ヘンク戦でフリーキックからゴールを決めた伊藤涼太郎 [写真]=STVV
シント・トロイデンに所属しているMF伊藤涼太郎が、28日に行われたジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー1部)第22節ヘンク戦で決めたゴールを振り返った。試合後、クラブが伊藤のインタビュー映像を伝えた。
リンブルフ州に本拠地を構えるチーム同士のダービーマッチは、立ち上がりの2分に動いた。ロングフィードで最終ラインを破られると、FWアリュー・ファデラからの折り返しをMFイラ・ソルにダイレクトで押し込まれ、シント・トロイデンとしては1点を追いかける展開を強いられた。
1点ビハインドの状況は変わらずに時計の針は進んだが、後半アディショナルタイムに入ろうとした90分、伊藤が“違い”を見せつけた。ペナルティエリア外、左寄りの位置でシント・トロイデンがフリーキックを獲得すると、キッカーを務めたのは伊藤。距離的にも角度的にもクロスボールを放り込むかに思えたが、GKがクロスを警戒してニアサイドを空けていたのを見逃さなかった伊藤は、意表を突いてシュートを選択する。右足から放たれた一撃は、割れた壁の間を抜けてゴールに吸い込まれた。
最終的に試合は1-1でタイムアップ。伊藤は自身の6試合ぶり今季3点目でチームを敗北の危機から救ったものの、試合後に「自分のゴールで追い付くことができて良かったですが、結果として勝ち点3は取れなかったので、そこは素直に悔しさを感じています」と語った。
ゴールシーンにを振り返った伊藤は「あのフリーキックに関しては、過去に日本で決めたゴールに似ているというか…」と発言。このゴールとは、2023シーズンの明治安田生命J1リーグ第8節アビスパ福岡戦で決めたゴールのことだろう。当時、伊藤は前所属先のアルビレックス新潟でプレーしていた。2点ビハインドで迎えた47分、今回のゴールよりもやや高めの位置でフリーキックを獲得。GKがクロスボールを警戒する中、同じく相手の意表を突く形でニアサイドを撃ち抜いた。同試合は伊藤が後半アディショナルタイムに2ゴールを挙げ、ハットトリックの大活躍。新潟を3-2の逆転勝利へ導いていた。
福岡戦と似たような形で決めた今回のフリーキックについて、伊藤は「僕がボールをセットした時に、最初はクロスを上げようと思っていたのですが、GKがすごく前に出ていて、僕のクロスボールをダイレクトでキャッチしに行くかのような姿勢が見えたので、ニアに打つことを決めました」と振り返る。「助走に入った瞬間にゴールを確信しました」と力強く語った。
この試合、3試合連続でベンチスタートとなっていた伊藤は、63分にMF藤田譲瑠チマとの交代でピッチへ送り出された。交代で出場する前、チームを率いるトルステン・フィンク監督から伝えられたことを「ボールをどんどん触って流れを変えること、チャンスを作ること」と明かしたが、「それは今日の試合に限らず、普段から常に言われていることでもあります」とも話す。流れの中での得点こそ生み出せなかったが、自身の武器の1つでもあるセットプレーでチームを救うゴールを決めて見せた。
今季3点目を挙げたものの、伊藤は「まだまだ数字のところでは足りないですし、もっともっとゴールを取らなければならないです」とさらなる向上を誓う。今後に向けて「残り(試合数が)少なくなってきましたが、チャンスはあるので、もっともっとたくさんのゴールやアシストが取れるように頑張っていきたいと思います」と意気込んだ。
By サッカーキング編集部
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