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【インタビュー】「毎日苦しいことばかり。でも楽しめている」 初の海外移籍、ル・アーヴルで中村草太が今思うこと

2026.10.30
中村草太

今シーズンからル・アーヴルでプレーする中村草太 [写真]=Getty Images

 サンフレッチェ広島からフランスのリーグ・アンに在籍するル・アーヴルへ期限付き移籍で加入した中村草太に、ここまでの自身のプレーや初の海外での生活、ここからの目標などを聞いた。

インタビュー=小松春生
取材協力=リーグ・アン

「長いですね」

 初の海外挑戦となるフランスでの新生活の2カ月をそう振り返った中村。生活自体は「まだ許容範囲ですかね」と笑いながら、「静かで過ごしやすい」という港町ル・アーヴルという環境でサッカーに集中できているようだ。

 ル・アーヴルはここまでリーグ戦8試合を終えて、2分6敗の勝ち点2で最下位と苦しいスタートとなっている。リーグの印象については、「抽象的になっちゃうんですけど。フランスリーグはアフリカ系の選手が多く、身体能力が高いのは前々から聞いていた話でもあるので、ある程度は想像はしていたんですけど、『やっぱりそうか』みたいな感じで。自分は背も小さいですし、フィジカルがあるわけでもないので、スピードが売りというか、そこで勝負をしてきたつもりなんですけど、『あれ、じゃあ自分ってどこで勝負しているんだっけ?』みたいに感じています。みんな速いし、強いし、大きい。じゃあ自分はどこで勝負できるんだろうということは、毎日、失敗というか壁というか、苦しいことばかりですけど考えながら、そういった部分も楽しめている自分もいるとは思っています」と、模索の日々を過ごしている分、2カ月を長く感じているのかもしれない。

中村草太

[写真]=Getty Images

 チームは開幕から3バックを採用。結果が出ない中で4バックを試すなどしているが、中村は先発でも途中出場でも右のシャドーや右サイドハーフでの起用が中心だ。開幕直後などは新加入選手ということもあって、なかなか中村がボールを要求する場面でパスが出てこないこともあったが、徐々に解消しつつあるようにも見える。本人も「最初は信頼なのかはわからないですけど、ボールが出てこないことが多かった」と振り返り、「じゃあ自分で行くより、誰かを立てて返してもらう」プレーを選択して、周囲に“与える”ところから始めることも考えたようだが、「でも、やっぱり返ってこないんです。それが海外だなというか。みんな自分の人生が懸かっていて、だからつかみ取らないといけないというプレーがあるのかなと。どうそれに適応していくかが今考えている部分でもありますけど、やっぱりチームのやるべきことと自分にしかできないことがあるので、そこは忘れずにやっているつもりではあります」と、個人としてのエゴとフォアザチームのバランスをどう見つけていくかに腐心している。

 ル・アーヴルには海外での生活が5年目を迎え、在籍も2シーズン目を過ごす瀬古歩夢と、中村同様に新加入ではあるものの、海外生活はすでに7年が経過している水多海斗という“先輩”がいる。水多は前橋育英高校での先輩にもあたる。「いろいろな面で助けてもらっていますし、ストレスを抱えて生活することがないので、本当に感謝しかない」という中村。英語の勉強も重ねているようだが、「話しているニュアンスくらいであればわかりますが、いざ自分の意見を伝えるとなるとまだできない部分もあるので、2人に入ってもらうことがありますし、スタッフも自分に伝えるときに2人を介して伝えることもあるので、手間を取らせてしまっています。言葉以外にもピッチ内外で思っている以上に助けてもらっていますね」と初の海外生活の中で、同じ日本人の存在は心強いものになっている。

瀬古(左)、水多(右)の存在は中村(中央)にとって大きいものに [写真]=Getty Images

 ちなみに、古巣の広島の試合はやはり気になるのかを尋ねてみると、「毎試合、見られる時は見ています。ものすごく(内容や結果が)いいですよね」とのことで、「なんか自分がいないから良いみたいな感じで、ちょっと悲しいです(笑)」と冗談を交えながら躍動に目を細める。

 中村はリーグ戦で先発出場が3、途中出場が5と全試合に出場できているが、数字としては1アシスト。得点につながるプレーや自身が得点に近づくシーンもあったが、まだ数字はついてきていない。チームとしてはまずはクロスを上げる部分を求められているとのことだが、「攻撃の選手として数字、結果は求められていますし、まだゴールもない。もっともっと伸ばさなければいけないと思っています。やっぱり数字で評価されている世界だと思うので」と数字には強い意識を持つ。

 右シャドーからオープンなスペースに飛び出したり、ポケットへの侵入からクロス、スルーパスをうながすような動き出しを見せることが多いが、自身としては左サイドでのプレーを望んでいる。実際に第8節のマルセイユ戦で途中出場から左シャドーに入った。中村は「何回かコーチングスタッフに言いに行ったりもした」と希望を伝えたとのことで、「今後少しずつ、左でプレーする機会も増えると思うので、左でできているうちに結果を残して自分のポジションを確立できたら」と活躍を誓う。

中村草太

[写真]=Getty Images

 ル・アーヴルは30日の第9節で王者パリ・サンジェルマンとの対戦を迎える。「そのためにフランスに来たと言っても過言ではない相手」と燃える中村は、「自分がどれだけビッグクラブ相手に通用するのか、どういったプレーがやれるか、ものすごくワクワクしている」と目を輝かせる。一方で、「正直、自分の中ではPSGやマルセイユ、リールのようなヨーロッパの大会に出ているクラブでも、順位が下位の相手とやることも変わらないんです。もちろんビッグクラブ相手に良いパフォーマンスができれば自信になりますけど、どの試合でも自分の通用すること、できることの発見があるので。毎試合毎試合が本当に楽しいというか新たな発見もありますし、ここがダメだったといったことも日本にいたとき以上に思うことが増えたので。もちろんうまくいかないことの方が多いので苦しいですけど、それでもそういった状況が今、ものすごく楽しいです」と充実の日々を過ごせていることを強調してくれている。

 まずは苦しいチームの状況を打破することが大切になる。中村は「チームとしても、個人としても一つの勝利、一つの得点がつけば自信がついてパフォーマンスも上がり、チーム全体ももっと良くなり、自分も良くなるイメージがあります。2ポイントしか取れていない中、メンタルから来る部分もあるとは思います。まずはチームとして一勝することが最優先、大事だと思います」と話す。そこから先に「まずはチームの残留、勝利です。そして自分のポジションを確立する、試合に出続けること。その中で数字がついていかなければいけないので、その2つが大きな目標」がある。

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By 小松春生

Web『サッカーキング』編集長

1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。イギリスと⚽️サッカーと🎤音楽と🤼‍♂️プロレスが好き

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