香川登場のサプライズ。最初は緊張していた選手たちにも笑顔があふれる [写真]=千葉格
ドイツでの最大のサプライズに、選手たちは唖然とするしかなかった。小学4年生から6年生を対象にしたフットサル大会「EXILE CUP 2017」を制覇した大阪セントラルFCは、EXILE賞の「ヨーロッパサッカー夢者修行」でドルトムント遠征を実施。3日目の2月11日は、ドルトムントで活躍する日本代表MF香川真司と初対面を果たした。
ドイツで最後の夜、選手たちは和気あいあいと夕食をとっていたが、直後のサプライズで雰囲気が一転する。憧れの香川が突然、目の前に登場。事前に知らされていなかった選手たちは驚きの表情で凍りつくしかなかった。香川から「試合どうだった? 大阪からですか? 明日はスタジアムツアー?」との問いかけにも黙り込んでしまい、コーチも思わず「さっきまでのうるささはどこにいった?」とツッコんでしまうほど、緊張した様子だった。
「最初は緊張した」という清水琉日くんは「質問しといた方が絶対得!」との思いで、急きょ始まった質問会で真っ先に手を上げた。「日本のサッカーとドイツのサッカーの違いはなんですか?」との質問に、香川はドイツの“文化の違い”を挙げつつ、選手たちにエールを送る。
「こっちはサッカーの文化が成り立っていて、小さい子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで、どの年代のお客さんもスタジアムに来てドルトムントの試合を見るのが、週末の1つのイベントとして成り立っている。そういうところはサッカー選手としてやりがいを感じますし、ヨーロッパは最高峰なので、そこで戦えるのは選手として一番幸せな環境だと思います。みなさんも世界で活躍できる選手になってほしいなと思います」
続いて、楢本善次郎くんが「ドルトムントを選んだ理由」を聞くと、香川は「僕がセレッソ大阪にいるときに初めて声をかけてくれたチーム」と丁寧に説明。「他に2、3チームあったけど、実際にこっちのスタジアムを見に来てこの雰囲気を味わい、当時のユルゲン・クロップ監督(現リヴァプール指揮官)と話をして、良い監督だなと感じたので決めました。日本はまだサッカー先進国ではないから、ヨーロッパに出ることはそう簡単に叶うものではないので、そういうオファーがあったら僕は積極的にトライしたかった。すごくタイミングが良く、運命を感じるので、ドルトムントに来て本当に良かったと感じました」。
当初はこれで終了の予定だったが、香川本人から「まだいいですよ」と言われると、最後にキャプテンの鴨川光輝くんが「(ピエール・エメリク)オーバメヤンと(ミシー・)バチュアイ選手はどちらがすごいですか?」と記者のようなタイムリーな質問をぶつけた。
香川はアーセナルに移籍したオーバメヤンとドルトムント新加入のバチュアイについて「タイプが全然違う」と前置きし、その違いを解説した。「オバ(オーバメヤン)はとても速いけど、バチュアイは体が強いからポストプレーとかで、オバよりコンビネーションが出てくるかなと思います。今までオーバメヤンのスピードを活かすのがドルトムントのサッカーになりつつあったけど、真逆の選手が来たから、これからまた違うサッカーになると思う。これからに期待しておいてください」。
ここで香川とはお別れとなったが、選手たちは「すごいオーラがあった!」「もうやばかった!」「緊張したけど優しかった」「世界の人って感じがした」と興奮が収まらない様子。衣川誠駕くんは香川からエールを受けて、「頑張って努力して、世界で活躍できる選手になりたいと思います。香川選手みたいに誰にでも挨拶をして優しい選手になりたいし、海外の方がレベルが高いから挑戦してみたい」と話し、下舘拓海くんも「期待を裏切らないように、ちゃんと練習して、ドイツで活躍して香川選手に追い付きたい」と目を輝かせた。日本のトップを走る選手から大いに刺激を受け、充実した時間となったようだ。
【EXILE CUPヨーロッパサッカー夢者修行/現地レポート全5話】
第5話「サッカーと向き合い、楽しんだドイツ遠征」に続く。
【現地レポート第1話】「夢を追うドイツ遠征がスタート!」
【現地レポート第2話】「8万人超えのスタジアムで興奮のブンデスリーガ観戦」
【現地レポート第3話】「ドイツ強豪チームと“世界を知る”戦い」
【現地レポート第5話】「サッカーと向き合い、楽しんだドイツ遠征」
By 湊昂大