一度痛くなると、なかなか抜け出せない腰痛。足指をまげて骨の「ズレ」を正せば、腰痛のもとをバッサリ断つことができます。痛みを改善する12のメソッドを大公開!

■コンテンツ
「腰痛」も「膝の痛み」も12通りの簡単な方法で改善!
第1章 腰痛を治すための「足指トレーニング」
 ●足指歩行
 ●足指をグーパーする
 ●足指でペットボトルを持ち上げる
 ●足でゴルフボールを転がす・つかむ
 ●障害物の上に立つ
 ●座っている時に足指を立てる
 ●足指で立つ
 ●足指ストレッチ
 ●ふくらはぎストレッチ
 ●かかとマッサージ
 ●足首テーピング
 ●足の親指テーピング

第2章 腰痛の原因は日常生活に潜んでいる
 1.痛みの原因を正しく把握しよう
 2.よくある腰痛の症例
 3.こんな人は腰痛赤信号!
 4.内旋の兆候をチェック!

第3章 足指を動かすと腰痛は治る
 1.足指を動かして腰痛を治す
 2.体に負担がかからない寝方も大切
 3.手と肩の関係も、足と腰の関係と同じ
 4.ぎっくり腰にならないために

第4章 再起不能のアスリートが立ち上がるまで
 ●サッカー選手・久保竜彦インタビュー

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