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【コラム】元ミラン名誉会長と副会長がカルチョの世界に復帰…目指すは2年後のダービー実現

ミランに数々のタイトルをもたらしたベルルスコーニ氏がカルチョの世界に復帰する [写真]=Corbis via Getty Images

 カルチョの世界にシルヴィオ・ベルルスコーニが帰ってきた。ミランの元名誉会長として31年に渡りクラブのトップに君臨した大御所だ。ミラン時代にベルルスコーニの腹心として仕えたアドリアーノ・ガッリアーニが、9月28日に会見に臨み、ベルルスコーニ・ファミリーの所有する企業、フィニンヴェスト社がセリエC(3部リーグに相当)のモンツァを買収したことを正式発表。当初は、95パーセントの株式の買収と報じられていたが、最終的に100パーセントの全株を購入することで決着している。

 ミランの副会長を退任後、政治家に転身し、今年3月にベルルスコーニが党首を務めるフォルツァ・イタリアの党員として上院議員に当選しているガッリアーニは、モンツァの出身だ。そのモンツァでは、ベルルスコーニによってミランに引き抜かれる前、クラブのスポーツディレクターと副会長を務めた経験がある。

「ミランへの裏切りではない。私は31年間、モンツァの人間であり、ミランには貸し出されていた身だ。ベルルスコーニ・オーナーには感謝しなければならない。モンツァは1979年から私の心の中にある。本当に興奮している。ほかのクラブやヨーロッパのビッグクラブにも興味はない」と会見では終始にこやかに、そして饒舌に語った。

 ガッリアーニはモンツァの代表取締役に就任し、これまでオーナーだったニコーラ・コロンボはオーナーを退くものの、会長職に留まることとなる。不動産業を営むこのコロンボの父、フェリーチェは1980年までの3年間、ミランのオーナーを務めた人物でもあることから、コロンボとベルルスコーニの両家は昵懇の間柄だということが窺い知れる。2人の元ミラン・オーナーとの関係、そして、モンツァとのパイプがあるガッリアーニの存在があったことで、今回の取引が始まり、買収が実現することとなった。

ガッリアーニ

会見に出席したガッリアーニ氏(左)とコロンボ氏(右) [写真]=Getty Images

 カルチョの世界に再び足を踏み入れたベルルスコーニ。ミラノ大学で法律を学び、イタリアのメディア王として名を馳せた。1986年にはミランを買収し、クラブを所有した31年の間に、セリエA優勝を8回、チャンピオンズリーグ制覇5回など、29個ものタイトルを獲得している。イタリアの首相に相当する閣僚評議会議長を4度務めたが、脱税、不正会計、未成年少女の買春、マフィアとの癒着など数々の疑惑にまみれた政治家でもある。17年4月にミランを中国企業に売却した後も、愛するクラブを手放したことに未練を漏らしていた。やはり、カルチョの世界への復帰を画策していたようだ。買収が発表された翌日の29日に82歳の誕生日を迎えたのの、まだまだ野心は一向に衰えていない。

 ロンバルディーア州のモンツァは、ミラノ中心街から直線距離で北北東に約15キロ、ミラノ中央駅から急行なら約10分で到着できるほど近い。毎年F1レースが開催されるモンツァ・サーキットは、カーレースファンの誰もが知っているところだ。そして、ベルルスコーニの大豪邸があるアルコレからも目と鼻の先だ。1912年に誕生したクラブだが、セリエA在籍の経験はない。セリエBには38シーズン参戦し、1955-56シーズンの3位が最高位。最後に所属したシーズンは、2000-01シーズンで、2004年と2015年には破産の憂き目にあっている。そして2015年にクラブ再建に名乗りでたのが、ニコーラ・コロンボ会長だった。会見に同席したコロンボ会長は今回のクラブ譲渡について「モンツァのサポーターの一人として残念な思いも少しあるが、より財力のある人たちにクラブを手渡すことにした。適任者であり、情熱がある人たちだ」と語っている。

 赤と白をシンボルカラーとするモンツァは現在、リーグ3連勝中。4得点無失点でグループBの首位に立つ。ガッリアーニ新代表取締役は「モンツァとミランのロンバルディーア・ダービーを2年後に夢見ている。理論的には、2020年7月にはセリエAに昇格することが可能だ」と鼻息は荒い。チームが好調なことから、現在指揮を執るマルコ・ザッファローニ監督は続投するが、報道ではすでに次期監督候補の名も浮上している。2016年にミランの監督を務めたクリスティアン・ブロッキだ。また、モンツァでプロ生活をスタートした元ミランの守護神、クリスティアン・アッビアーティの入閣の可能性もあるという。さらには、昨年12月に現役を引退した元ブラジル代表のカカがモンツァで現役復帰するとの噂までもが報じられている。噂される計画は、補強や人事面だけではない。ベルルスコーニの真の狙いは、モンツァの本拠地、ブリアンテオ・スタジアムも買収し、複合施設として改築することのようだ。ミラン時代には、何度もスタジアム建築計画が浮上したが、全て頓挫してきた。ようやく実現するのか、否か。

カカ

かつてミランで活躍したカカが現役復帰するという噂も [写真]=LightRocket via Getty Images

 10月5日には、ベルルスコーニ自らの会見が行われる予定だ。この場でモンツァのプロジェクトが明らかになるだろう。ミラン時代のように、ベルルスコーニとガッリアーニの周囲が再び賑やかになりそうだ。

文=佐藤徳和/Norikazu Sato

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