予想先発布陣
AFCアジアカップカタール2023に臨む日本代表の初戦となるベトナム戦が14日に行われる。
日本代表にとっては通算5度目のアジア制覇を目指す大会となり、最後に優勝した2011年大会と同じカタールの地での戦いとなる。2019年の前回大会では決勝でカタールに1-3で敗れて準優勝だったため、そのリベンジを期す大会にもなる。
前回大会はトルクメニスタンとの初戦だったが、実力上位と思われたものの、前半に先制点を許すなど、勝利は収めたが試合展開含めて苦しんだ。初戦の難しさもある中で、今回の初戦の相手であるベトナムに関しても、対日本でいけば前回大会の準々決勝で対戦して、1-0と苦しんだ。近年もFIFAワールドカップカタール2022最終予選で対戦して、ホームで1-1の引き分けに終わるなどしており、直近はアジア勢に5戦4敗と結果が出せていない相手だとしても、油断はできない。
日本代表はドーハに入った5日以降、各選手のコンディショニングを重視してトレーニングを重ねている。大会登録メンバーが26名となったことで、負傷を抱える三笘薫の招集も可能になり、遠藤航や久保建英といったヨーロッパで過密スケジュールをこなす選手たちのコンディションをチームとしてしっかりと見極めてきた。森保監督も9日のヨルダンとの非公開練習試合後、「無理はもちろん、けがの再発やコンディションのさらなる悪化を招いてはいけない。無理をさせてはいないですけど、プレーできる状態、コンディションを上げることも大切なので、そこは見極めて起用しています」と話したように、特にグループステージでは慎重に選手を起用していくだろう。
大切な初戦だがGK鈴木彩艶、4バックは右から菅原由勢、板倉滉、谷口彰悟、町田浩樹、ダブルボランチで守田英正と佐野海舟が並び、2列目は伊東純也、南野拓実、中村敬斗、トップに浅野拓磨が入ると予想した。
GKは鈴木彩艶。A代表キャップは4試合だが、途中出場1試合の前川黛也、出場無しの野澤大志ブランドンの先発起用は考えにくい。
守備陣は冨安健洋が「ふくらはぎというより復帰戦で足首を削られた」影響もあって別メニュー調整が続いており、先々を考えても無理はさせないとみられる。負傷から復帰し、元日のタイ戦後にボルシアMGでの練習試合で約60分プレーしている板倉は9日のヨルダン戦で念入りにウォームアップしていた組に入り、得点者にも名を連ねていた通り、前半プレーようで、実戦は問題ない状態。大事な初戦も先発起用となるだろう。
相棒は最近の代表戦で出場機会を増やしている町田も考えられるが、左SBの中山雄太がドーハ入り後に別メニュー調整を続け、伊藤洋輝もタイ戦前は別メニューで調整をして試合も出場無し。一方の町田は「サイドでやる準備もしている」と話し、名波浩コーチからもSBとしての動きを細かく指示されているとのことで、コンディションも考えて町田を左SB。CBは経験十分で展開力もある谷口の起用とした。右SBは菅原と毎熊晟矢のどちらも出番を得ているが、押し込む展開が多くなる中での相性を考えて菅原と読んだ。
ボランチのセットは守田と佐野と予想。遠藤は9日のヨルダン戦に「出場していない」(森保監督)こともあり、リヴァプールでの過密日程含め、じっくりと調整している。守田と佐野のコンビはそのヨルダン戦で試したとみられ、当人たちもコミュニケーションを高めている。「伸びしろがある。謙虚ですし、楽しく、いい選手」と守田が評する佐野とのコンビネーションを早い段階で高め、決勝トーナメントに備えると考えてもいい。もちろん、初戦の難しさを考慮し、遠藤と守田のコンビで入ることも考えられる。
2列目はリーグアンでプレーする3人が並ぶと予想。左SHは三笘が負傷からの復帰を目指す中、A代表公式戦5戦5発、ヨルダン戦も得点していた中村に期待がかかる。右は「薫とはまた違った良さがある。そういうところを出すのを手伝ってあげられれば」と話すスタッド・ランスの同僚でもある伊東の突破からチャンスを作っていきたい。中央の人選は、遠藤同様に過密日程から合流した久保建英、そして堂安律の選択肢もあるが、ペナルティーエリア深くのポケットをいかに生かすかを繰り返し練習する中、タイ戦でも得点している南野の起用と踏んだ。
ワントップは伊藤同様、タイ戦前を別メニュー&試合欠場し、11日の練習後に「まだ調整する時間もある」を話した上田綺世ではなく、カタールW杯でも得点している浅野と予想。浅野もタイ戦は回避しており、今後の試合を見据えて細谷真大を先発起用する可能性もあるが、初戦であることを考え、経験値のある浅野をまずはピッチに送るのではないだろうか。
ベトナムはフィリップ・トルシエ元日本代表監督が指揮。おなじみの3バックを基本としており、日本戦では5-4ブロックを敷いて、まずは失点しない試合運びをしてくるだろう。「早い時間の先制点が重要」(伊東)となり、そのためにはサイドの揺さぶりや、練習で繰り返し確認しているペナルティーエリア内奥のポケットをどう攻略していくがが大切になってくる。南野と浅野が流れたり、伊東と菅原のコンビで右サイド深くまで侵入する形を作り、中村やボランチが中央に入って決める流れを軸に組み立てたい。
「アジアの中で日本が一番だと示さないといけない。森保さんも『僕たちは優勝しないと評価されない国』と言っている」(冨安)
他国からの評価も含め、日本代表が優勝最右翼と見る向きは多い。現在9連勝中で、内訳も39得点5失点と絶好調で向かえるアジアカップ。一方で苦戦した試合運びが多かった前回大会を忘れてはならない。「いい雰囲気と馴れ合いは紙一重。予期せぬものが起こる可能性がある」と中山が話した通り、選手たちに慢心はない。チーム層も厚く、ポジション争いもし烈だ。正しい競争と積み重ねがあれば、5度目のアジア王者への道は近い。
取材・文=小松春生
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By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長