[写真]=J.LEAGUE
森保ジャパンへ推薦したいタレントは何もJ1だけに留まらない。いるのだ。近年、人材プールとして国内外から耳目を集めるJ2にも。とりわけ、若い世代は宝の山だ。経験値の不足を補って余りあるほどの才能と野心、さらには昇り竜のごとき勢いがある。無論、代表入りのハードルが高いのは百も承知。それでもなお、想像せずにはいられない。彼らが日の丸を背負って戦う姿を。そこで、この項では東京五輪世代、ならびにパリ五輪世代から、”これ”という武器を携えた5人の若者をピックアップ。時期尚早と斬り捨てる前にその顔ぶれをとくとご覧あれ――。
文=北條聡
写真=J.LEAGUE
DF 半田陸
生年月日:2002年1月1日(20歳)
身長・体重:176cm・63kg
出身地:山形県
所属クラブ:モンテディオ山形
次世代型の右サイドバック。堅実な守備はもちろん、攻めに回ると、巧みな位置取りで敵を欺き、内からも外からも守備ブロックの破壊にコミットできる。まさしく現代仕様のサイドバックだ。弱冠20歳にしてパリ五輪世代の中核。攻守問わず、局面を有利に進める術を心得た頭脳派でもある。1対1の攻防は冷静沈着。間合いや駆け引きに優れ、簡単には後手に回らない。確かな戦術眼を持つだけに3バックを試みる際はウイングバックにもアジャスト可能か。総合力の高さを考えても、有力候補の1人に数えていいはずだ。
MF 山本理仁
生年月日:2001年12月12日(20歳)
身長・体重:176cm・65kg
出身地:神奈川県
所属クラブ:東京ヴェルディ
進境著しいパリ五輪世代の注目株。いかにも東京V育ちらしい繊細な技術とパス能力に課題の守備強度が加わり、当世風のピボットへ脱皮しつつある。そこに左利きという付加価値まで備えた希少な人材だ。先のAFC U-23アジアカップではダブル・ピボットの一角を担い、攻守に躍動。球際で激しくファイトし、ボールを刈り取る姿勢は森保一監督好みか。東京Vではシングル・ピボットという難しい役割をこなしつつ、機を見て前線に攻め上がるなど、スケールアップに余念がない。代表戦士に値する向上心と器の持ち主だ。
MF 中島元彦
生年月日:1999年4月18日(23歳)
身長・体重:170cm・66kg
出身地:大阪府
所属クラブ:ベガルタ仙台
今季期限付き移籍で加わった仙台で新境地を開きつつあるセレッソ育ちの好素材。ダブル・ピボットの一角に収まり、チームの心臓となった。攻撃面ではビルドアップから攻め上がっての豪快なフィニッシュ、さらにはプレースキックに至るまで何でもござれ。守りに回れば、素早い切り換えと球際の強さでボールを回収。多機能型のユニバーサルなMFへ仕上がりつつある。中・長距離パスを操るダイナミックな展開力を含め、なかなかお目にかかれぬタイプ。ゆえに興味をそそられる。代表に加わった際の化学反応に。想像以上の果実が待っているかもしれない。
MF 本間至恩
生年月日:2000年8月9日(21歳)
身長・体重:164cm・60kg
出身地:新潟県
所属クラブ:アルビレックス新潟
E-1選手権に挑む日本に“翼”が必要ならば、ぜひこの若者を。独力で鮮やかに局面を打開する左サイドの仕掛人。細かいタッチの連続で守備者を出し抜くドリブルは圧巻だ。しかも、ピッチ上での動きは神出鬼没、縦横無尽。中央の狭い空間に潜り込んでは多彩な攻め手で決定機を量産する。バイタルエリアの攻略に不可欠なライン間の住人でもあるわけだ。そのうえ、得点力まで兼ね備える。まさしく、よろずのことに使いけり――という小さな巨人。東アジアの猛者たちを手玉に取る光景が目に浮かぶ。手元に置けば必ず使い道はあるはずだ。
FW 小川航基
生年月日:1997年8月8日(24歳)
身長・体重:186cm・78kg
出身地:神奈川県
所属クラブ:横浜FC
未完の大器がついに覚醒――。そう信じたくなるようなゴールラッシュを演じている。事実、第24節終了時点で計15ゴールを量産。得点ランクの首位を独走中だ。最大の売り物は即断即決のワンタッチゴール。位置取りの妙と守備者の視野から逃れる良質の動きで、獲物をやすやすと仕留めて見せる。とりわけ味方のクロスを点で合わせる技量は天下一品だ。アシスト環境さえ整えば、面白いように点を取る。敵の防壁を外から切り崩すタイプのチームには打ってつけと言っていい。同じ東京五輪世代の上田綺世とは違った種族のストライカー。鉄は熱いうちに打て、という格言に従うなら、今がその時だ。