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宇野禅斗が追い求める飽くなき成長…“最適地”の清水エスパルスを経由し、日本代表へ

2025.07.06

宇野禅斗は清水エスパルスで成長を続け、日本代表に辿り着いた [写真]=J.LEAGUE via Getty Images

 宇野禅斗という選手は、自分を客観視して、その時々の自分に何が必要なのかを常に考えている。だからこそ、清水エスパルスとの出会いは、ある意味で必然だったのかもしれない。凄まじい成長曲線を描きながら、東アジアE-1サッカー選手権2025に臨む日本代表にまで辿り着いた彼を見ていると、そんなドラマチックな表現を用いたくなる。

「自分は昨シーズンの夏に清水エスパルスに移籍してきて、再び試合に出られるようになってから、本当にすべてが変わりました。守備面も、攻撃面も、メンタル面も含めて、選手として前に進めている。一段、二段と階段を上れている感覚です」

 日本代表選出が決まった後、宇野はこのような言葉を口にしたが、その背景には、自らのキャリアにおける初の移籍、清水での出会いを経て掴んだ手応え、そして彼を表すキーワードとも呼べる“成長意欲”がある。

■手にしたのは出場機会と前への意識

 振り返ると、彼が清水の一員となったのは昨年7月のこと。宇野の最もわかりやすい特長は“ボールハンター”と称されるような守備面にある。青森山田高校の主力として高校3冠を達成した時も、FC町田ゼルビアの中盤として史上初のJ1昇格に貢献した時も、まずは自分の強みを全面に押し出してプレーをしてきた。だが、昨季のJ1で旋風を巻き起こした町田では、コンスタントに出番を得られない日々が続く。宇野自身は出場機会を求め、そして清水からは守備面の持ち味を買われ、新天地に辿り着いた。

「自分は守備の特長を、毎試合コンスタントに出さなければならない。高い活動量でボール奪取の回数を増やすこと、相手の攻撃の芽を摘むところが自分の存在証明だと思ってサッカーをしている」と語るとおり、まずは守備に重点を置くことで、昨季後半戦は安定したプレータイムを確保した。同時に、清水のチームカラーに合わせて意識の変化が生まれる。植え付けられたのは、前への意識だ。

 秋葉忠宏監督が率いるチームは、“超攻撃的・超アグレッシブ”を掲げて、前方向でのプレー、個々人が敵陣でアクションを起こすことを重視している。そんなチームのカラーに呼応して、宇野はチームが敵陣で過ごすために必要なプレーに磨きをかけてきた。

 ポジショニングに気を配りながら、時にはダイレクトプレーも用いて味方とリンクし、状況に応じてシンプルなターンで前を向く。このようなプレーの数々で、2列目の選手たちや、最前線に入る北川航也までボールを届ける中継役として、ブラッシュアップを続けてきた。作りの局面における貢献度の高さは、シーズン開幕前の鹿児島キャンプでも顕著だったが、その成果が公式戦の舞台でお披露目されたのは、2025明治安田J1リーグ第1節の東京ヴェルディ戦(○1-0)。『国立競技場』で見せた宇野のパフォーマンスは、昨季からの成長を大きく感じさせるものだった。

 以降もボランチとして傑出したパフォーマンスを続け、チーム状況によってサイドバックやセンターバックを務めることもあったが、前方向への意識を損ねたことはない。「チームが前方でプレーするための方法はいくらでもある」という自らの考えの下、進化を続けている。

■成長を語る上で欠かせない2人のチームメイト

乾貴士、マテウス・ブエノ

乾貴士(左)とマテウス・ブエノ(右) [写真]=小林渓太、兼子愼一郎

 元来の守備強度に、幼少期までは得意としていた攻撃面でのポテンシャルをも開花させていく過程において、触れておきたい2人のチームメイトがいる。1人目は、海外クラブや日本代表での経験も豊富な乾貴士。もはや説明不要のスーパースターだ。「貴士くんの存在が今の自分のパフォーマンスにつながっている部分は多くある」と語る宇野は、トップ下に入る乾から受ける影響を、次のような言葉で説明する。

「いろんな意味で、僕の中で貴士くんはすごく影響力のある選手。彼のパフォーマンスを見て、彼のクラブハウスでの生活を見て、学ぶ部分が多くあると感じています。彼の要求に応えていくことで、自分のパフォーマンスが上がってきた実感はあります」

 もう1人は、今季からボランチでコンビを組むマテウス・ブエノ。賢さと力強さを兼ね備え、プレー選択を間違えることが極端に少ない選手だ。宇野はブエノについて、「お互いに高めあう意識を持ってプレーしているわけではない」と前置きしつつも、「自然とそんな関係性になっている」と主張。「彼を間近で見ることで、共にプレーすることで、自分に変化が加えられる感覚はありますね」と話す。

 スペシャルな2人からピッチ内外で学ぶ姿勢を絶やさず、本来の良さを見失うこともない。秋葉監督は「禅斗は野心が良いですよね」と口にしたことがあるが、その言葉が本当に似合うほどにひたむきな姿勢で自らを改良し続けた結果、国内組が中心とはいえ、日本代表の舞台に辿り着くまでの選手になった。

宇野禅斗の視線の先にあるものは…

宇野禅斗

代表メンバー発表後、クラブハウスで取材に応じた宇野 [写真]=榊原拓海

 メンバー発表からおよそ1カ月前の6月、日本代表についてどう思っているのか、宇野に尋ねたことがある。今季、彼が見せているパフォーマンスならば、今回の日本代表に入れる可能性も低くはないと感じていたからだ。

 宇野は包み隠すことなく、率直な思いを口にしてくれた。小さい頃からの夢として、日本代表に入る目標は今も変わらずに持っていること。今の日本代表には若い選手が多く、刺激を受けていること。そんな話をした後、彼が口にした自己評価は、良い意味で彼の“らしさ”を感じさせるものだった。

「自分はまだまだ自分に対して物足りなさを持っています。代表という場所に価値を感じているからこそ、今の僕が選ばれるほど甘くないとも思っています。(日本代表に)入りたい願望はありますが、毎試合毎試合、よりブラッシュアップして、清水エスパルスのためにパフォーマンスを出すことが大事。自分が本当の意味で納得できる1シーズンを過ごした先に、代表がある感覚ですかね。そうなれば、代表に選ばれた時も自信を持ってプレーすることができます。なので、まずはそこから、と思っています」

 数秒間の沈黙のあと、次のように言葉を続ける。

「でも、入った人にしかわからないものは絶対にあると思うんですよね。そういったものを経験できるだけでも、すごく価値のある場所が代表です。そこへの野心や熱量は消すことなく、今後もチームのために取り組んでいきます」

 地に足がついている。こんな表現がぴったりなほどに、宇野は冷静に自らを分析している。今回、日本代表に選出された後も、浮かれる様子は微塵もなかったが、彼の視線の先には成長の2文字しかないからなのだろう。

 出場機会を求めて町田から清水に加わったように、清水で自らのプレーの幅を広げたように、宇野にとっては今回の日本代表活動も、自らを高めるための階段にすぎない。舞台が清水から日本代表に変わっても、宇野は宇野らしく、成長を追い求める。 

取材・文=榊原拓海

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