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再開セリエAは最後まで目が離せない! 不調ユヴェントス、逆転制覇へラツィオ カップ王者ナポリが台風の目に

優勝の行方は… [写真]=Getty Images

『Finalmente』

 イタリア語で「ついに」を意味する言葉がメディアを踊った。6月12日、新型コロナウイルスの影響により、中断を余儀なくされていたカルチョが、95日ぶりに帰ってきたからだ。コッパ・イタリア準決勝セカンドレグのユヴェントスとミランの一戦が開催された。本来であればすでに国内リーグはとうに優勝の行方が決まっており、この日は、ローマのスタディオ・オリンピコで、ユーロ2020のオープニングゲーム、イタリアvsトルコが行われるはずだった。

 ユヴェントスはミランFWアンテ・レビッチの一発退場により、75分も一人多い数的優位の状況で試合を進めるが、ゴールをこじ開けることはできず。“奇策”とも言える最前線の中央で起用されたクリスティアーノ・ロナウドも開始15分のPKを外すなど決定力を見せることができなかった。さらに、中断前から不調のミラレム・ピアニッチはこの試合も精彩を欠き、62分にサミ・ケディラとの交代を強いられていた。移籍問題が後をたたず、心ここに有らずといった印象だ。ユヴェントスは結局、枠外に12本、枠内に7本のシュートを放ったが、ゴールを奪うことはできず。2戦合計1-1となったが、アウェーゴール方式により、かろうじて決勝に進んでいた。

 相対するのは翌日にインテルを退けたナポリとなった。準決勝セカンドレグではGKダビド・オスピナが躍動。開始2分にCKから直接ゴールを割らせてしまうという痛恨のミスを犯してしまうものの、その後は素晴らしい反応で決定的なゴールを2本阻止。さらに40分には、ロレンツォ・インシーニェへの絶妙なキックパスで、カウンターからのドリース・メルテンスの同点弾をお膳立てした。メルテンスは7シーズン在籍してクラブ通算122得点目となり、マレク・ハムシク(12シーズン在籍)を追い抜き、クラブ通算最多得点者となった。この得点がトータルスコアでの決勝点となり、ファイナルへと駒を進めることに。さらに、メルテンスは決勝戦直前、一時交渉決裂ともささやかれた契約を2022年6月30日まで延長している。

 対照的な状態で迎えることとなった17日の決勝。会場はユーロ開幕戦の場所のはずだったローマのスタディオ・オリンピコだった。

無観客のスタディオ・オリンピコで行われた決勝 [写真]=Getty Images

 開始5分、定位置の左サイドに戻ったC・ロナウドがシュートを放ち、ナポリゴールに迫ったが、GKアレックス・メレトのファインセーブに阻まれる。出場停止のオスピナに代わって先発したメレトは、その後も安定した働きぶりをみせ、定位置奪還に向けて、ジェンナーロ・ガットゥーゾ監督に大きくアピールする形となった。ナポリの守護神争いは終盤戦の見どころの一つにもなる。ガットゥーゾが監督に就任してからメレトはレギュラーの座を奪われた。オスピナが足元の技術で優れていることから重宝されているが、今後もハイレベルのポジションが繰り広げられ、第2GKに甘んじる者は、今夏の移籍が濃厚と予想されている。

 一方、ユヴェントスの守護神も負けてはいない。ミラン戦に続き先発した42歳の“鉄人”ジャンルイジ・ブッフォンは、再三に渡りビッグセーブを連発。自粛期間中もトレーニングを怠らなかった証拠だろう。しっかりと再開に備えて準備していたことがうかがえるパフォーマンスだった。両チームの拙攻というより、互いのGKの奮闘が目立つ形で90分をスコアレスで終えると、今大会に限ったルールで、そのままPK戦に突入。ユヴェントスは1人目のパウロ・ディバラがメレトにシュートをブロックされると、ダニーロは枠を捉えることができず。ナポリは4人全員がノーミスで終え、大会を制した。

 ナポリは2013-14シーズン以来となる6度目の戴冠。ユヴェントスはラツィオに敗れたスーペル・コッパに続き、またしても今シーズンのタイトルを逃した。

ジェンナーロ・ガットゥーゾ

選手を鼓舞するガットゥーゾ [写真]=Getty Images

 ナポリの歓喜の輪の中心にいたのは“鬼軍曹”ガットウーゾだ。恩師であるカルロ・アンチェロッティ前監督の後任に選ばれた際は、懐疑的な声が多かったが、インテル、ラツィオ、フィオレンティーナに3連敗後のセリエA第21節でユヴェントスを撃破。そこから6試合で5勝1敗と完全にチームを立て直した。6月2日に最愛の妹、フランチェスカさんを急性糖尿病で亡くしていたガットゥーゾ監督は、「人生が何かを奪うことがあるが、サッカーは私に多くのことを与えてくれた。もしかすると、私がサッカーのためにやってきたこと以上のことを与えてくれているかもしれない。私は、サッカーの神がいると信じている。ハードワークすれば、それが実り自分に返ってくるものだ。私は選手にメンバーの一員であることを説いた。なぜなら、この仕事をする人間は、敬意を持ってやらなければいけない。私が何年もやってきたように、情熱を心に抱く人間であってほしい」と、感慨深げに試合後のインタビューに答えている。これが、ガットゥーゾ監督にとっての初のタイトルとなった。

