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悲願のガンバデビューに向けて準備着々。期待高まる宇佐美との同年代コンビ結成 昌子源(ガンバ大阪/DF)

2020.03.23

[写真]=Getty Images

「90分試合に出たのはトゥールーズにいた昨シーズン以来かな。9月25日のアンジェ戦もフル出場じゃなかったし、練習試合といえども大きかったですね。僕個人としてはすごくいい中断期間をもらってますし、ケガをしてる人はみんなそうやと思います。それが延び延びってことになると難しいけど、やっぱりみなさんの健康第一。再開に向けて、1日1日の積み重ねを大事にしたいですね」

 2月23日のJ1開幕、横浜F・マリノス戦から約1カ月。昨季王者を撃破し、白星発進したガンバ大阪は開幕ダッシュの好機を逃したものの、宮本恒靖監督の下、地道な調整を続けている。2月にトゥールーズから電撃移籍しながら、右足首のケガが完治せず、長期リハビリを強いられていた昌子源も21日の練習試合にフル出場。完全復活へ大きな一歩を踏み出した。4月3日の再開予定がどうなるか分からず、先行きは不透明なままだが、貴重な時間を得られたことに本人は心から感謝している。

「フランスでは今、1ヶ月くらいの自宅謹慎を強いられている。軍が警戒に当たっていて、外出制限を破ったら130ユーロ(約1万5000円)の罰金もあると聞きました。トゥールーズで僕の通訳をしてくれた人が今、フィジカルコーチでチームに残っているんですけど、家から出られなくて困ってると。もし自分がケガしてる状態のまま『ずっと自宅におれ』って言われたら、メンタル的にもきつかっただろうし、家族も大変だった。そう考えると、結果論だけどいいタイミングでJ復帰したと思います。早くガンバサポーターの前で躍動している姿を見せたいですね」と本人は今、新天地での活躍に思いを馳せている様子だ。

2月に行われたJリーグキックオフカンファレンスでの様子 [写真]=元川悦子

 2月の移籍当初、「ガンバは思った以上に静かなチームだと思った。サッカーをやらせればうまいやつが集まってるけど、サッカーはうまいだけじゃ勝てない。このチームに合う形で闘争心を注入していきたい」と語っていた昌子。あれから1カ月が経過し、自分が思い描いたようなアプローチが徐々にできているという。

「今まで(三浦)弦太だったりがやってきた声を出す仕事を僕がやるようになれば、弦太はプレーに集中できるようになる。お互い役割を分担しながら、いいバランスでやっていくことが大事だと思うんです。弦太にはまだ聞いてないから評価はできないけど、意識はしてるつもりです」と語る彼に、チームメートは頼もしさを感じている。

 その筆頭がジュニアユース時代をともに過ごした盟友・宇佐美貴史だ。中学2年でジュニアユースを辞めた昌子のことを「当時の源は俺とタイプの重なるドリブラー。正直言って、凡才過ぎた(笑)」と冗談交じりに言う同期の天才は、「源の影響力はやっぱり大きい」と太鼓判を押している。

「源と(小野)裕二は特に発信力、アウトプットする力が高い。彼らがケガから戻ってきたことはチームにとって、すごくプラスだと思います。源の言うように、確かにガンバは静かと言うか、嫌われ役を買って出るような存在は少ない。昔で言えば、智(山口=現コーチ)さんや岩下(敬輔=鳥栖)君がそうでしたけど、彼らが抜けた後はいなかった。そこに源と裕二が来てくれた。僕も割とそういうタイプなんですけど、2人の陰に隠れてコソコソやろうと思ってます」と同じ92年生まれの仲間との共闘を心待ちにしている。

 昌子の方も「貴史も今、ケガをしてますし、治療できる時間ができたのはありがたいこと。いい形で癒して戻ってきて、早く一緒にプレーしたいですね」と前向きに言う。彼らが2014年以来のJ1タイトル獲得の原動力になってくれれば、同じアカデミー出身の宮本監督も嬉しいはず。もちろん熱狂的サポーターも2人が揃って攻守をけん引する姿を待ち望んでいるに違いない。

「僕、実は吹田では無敗なんです。鹿島時代は、吹田初戦だった2016年2月のリーグ戦も鈴木優磨(シントトロイデン)のゴールで勝ってますし、2017年元日の天皇杯も取った。日本代表も2016年のボスニア・ヘルツェゴビナ戦でチームは負けましたけど、自分は出てない。個人的にはかなり縁起のいいスタジアムだと思ってるので、ガンバの一員としてそれを継続したいですね」

 そんな好材料も昌子の活躍を後押ししてくれるかもしれない。いずれにしても、昨季J1・48失点という守備の課題を克服し、鉄壁のディフェンスラインを構築するためにも、この男の活躍が必要不可欠だ。「去年のガンバは安い失点が多かった」とあえて苦言を呈する闘争心あふれるDFが堅守のメンタリティを植え付けることができれば、今シーズンのガンバはぶっちぎりで優勝してもおかしくないはずだ。

「僕や源が27~28歳、その下に25歳くらいの弦太と(小野瀬)康介がいて、もっと若い(井手口)陽介や(福田)湧矢がいる。今は非常にいいチームバランスなので、逃したくないですね」という宇佐美の言葉に昌子も同意しているはず。彼らがガンバを新たな常勝軍団にする時も近そうだ。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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