2018.12.17

“大迫依存”からの脱却を…指揮官が秘蔵っ子を抜擢した理由は?

森保一監督はアジアカップのメンバーに浅野拓磨を招集した [写真]=Getty Images
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 快足FWの抜擢は意外に映った。12日、新生日本代表にとって初の公式戦となる「AFC アジアカップ UAE 2019」に挑むメンバー23人が発表された。会見の場で、森保一監督は浅野拓磨の選出理由をこう説明した。

「ケガでプレーできない状況もあり、9月から招集してこなかった。しかし、相手のディフェンスを突破するスピードは今の日本代表に必要だと思って招集しました」

 森保ジャパンの初陣となった9月のコスタリカ戦、浅野は小林悠に代わって途中出場を果たした。しかし、以降は負傷の影響もあり、代表に招集されることはなかった。その間、指揮官は川又堅碁や杉本健勇を招集し、不動の1トップ・大迫勇也の“代役探し”に躍起になった。しかし、2人のアピールは不発。そのため、「欧州組の誰かを呼ぶのではないか?」という見方が強まった。

 岡崎慎司、武藤嘉紀の“ロシア組”に加え、久保裕也やベルギーで10得点を挙げている鎌田大地らの名前も挙がった。しかし、森保監督がラストピースに指名したのは、サンフレッチェ広島時代の秘蔵っ子だった。

一時は出場機会を失うも、王者との一戦にも抜擢

15日のバイエルン戦では先発出場を果たした [写真]=Getty Images

 浅野は大迫のようなポスト役にはなれないが、1トップとして相手の背後を狙う動きは期待できる。北川航也や南野拓実とコンビを組み2トップの一角を担うことも可能だ。

 今回のアジアカップは出場国が16から24に増え、頂点に立つまでには7試合をこなさなければならない。となれば、大迫を休ませなければならない時は必ず来る。新チーム発足から全5試合のテストマッチを行い、様々な可能性を探りながら「大迫と同タイプの代役候補ではなく、違う特徴を持つ浅野がベスト」という判断に至ったのだろう。

 その浅野だが、今季は新天地のハノーファーへと移籍。すると、プレシーズンから結果を残し、アピールに成功。8月にリーグ開幕を迎えると、3試合連続で先発出場を果たし、大いなる活躍が期待されていた。しかし、当の本人は、「個人的には調子がいいという感覚ではない。(試合出場という)結果が出ているのは何よりですけど、それ以上に危機感を強く持っている。『浮かれていたら一瞬で終わる』という危機感で常にやっています」と、9月の代表戦前に口にしていた。

 ハノーファーのアンドレ・ブライテンライター監督は「100%の状態でなければ使わない」というのがモットーで、同僚の原口元気に対しても口癖のように言い続けていたという。そうした言葉を聞くうちに、浅野の中にも自然と危機感が募ってきたのだろう。

 ところが、好スタートを切ったかに思えた今季、9月以降から徐々に出番が減り始めると、ケガの影響もあって10月中旬以降はリーグ戦6試合を欠場した。それでも、12月9日のマインツ戦でスタメン復帰すると、同15日のバイエルン戦でも先発に名を連ねた。王者との一戦は、守備に忙殺され攻撃面で活躍することは叶わなかったが、強豪相手にもスタメンに抜擢されたことはポジティブに捉えていい。また、日本代表でも浅野の活躍を期待できるポイントは他にもある。チームメイトたちとの連携だ。

浅野のことをよく知る心強い同僚たち

南野拓実(右から2番目)や室屋成(右端)はアンダー世代から共にプレーしてきた同僚だ [写真]=Getty Images

「アオ君は“一発のタイミング”を常に意識している選手。前の選手がそれを逃してしまうと、そのプレーが無駄になってしまうので、僕はボールが出てくるタイミングに必ず動き出しているようにしたいです」(浅野)

「アオ君」とは、広島時代に同僚だった青山敏弘のこと。青山が相手ディフェンスラインの裏へ放つ高精度なロングパスに、浅野が快足を飛ばしてゴールを狙う「お決まり」とも言える一手は、日本代表においても一撃必殺の切り札になり得る。ハノーファーでチームメイトの原口とも連携を深めており、左右両サイドやタテ関係での同時起用でも力を発揮できるだろう。南野拓実や中島翔哉、室屋成とはリオデジャネイロ・オリンピックを共にし、互いの特徴を理解し合った間柄だ。

 ここまで森保ジャパンを牽引してきた中島、南野、堂安律の3人が徹底マークされ、攻撃面で苦しむ時は必ず来る。その状況を打破するためにも、浅野は指揮官にとって不可欠なピースだった。自らを日本代表まで引き上げてくれた森保監督の信頼と期待に応えるべく、コンディションを上げてもらいたい。“大迫依存”から脱却するためにも。

文=元川悦子

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