 ナポリは、レジェンドのディエゴ・マラドーナが優勝を祝福。ナポリのユニフォームを身にまとった写真をインスタグラムに投稿し「君たちを誇りに思う」とメッセージを綴った。そして、ナポリでは、試合終了後の深夜0時にも関わらず、人々が街に繰り出し、街の至るところで勝利を祝う凱歌が上がっていた。かつて、マラドーナがいた頃の景色のようだった。しかし、ナポリ中央駅だけで数千人が集まったと報じられており、濃厚接触な上にマスクを着用している人もほとんどいないことから、非難が浴びせられている。コロナ禍のピーク時には「卒業パーティーをしていたら、バズーカをぶっ放す」の発言で日本のメディアでも話題となったカンパーニャ州知事、ヴィンチェンツォ・デ・ルーカ氏もこの日はなぜかお咎めなし。「州にとっての大勝利。ガットゥーゾに抱擁を」と祝福メッセージを送るだけだった。

ナポリ市内は大騒ぎに [写真]=Getty Images

 そして、セリエAが再開を迎える。

 まずは、未消化となっていた第25節分4試合、ヴェローナvsカリアリ、トリノvsパルマが20日、インテルvsサンプドリア、アタランタvsサッスオーロが21日に開催される。さらに翌22日からは第27節の3試合、フィオレンティーナvsブレシア 、レッチェvsミラン、ボローニャvsユヴェントスが行われ、以降は各チーム週2試合のペースで、金曜日を除き、連日のようにスクランブル開催される。この超過密日程と、これからの暑さ対策として、試合中は5人の選手交代が特例措置として認められ、試合の多くは現地時間21時45分のキックオフとなる。となると、選手層の厚さが8月まで続く連戦を乗り切る上の鍵となってくるだろう。コッパ・イタリアの3試合ではナポリは2試合とも、敗退したミランとインテルも5人の交代枠を使い切った。ユヴェントスはミラン戦で4人、ナポリ戦では3人のカードしか切らなかった。コンディション不良のゴンサロ・イグアインがベンチ入りしていなかったことなども理由にあるだろうが、“厚み”が懸念される状況となっている。

 もはやリーグ優勝も逃してしまったような錯覚を覚えるほど、ユヴェントスのマウリツィオ・サッリ監督への非難は高まる一方だ。

 2位ラツィオとは勝ち点差が1しか開いていないが、首位に立つチームであるが、再開後の2試合は無得点で、内容も良いとは言えず、これが絶対王者を率いるプレッシャーなのだろう。残された対戦カードを見ると、7月7日のミラン戦(アウェー)、11日のアタランタ戦(ホーム)、20日のラツィオ戦(ホーム)、最終節のローマ戦(ホーム)が上位陣との対戦で、難しいスケジュールとまでは言えない。

ユヴェントスは逃げ切れるか [写真]=Getty Images

 20年ぶりのスクデットを狙うラツィオは、6月24日にいきなり敵地で難敵アタランタと戦う。敗れるようなことがあれば、これまでの勢いが失速してしまう可能性がある。チームの得点源、チーロ・インモービレにはイングランドからメガオファーが用意されているとの情報も報じられた。5年総額税抜の報酬4000万ユーロが、ニューカッスルから提示されるという。これだけの数字であれば、インモービレの心理に影響を及ぼすことも十分にありえるだろう。

 そして3位のインテル。ここまでがスクデットを争うチームになる。首位とは勝ち点が9差と離れているが、1試合消化が少ない。21日のサンプドリア戦に勝利を収めることができれば、十分に巻き返しを狙える。そして、この優勝争いの行方を左右するのがカップ戦王者となったナポリだ。リーグでのユヴェントス戦はすでに終えているが、ラスト2試合をインテル、ラツィオと戦う。優勝争いからは脱落しているものの、チームの士気は上がっており、再スタートダッシュを切れれば、終盤戦の台風の目となり得る存在だ。

 セリエAは1998-99シーズンからの4年間、1位と2位が最終節を終えて勝ち点差1という大混戦だった。1999-2000シーズン、ユヴェントスは第21節から第33節まで首位を走ったが、最終節でラツィオが差し切り、逆転優勝を掻っさらっている。今シーズンの最終節はユヴェントスがラツィオの最大のライバルであるローマと戦うというのも興味深いシナリオ。最終節までもつれ込めば、ヒートアップは間違いない。ただ、暑さに加えて前例のない過密日程と、予測不能の残りシーズン。兎にも角にも、最後の最後まで目が離せない展開が繰り広げられることとなりそうだ。

文=佐藤徳和

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