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日本代表、いざ東京五輪出陣 初戦前に押さえておきたい大会の「5つのポイント」

2021.07.22

[写真]=Getty Images

 東京オリンピック男子サッカー競技の開幕当日となった。日本は南アフリカとの初戦を迎えるが、地元開催の五輪に向けた準備段階でのチェックポイントを5つに分けてまとめてみた。

(1)欧州組のゲーム体力・ゲーム勘の回復、そしてコンディショニング

ホンジュラス戦の先発。2020-21シーズンを海外で戦ったのは8名だった [写真]=JFA

 いきなり地味な話で恐縮だが、主力の大半が「欧州組」となった現在の日本にとって、要となるのはコンディショニングだった。欧州はいまがちょうどシーズンの切り替わる時期。日本の選手の多くは6月12日に行われたジャマイカ戦のあとにオフ入りし、その後は各自の自主トレなどを経て7月5日に再集合している。このため、肉体的にまず仕上げ直す必要があったのはもちろん、試合の感覚自体を取り戻す必要があった。

 欧州組のゲーム体力、ゲーム勘の回復は直前合宿のテーマの一つであり、短い時間で少々窮屈な3試合(8日の静岡産業大学戦、14日のホンジュラス戦、17日のスペイン戦)を詰め込んだのも、このためだ。ホンジュラス戦で試合から離れていた欧州組の選手たちに長い出場時間を経験させ、3日後のスペイン戦では、初戦まで中4日という期間の短さを考慮し、主力の出場時間は限定して消耗を避けた。

 もう一つ、欧州組は“日本の夏”を離れて久しい選手が多いという不安要素もあり、これに慣れさせるのも合宿の重要な目的だった。こうした暑熱対策に関しては日本のスポーツ界にはかなりのノウハウの蓄積もあり、その力も借りながら必要な体作りを行ってきている。当初はトレーニングでもキツそうな選手がいたのだが、時間をかえてこの点も克服された様子。少なくとも、不安要素ということはない。

(2)急造チームのゲームを通じた擦り合わせ

OAの吉田、酒井、遠藤(左から) [写真]=Getty Images

 五輪の男子サッカー競技は、いろいろな意味で特殊な大会である。その最たる例がオーバーエイジ枠の存在だ。予選では使用を認められていないこの枠が本大会で降って湧く形になっているため、ほとんどの国が“急造チーム”となる。一方で、この枠を活用した国が金メダルを手にしているのは過去の例からも明らかで、いかに素早く彼らをフィットさせるかが一つのポイントだ。

 この点、日本はA代表との兼任監督という利点をフルに活かし、五輪世代の選手を積極的にA代表で起用していたので、「初めまして」の選手が数える程しかいなかったのは一つのメリットだった。また戦術的な部分はもちろん、その他の部分(たとえばウォーミングアップのやり方ひとつを取っても監督が違えば異なってくる)においてもやり方は共有されており、オーバーエイジ選手たちにとっても違和感はなかった。

 とはいえ、合流当初はDF吉田麻也がビルドアップでの微妙なタイミングのすれ違いを指摘したり、あるいはMF田中碧の個性を理解し切れていないようなプレーでの食い違いが出たりもしていたのは確かで、これを合わせていくのはピッチ上での時間を共有する以外になかった。その意味で、2度の長い合宿を通じて親睦を深めつつ、ピッチの上でのすり合わせができたのは大きかった。

(3)過酷な日程だったACL組の状態

ACLに出場していた旗手、三笘、相馬、瀬古(左から) [写真]=Getty Images

 五輪直前のタイミングで集中開催となったAFCチャンピオンズリーグのグループステージが開催され、相馬勇紀、瀬古歩夢、三笘薫、旗手怜央の4選手が招集を受けることとなり、直前合宿に間に合わず。12日に行われたホンジュラス戦に間に合うタイミングで帰国できたのは相馬だけだった。17日のスペイン戦では相馬と旗手がそろって先発して遅れを取り戻すように90分の試合をこなす形になった。

 タフな連戦をこなしたことは実戦感覚を維持するという点では悪くなかったが、元より負傷のリスクは懸念されていた。これは現実のものとなり、残念ながら三笘は負傷した状態で合流する形となってしまい、大会直前まで別メニューでの調整を余儀なくされている。何とか練習には戻ってこられたとはいえ、おそらく初戦の先発は難しいだろう。

(4)上田綺世と前田大然、そして林大地

上田、前田、林(左から) [写真]=Getty Images

 中断直前のJリーグの試合でFW上田綺世が肉離れとなって戦線離脱。さらに前田大然も脳しんとうのため、復帰プログラムを経て慎重に復帰する必要がある形に。必然的に準備試合では3人いるFW最後の一人、林に多くの出番が回ってくる形となった。

 その林は元々18人だった当初のメンバーからは外れていた選手だが、大会登録メンバーが実質22人に増えたコロナ対応の新レギュレーションの恩恵を受ける形で、直前の二つの準備試合ではいずれも先発の1トップを担うことに。ゴールこそなかったものの、貢献度の高いプレーを見せており、特に相手DFを背負ってのプレーに関しては上田にも前田にもない個性を発揮している。開幕での先発に不安はないところを見せている。

 一方、ホンジュラス戦で復帰した前田は、スペイン戦でも元気な姿を披露。順調な回復ぶりを感じさせている。本人の手応えも悪くはないようで、初戦の先発も無理ではなさそう。もっとも、交代で攻守両面の目的で“使える”選手でもあり、ベンチに置いておきたくもなる選手ではある。

 また上田はスペイン戦で交代出場からピッチに出た上で、相手GKとの接触プレーでも果敢に飛び込むなど、けが明けの選手にありがちな怖がる様子もなく、猛々しいところを見せていた。プレーフィーリングの部分ではまだまだのところもありそうだが、大会中に戻してくることが期待される。

(5)南アフリカ戦へ、先発オーダーの選択

森保監督の選択は… [写真]=Getty Images

 オーバーエイジ3人枠を加えた初めてのオーダーを組んだ6月シリーズ。そして大会登録メンバーに絞った上で臨んだ7月のホンジュラス戦とスペイン戦。前述したとおり、ACLとの兼ね合いや負傷者もあってベストメンバーを組むことは一度もできなかったが、先発オーダーの輪郭は見えてきた。

 先発のGKは2017年のU-17W杯で守護神を務めた経験を持つ谷晃生となりそうだ。これまでこのチームではコパ・アメリカなどA代表での経験もある大迫が一歩リードを奪っていたが、湘南ベルマーレで質の高いプレーを見せてきた谷が評価を上げてきた。ビルドアップにおけるスキルの高さも買われての抜擢と思われる。

 左サイドバックは左利きの中山雄太と右利きの旗手怜央を併用する形となりそうで、左サイドハーフは相馬勇紀+三笘か三好康児のスイッチが前提になりそうだ。これは相馬が「自分が先に出たら相手のサイドバックを疲れさせてバトンを渡すし、その逆もできる」と語っているとおり。5人交代なので、1トップとこの左サイドハーフは、最初から交代を織り込んでスタートする形になると思われる。

 大会は22日の初戦から、“超”暑いこの日本の夏を中2日の連戦で駆け抜ける鬼のようなレギュレーション。総力戦となるのはむしろ大前提のようなもので、5人交代の活用という点も含め、「11人以外」のパフォーマンスがより重要になりそうだ。

文=川端暁彦

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By 川端暁彦

2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

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